特許出願手続き 知財経営の実践(その10)

 
  
 

1. 知財の持つ価値

 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 知財経営:特許出願手続きのポイント

 特許出願の手続きは、出願人本人がすることができます。しかし、特許出願の経験がないか乏しい場合には、専門家である弁理士の活用も検討すべきです。知財経営戦略の観点からみた特許出願手続きのポイントを以下で、説明します

3. 知財経営:外国出願をする場合

 特許出願をする発明の技術を使用した製品での海外での事業展開が決まっている場合などを除いて、日本国内に出願をする場合に、同時に外国出願をするかどうかの判断は難しい場合が多いです。外国出願を行うには費用がかかるからです。しかしながら、外国出願をする場合は、日本国内に特許出願をしてから1年以内に外国出願を行いましょう。1年以内ならば、外国においても、日本の出願時に出願したものとみなす制度(優先権制度)の使用が可能です。優先権制度を利用すると、新規性、進歩性などの特許性の判断の基準が、日本国出願時に遡って判断されます。なお外国出願については、後ほど別の記事で詳しく説明します。

4. 知財経営:改良発明やデータを追加する場合

 特許出願の後に、追加の実験データを追加したり、改良発明を思い付く場合があります。この場合には特許出願から1年以内であれば、追加することが有効です(国内優先権精度)。この優先権制度を利用すると、新規性、進歩性などの特許性の判断の基準が、先の特許出願時とされます。ただし、先の特許出願に記載されていない発明を追加することは認められませんので注意が必要です。

5. 知財経営:出願審査請求をする場合

 特許を取得したい場合は、特許出願から3年以内に審査請求を特許庁にしなければなりません。審査請求をしないと、特許出願は取り下げたものとみなされます。特許取得の道は閉ざされることとなります。審査請求をするかどうかの判断時には、特許出願が権利化できるかどうかを判断する必要があります。そのために特許調査を行ってみましょう。特許調査の結果、新たな先行技術がみつかるかもしれないからです。

6. 知財経営:拒絶理由通知がきた場合

 特許出願後、審査請求をすると多くの場合は、拒絶理由通知が送付されてきます。拒絶理由通知が送付されてきたら、その内容を検討して対応する必要があります。拒絶理由で多いものは、発明に進歩性がないというものです。この場合に、補正や意見書などを提出してそれが認められて最終的に特許となる場合も多いです。

7. 知財経営:拒絶査定に納得できない場合

 拒絶理由が...
送付さてきて、それに対して補正や意見書などを提出しても、それが認められず最終的に拒絶査定となる場合があります。拒絶査定に不服ならば、さらに次のステップで拒絶査定を覆すこともできます。特許庁の拒絶査定不服審判という制度です。また、拒絶査定不服審判の結果に不服があれば、次に知財高等裁判所による審理を受けることができます。
 
 次回に続きます。
 
【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて{知財戦略事例集」(2007.4特許庁)
◆関連解説『技術マネジメントとは』

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