CS経営(その56)「おもてなしの神髄」

 
  
CS
 

◆なぜ、あの企業の「顧客満足」はすごいのか

16. 顧客のためにここまでするか:中央タクシー株式会社

(3) 何よりもお客様のために

 長野県民が羽田空港、あるいは成田空港を利用する際、便利なサービスとして「ジャンボタクシー」というものがあります。サービスが開始されたのは1999年。当初は、利用者が少なく、たった一人のために便を出すこともあったそうで、採算という観点からも「もう止めようか」と何度も考えたほどだったというのです。
 
 ところが、乗った人たちからは「とても助かった」「ありかたい」「感謝している」というメツセージが何度も届きました。こうしたエールを耳にする度に「もう少し歯を食いしばって頑張ろう」と社内で声を掛け合ったそうです。
 
 そして、自宅まで迎えにきてくれて、荷物も載せてくれる、帰りは自宅まで荷物と一緒に運んでくれるジャンボタクシーに魅了されたお客様が、一人またひとりと増えていきました。次第にリピーターも増え、採算割れの状況は解消され、現在では長野県民には欠かせない空港までの足として大いに利用されています。
 
 現在は、空港までの送迎だけではなく、「観桜サービス」「ディズニーランドツアー」などにも活用され、活況を呈していますが、これらのサービスもまた、お客様を思う気持ちから始まっているのです。
 
 「桜の花を見ようと出かけたところまだ蓄だった」「前日の雨の影響でほとんど散っていた」といったお客様の声を、タクシーの運転手は毎年耳にしていたそうです。そして、「何とか力になれないだろうか」と考え、社内で検討を重ね、誕生したプログラムが「観桜サービス」でした。
 
 事前登録制のサービスで、桜が満開となる時期にお声掛けするというものです。当日都合のついたお客様のご自宅までタクシーで迎えに行き、花見が終わったのち、お送りするのです。高齢者や身体の不自由な方々をはじめとして、多く利用者に喜ばれているサービスとなっています。
 
 また、ディズニーランドを訪れるツアーもあります。中学生、高校生、あるいは女性が一人でディズニーランドに出かけることはなかなか難しいでしょう。家族が心配するということもありますが、パレードまでしっかりと見ていると長野まで帰れなくなるからです。
 
 そこで、中央タクシーは、自宅まで出迎えに行き、ディズニーランドまで案内し、責任を持って自宅まで送り届けるサービスを開始したのです。家族は安心するし、本人はパレードを最後まで見られるなど、いいことずくめのサービスです。
 
 なぜ、このようなサービスを次から次にスタートさせられたのか。それは、中央タクシーが質の高いサービスを提供し続け、お客様に信頼されているからです。顧客第1主義は一見、非効率に見えることもあるでしょう。しかし、信用・信頼の伴ったタテ×ヨコ×ナナメのコミュニケーションは、結果として、「業績=顧客の支持率」の達成につながるのです。
 
【出典】 武田哲男 著 なぜ、あの企業の「顧客満足」は、すごいのか PHP研究所発行
               筆者のご承諾により、抜粋を連載
 

この記事の著者

武田 哲男

常に顧客を中核とする課題取組みにより「業績=顧客の“継続”支持率達成!」 「顧客との良質で永いご縁の創造」に取組んできた。モノづくりとサービスの融合に注力。

真の顧客満足とは?「顧客潜在ニーズの把握」は「不満足度調査」により新製品・新サービス・新システム開発などムダのない、そしてブレることない取組みが「業績=顧客の“継続”支持率達成!」。また、近年の企業が引き起している各種トラブル防止、企業ブ…

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