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QUESTION 質問No.53

メンテナンス業務の収益化

市場品質 サービスマネジメント | 投稿日時:
業務用電動昇降機の製造、販売を主たる事業とする100名ほどの企業です。
設計ができる技術者を20名抱えているために、特殊仕様にも短納期で応えるところが好評で、2800社以上の顧客企業を抱えて特注品市場では60%の国内シェアを確保し、量産品の価格競争にも巻き込まれずに堅調な業績を続けています。
これまで保守部品販売、修理や定期点検などのメンテナンスはお客様へのサービス扱いで、次の注文を獲得する意味でもその部分だけ見れば赤字状態で対応してきました。
世間ではスマイルカーブと言って、メンテナンス部門が高収益を上げている企業もあると聞きます。
今後のさらなる業績向上のために、メンテナンス部門の黒字化を検討していますが、従来顧客からの反発が怖くてなかなか切り出せません。
どのような手順でメンテナンス部門の改革を進めたら良いでしょうか?専門家の皆様のご意見をお聞かせください。

[これは事務局による仮想の質問です]


ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

業務用電動昇降機の製造、販売事業に付随するアフターサービス事業を黒字化させたいというご相談ですね。

実はアフターサービス事業は、この部分に注力すれば、大きな利益を生み出す可能性を秘めています。
なぜならば、アフターサービス事業はストック ビジネスとして、毎年安定した収益が見込め、経営の安定化に大いに貢献します。一方、製品の製造販売事業は、フロービジネスであり、今年売れた製品が来年売れる保証はありません。この不安定な世の中で、フロー ビジネスだけに頼って事業を進めることは、本来リスクを伴うことなのです。

では、どのような手順でアフターサービスの事業化を進めて行くかを考えてみましょう。

1.ビジネスモデルの見直し・再構築
「モノを売るから、サービスを売る」という考えに方向転換します。「モノも作れるサービス業」という視点で、ビジネスモデルを全面的に見直し、スマイルカーブの上流から下流の工程の中でより付加価値の高い工程へ経営資源を集中的に投入していきます。

2.事業の黒字化の具体的手順
◆第1ステップ(製品販売のための手段)
 これまでは、保守部品販売、修理や定期点検などのメンテナンスはお客様へのサービス扱いで、次の注文を獲得する意味として、モノを売るための販売促進効果を狙っていました。但し、この考えの下では、収益は見込めず、したがって顧客満足につながるアフターサービスとはなり得ない状況となっています。

◆第2ステップ(アフターサービスの事業化)
 アフターサービス事業のさらなる発展、競争力強化には、この事業を収益構造が異なる機器の製造事業から分離独立させ、将来子会社として独立させることを念頭に、独立採算の組織を発足させます。2800社以上の顧客を抱えているのですから、子会社としての独立採算は十分に可能と思われます。

 新組織では、以下のような目標を立て、人材の強化、サービスツールの整備を行います。
 ・顧客に密着した営業体制や業務体制の確立
 ・顧客および、サービス業務の可視化
 ・顧客対応のスピードアップ化
 ・サービスメニューの見直しによる内容のレベルアップ化
事業の安定性や効率性を考え、顧客との年間保守契約を結び、事務処理や価格交渉などの工数を減らし、いかに早く顧客対応を行うか?また予防保全やコールセンターの設置等によって、スピード感をもって対応を行い、いかに顧客満足度を高めていくか?に注力していきます。
このような高いレベルのサービスの実施によっても、従来顧客からも納得し受け入れられる、リーズナブルな料金体系を構築していきます。

◆第3ステップ(顧客情報の収集と分析)
 収集が必要な共有化情報として、以下のような項目を設定し、つき合わせて情報を分析します。
 ・保守情報(故障情報、点検内容、交換部品と周期)
 ・設置情報(設置地域・場所、設置環境)
 ・製品情報(設置日、製品種類、バージョン、部品交換・修理履歴)
 ・お客様情報(売上高と利益)

分析した結果、サービスの仕組みの見直しや、製品へのフィードバック項目として設計部門との情報共有を図ります。
 ・予防保全の考えから、部品の寿命や作業性などの改良設計へ反映
 ・製品別・部位別の不具合兆候の収集と兆候の正確性向上
 ・お客様を階層分類して階層レベルに適合したサービス対応
 ・メンテナンス作業時間のトレンド分析、作業員別の作業時間分析
 ・今後不足する人員の技能と人数
 ・技術・技能で強化が必要な作業スキル
 ・交換部品、予備品、使用ツールなどの必要在庫

◆第4ステップ(予防保全体制の確立)
 不具合履歴の分析結果を設計フェーズにフィードバックして製品品質を向上させる仕組みを確立します。また稼動情報の取得により、不具合の兆候を見極め、その予兆から不具合発生前に消耗部品の交換を行うことが可能になります。その結果、お客様が安定した設備稼動ができるようになり、製品そのものに対する信頼度もアップすることになります。

3.シナジー効果の発揮
 アフターサービス事業の強化は、より顧客サイドに立った情報収集が可能となるため、顧客ニーズにマッチした製品の企画・開発が可能になります。このことは、製品差別化による競争力の強化、そして新たな顧客獲得へもつながり、製造・販売事業も拡大するといった、シナジー効果が期待できます。
そのためには、縦割り組織とならない様に、事業間での人材交流、情報交換を密にしていく必要があります。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

 本件に少し似ている、ビジネスモデルのコピー機メーカーの技術戦略策定に携わった経験から、意見を述べます。なぜなら、その進化トレンドがヒントになるからです。筆者のクライエントである業務用電動昇降機メーカーによると、大手メーカーは、既にほぼメンテナンスは有償化されているようです。例えば、エレベーターは、建築基準法第12条で年に1回の検査、法定点検をすることが定められています。通常1ヶ月~3ヶ月に1回の割合で点検を行っています。メンテナンスには、フルメンテナンス契約とPOG契約の2種類があります。前者は、各部品の点検、給油、調整、故障や劣化した部品の交換、修理等を全て実行されます。後者は、各部品の点検、給油、調整が主で、安価な消耗品は保守料に含め、高額部品の交換・修理は別途料金になります。結論から言うと、例えば次のような対応策が改革メニューとなります。①ブラックボックス化して、お客様や他社がメンテナンスできないようにすること。②メンテナンス技術をブラッシュアップして、他社より安価で安心を提供できること。③新たな付加価値をお客様に提案すること。つまり、従来の延長線上でメンテナンス費用の有料化を切り出すのではなく、あくまでも、お客様が利益を享受できるオプション案を提案し、納得して選択していただくことです。

 企業向けコピー機は、最初、ユーザーの購入という形での販売が主でした。X社は50年以上前に、製品をリースして、用紙やインク等の消耗品とメンテナンスで利益を上げる画期的なビジネスモデルを発明しました。主なメリットは、次のようなことでした。①多額の初期費用を必要としない。②お客様と継続的な関係を維持出来る。③リース期間終了後に別の機種を提案出来る。このビジネスモデルが今でも多くの業種で応用されています。安価なインクジェット方式の業務用プリンターでさえ、E社は今年からこのビジネスモデルを採用しているぐらいです。しかし、2000年ぐらいから、技術革新や多様性が求められる時代となり、ビジネスモデルの変革が求められました。他社と差別化するため、新たな付加価値を順次加えて、そのビジネスモデルを進化させました。具体的には、次のようなことです。①ネットを活用してメンテナンス情報を自動収集し、予防保全サービスを可能にしたこと。②お客様毎あるいはお客様間の多様な活用情報の違いを分析して、新たなソリューションを提供したこと。③お客様毎の機械群をシステム的にコントロールし、省エネ・省資源での活用を提案したこと。

 さらに、メンテナンスを有料化した事例を2つ紹介します。建設機械メーカーK社は、付加価値創出のため、総合的な補償サービスを提供しています。具体的には、建設機械にGPSを搭載し、位置情報を確認しながら遠隔監視で、稼働状況、運転状況、燃料の残量等もわかるようにしています。空調機メーカーD社は、空調設備の販売自体が今後大きくは望めない中で、保守・サービスを重視しています。空調というのは大量の電力を使うため、省エネサービスを行なっています。また、遠隔監視サービスをパッケージ化して、問題が発生すると、2時間以内にトラブルシューティングをするというサービスを付加しました。さらに、オンラインの診断報告、年次報告等を顧客に提示することで、顧客様のメリットを可視化することで、設備改善提案にまで広げていくことができるようになりました。


 回答者:ぷろえんじにあ代表 粕谷茂







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