顧客本位を貫くことで業績向上 CS経営(その13)

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前回のその12に続いて解説します。

◆本物の顧客満足の話をしよう

3. そもそも顧客満足(CS)とは何か:作業は誰が行うのか、仕事の主体は誰か。

 質問ばかりで恐縮ですが、以下の項目に関わる具体的な実態をご存じでしょうか。
 

(1) 新規顧客の実態

 関連企業・系列販売店・代理店における新規顧客開拓数(率)とその人数・件数と金額。
 

(2) 顧客継続の実態

 関連企業・系列店・代理店における新規顧客の継続数(率)とその人数・件数と金額。
 
 CSM
 

(3) 離脱・離反顧客の実態

 関連企業・系列店・代理店における顧客の離脱・離反数(率)とその人数・件数と金額。
 
 これもまた、「不満足度調査」が調べるポイントですが、ここでもまた、具体的に、どのような活動を行なえば、どのような成果を生むかといった観点から導くというのが、調査のポイントです。つまり、こうした理由をはっきりと企業・組織が認識し、理解し、具体的に顧客のために施策を講じ、顧客の支持を得て、好業績を達成するための全活動がCSであり、CSMであり、企業本位の活動ではなく、顧客のための活動です。
 
 繰り返しになるが、日本だけで捉えれば、市場規模は縮小の一途をたどっています。たとえば、少子高齢化や各種増税による個人と中小・小規模企業の支出増加、収入の減少、経済環境においてはグローバル化、すなわち海外企業の日本進出、などが主たる原因で、市場サイズが縮小し、消費が伴わなくなる恐ろしい方向に急ピッチで進んでいる時代です。だから新規顧客の確保は非常に難しくなり、顧客とのご縁の継続は重要課題といえます。ともかく、顧客に支持されない企業の存続はあり得ないことは明白であり、顧客の支持を得られるように、顧客の特性を顧客自身が気づく前に企業が見つけ、理解し、顧客の満足を満たすための最大限の努力を組織を挙げて行なうことが大切なのです。
 
 そのためにも、顧客自身が気づいていない段階で顧客ニーズをキャッチすることが大切なのですが、それこそが「不満足度調査」なのです。さて、企業・組織とCS活動を見ると、それぞれ規模の相違はありますが、たとえスタッフが何万人、何十万人であったとしても、その取り組みが顧客不在では、単なる「作業」としかいえないのです。そして、作業は同類・同質化(コモディテイ化)を招き、コモディテイ化はとかく価格競争に陥りやすく、価格競争は値引き合戦に至る傾向があります。
 
 結局は遅かれ早かれ、企業・組織は衰退、消滅の道をたどることは、多くの先例が示しています。「作業」とは顧客不在の概念で取り組んでいる処理型、機械的、無機質、片付け方式を指します。そして「作業」とは、「現状維持」の別名です。一方、顧客のため、顧客本位、顧客第▽王義などが、明確に認識された「仕事」とは、一挙乎一投足にその心、本質が浸透しているのです。そして、「仕事」には創造性、付加価値・高付加価値がその基盤にあります。「作業」は、機械、コンピュータ、ロボットが行なうのです。これらは決まったことを実施するにとどまります。
 
 「仕事」は「人」が行なうのです。そこには必ず付加価値創造が伴います。ですから「仕事」は主として社員・組織人が行ないますが、アルバイト、パート、派遣社員、嘱託も含まれます。社員とパート社員は働き方、働く条件が異なるだけで、こと仕事に関しては顧客に対して同じ姿勢で臨むことが基本です。否、むしろ顧客接点を担い、瞬間、瞬間の顧客満足、不満足に関わっているのは現場を担ってい...
前回のその12に続いて解説します。

◆本物の顧客満足の話をしよう

3. そもそも顧客満足(CS)とは何か:作業は誰が行うのか、仕事の主体は誰か。

 質問ばかりで恐縮ですが、以下の項目に関わる具体的な実態をご存じでしょうか。
 

(1) 新規顧客の実態

 関連企業・系列販売店・代理店における新規顧客開拓数(率)とその人数・件数と金額。
 

(2) 顧客継続の実態

 関連企業・系列店・代理店における新規顧客の継続数(率)とその人数・件数と金額。
 
 CSM
 

(3) 離脱・離反顧客の実態

 関連企業・系列店・代理店における顧客の離脱・離反数(率)とその人数・件数と金額。
 
 これもまた、「不満足度調査」が調べるポイントですが、ここでもまた、具体的に、どのような活動を行なえば、どのような成果を生むかといった観点から導くというのが、調査のポイントです。つまり、こうした理由をはっきりと企業・組織が認識し、理解し、具体的に顧客のために施策を講じ、顧客の支持を得て、好業績を達成するための全活動がCSであり、CSMであり、企業本位の活動ではなく、顧客のための活動です。
 
 繰り返しになるが、日本だけで捉えれば、市場規模は縮小の一途をたどっています。たとえば、少子高齢化や各種増税による個人と中小・小規模企業の支出増加、収入の減少、経済環境においてはグローバル化、すなわち海外企業の日本進出、などが主たる原因で、市場サイズが縮小し、消費が伴わなくなる恐ろしい方向に急ピッチで進んでいる時代です。だから新規顧客の確保は非常に難しくなり、顧客とのご縁の継続は重要課題といえます。ともかく、顧客に支持されない企業の存続はあり得ないことは明白であり、顧客の支持を得られるように、顧客の特性を顧客自身が気づく前に企業が見つけ、理解し、顧客の満足を満たすための最大限の努力を組織を挙げて行なうことが大切なのです。
 
 そのためにも、顧客自身が気づいていない段階で顧客ニーズをキャッチすることが大切なのですが、それこそが「不満足度調査」なのです。さて、企業・組織とCS活動を見ると、それぞれ規模の相違はありますが、たとえスタッフが何万人、何十万人であったとしても、その取り組みが顧客不在では、単なる「作業」としかいえないのです。そして、作業は同類・同質化(コモディテイ化)を招き、コモディテイ化はとかく価格競争に陥りやすく、価格競争は値引き合戦に至る傾向があります。
 
 結局は遅かれ早かれ、企業・組織は衰退、消滅の道をたどることは、多くの先例が示しています。「作業」とは顧客不在の概念で取り組んでいる処理型、機械的、無機質、片付け方式を指します。そして「作業」とは、「現状維持」の別名です。一方、顧客のため、顧客本位、顧客第▽王義などが、明確に認識された「仕事」とは、一挙乎一投足にその心、本質が浸透しているのです。そして、「仕事」には創造性、付加価値・高付加価値がその基盤にあります。「作業」は、機械、コンピュータ、ロボットが行なうのです。これらは決まったことを実施するにとどまります。
 
 「仕事」は「人」が行なうのです。そこには必ず付加価値創造が伴います。ですから「仕事」は主として社員・組織人が行ないますが、アルバイト、パート、派遣社員、嘱託も含まれます。社員とパート社員は働き方、働く条件が異なるだけで、こと仕事に関しては顧客に対して同じ姿勢で臨むことが基本です。否、むしろ顧客接点を担い、瞬間、瞬間の顧客満足、不満足に関わっているのは現場を担っている形式的には正社員となっていない人々の場合が多いのです。
 
 また、自社では作業をしないで下請けやアウトソーサーにそれを担ってもらうこともありますが、その作業を受けた企業は、その受けた作業に対して仕事として創造性、付加価値提供を行います。どこまでいっても顧客を大切にすることが基本です。顧客のことを考えることに関しては、いささかの揺るぎもないことは当然です。少し売上の成績が落ちると、「何としてでも売り込め、売りっけろ」というのではCSにならないのです。そのようなときほど、顧客本位を貫くことが結果として業績向上に貢献するのです。だからこそ、CSMの活動なのです。
 
 次回は、「不満足度調査」の実力から解説を続けます。
 
【出典】 武田哲男 著 なぜ、あの企業の「顧客満足」は、すごいのか PHP研究所発行
筆者のご承諾により、抜粋を連載
 
 

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この記事の著者

武田 哲男

常に顧客を中核とする課題取組みにより「業績=顧客の“継続”支持率達成!」 「顧客との良質で永いご縁の創造」に取組んできた。モノづくりとサービスの融合に注力。

常に顧客を中核とする課題取組みにより「業績=顧客の“継続”支持率達成!」 「顧客との良質で永いご縁の創造」に取組んできた。モノづくりとサービスの融合に注力。


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