CS経営(その60)「おもてなしの神髄」

 
  
CS
 

◆なぜ、あの企業の「顧客満足」はすごいのか

18. 真似のできないノウハウで快適空間を創り出す:TOTO株式会社

(3) 矛盾を乗り越える力

 TOTOの陶器は粘土に熱を加えることによりできあがります。普通、完成品のサイズにばらつきが生まれる可能性が大いにあります。下手をすると一台一台のサイズが皆違ってきてしまうのです。趣味の世界、芸術品なら一つひとつが異なることがかえって魅力になりますが、ビジネスとしては不合格です。
 
 TOTOは陶器を間違いなく均一に作るのです。TOTOのノウハウを他社が簡単に真似できない理由の一つはここにもあります。
 
 そして、トイレという空間に、高度な技術、機能に加え、利用する人のために職人が作り込んだ快適、便利、安全、安心、清潔などのおもてなしの心が込められ、さまざまな要素が寸分の狂いもなく融合しています。しかも諸要素がシームレスに連動し、相乗効果を生むシステムが完成されているのです。
 
 便座の数センチという幅の狭い限られた空間・スポットに、ありったけの技術を組み込むためには、どうしても人間の手が必要となります。それは、能力の高い多能工型職人技が必要です。彼らによって、それらが統合、融合されるそのことが、まさにTOTOのノウハウそのものであり、真似をするのが最も難しい商品・サービスとなっているのです。
 
 この場合の「多能工型職人」とは、いくつもの異なった仕事ができ、いくつもの技術を駆使することができ、しかも顧客のことを考えて作り込む能力者を指します。
 
 また、ノウハウとは「公開しても誰も真似ができない要素」を指します。「簡単に真似されるノウハウだから公開しない」というのは、そもそもノウハウではないのです。
 
 日本国内に工場を持ち、本来的・本質的なノウハウを創造する能力を持つ企業でないと、こうしたことはできません。反対に国内に工場を持たずに、他社の真似のできない本質的なノウハ
ウを生み出すことは至難の業でしょう。
 
 だからこそ、TOTOは、この姿勢、この取り組み、このノウハウを磨いている限り、そして、その途を歩み続けている限り、海外に進出しても勝ち抜いていけるのです。
 
 私の勝手な想像ですが、IoTの時代、TOTOは尿のタンパク、糖分や便の状態から健康管理まで行なってくれるようになるかもしません。また、トイレで人が倒れた際などに知らせてくれるシステムを開発するのではないかと期待しています。
 
 【出典】武田哲男 著 なぜ、あの企業の「顧客満足」は、すごいのか PHP研究所発行
       筆者のご承諾により、抜粋を連載

この記事の著者

武田 哲男

常に顧客を中核とする課題取組みにより「業績=顧客の“継続”支持率達成!」 「顧客との良質で永いご縁の創造」に取組んできた。モノづくりとサービスの融合に注力。

真の顧客満足とは?「顧客潜在ニーズの把握」は「不満足度調査」により新製品・新サービス・新システム開発などムダのない、そしてブレることない取組みが「業績=顧客の“継続”支持率達成!」。また、近年の企業が引き起している各種トラブル防止、企業ブ…

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