内容が明確に伝わる技術文書の書き方(その4)

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技術文書

 

【この連載の前回:内容が明確に伝わる技術文書の書き方(その3)へのリンク】 

下図の「内容が明確に伝わる技術文書の書き方第1原則」は、技術文書を書くうえで最も重要な原則です。そこで、3回にわたって、書き方の第1原則の考え方に関係したことを解説します。今回は、書き方の第1原則の考え方に関する解説の1回目です。

 

 

技術文書

 

1.技術提案書を書く場合のポイント

国や県などから土木の分野での調査や設計などの業務を受注する場合、業務によっては複数の会社に技術提案書を提出させることがあります。このような業務の場合、技術提案の評価で業務を受注する会社が1社決まります。

 

以前、建設コンサルタントの会社(主に、道路や橋梁などの社会資本の計画立案や設計などの業務を行う会社)に勤務している方(Aさんとします)から技術提案書の書き方について以下のことを聞きました。

 

Aさん曰く「技術提案書を書く場合のポイントの1つは、発注者の考えを読み取ることです。発注者も技術に関して困っているので我々(建設コンサルタント)に技術提案書を提出させるのです。だから、発注者が何に困っているのか、すなわち、『発注者が技術提案書をなぜ提出させるのか』を読み取ることが技術提案書を書く場合には重要です。これを読み違えると技術提案書は採用されないと思います」ということです。

 

この当時、Aさんが書く技術提案書が採用される確率が高く、受注獲得に繋がっていたそうです。したがって、Aさんの話には説得力がありました。

 

Aさんの話は、「発注者の立場に立って技術提案を考えることが必要」だということです。発注者の立場に立って考えれば、発注者が困っていることがわかり提案内容が明確になるということです。

 

「発注者の立場に立って技術提案を考えること」とは、「読み手のことを考えて技術文書を書く」すなわち「読み手の立場に立って技術文書を書くこと」と同じ考え方です。これは、書き方の第1原則の考え方です。

 

今回は、土木の分野で業務を受注する場合を対象にした技術提案書を書く場合のポイントの解説でしたが、他の分野で技術提案書を書く(技術提...

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【この連載の前回:内容が明確に伝わる技術文書の書き方(その3)へのリンク】 

下図の「内容が明確に伝わる技術文書の書き方第1原則」は、技術文書を書くうえで最も重要な原則です。そこで、3回にわたって、書き方の第1原則の考え方に関係したことを解説します。今回は、書き方の第1原則の考え方に関する解説の1回目です。

 

 

技術文書

 

1.技術提案書を書く場合のポイント

国や県などから土木の分野での調査や設計などの業務を受注する場合、業務によっては複数の会社に技術提案書を提出させることがあります。このような業務の場合、技術提案の評価で業務を受注する会社が1社決まります。

 

以前、建設コンサルタントの会社(主に、道路や橋梁などの社会資本の計画立案や設計などの業務を行う会社)に勤務している方(Aさんとします)から技術提案書の書き方について以下のことを聞きました。

 

Aさん曰く「技術提案書を書く場合のポイントの1つは、発注者の考えを読み取ることです。発注者も技術に関して困っているので我々(建設コンサルタント)に技術提案書を提出させるのです。だから、発注者が何に困っているのか、すなわち、『発注者が技術提案書をなぜ提出させるのか』を読み取ることが技術提案書を書く場合には重要です。これを読み違えると技術提案書は採用されないと思います」ということです。

 

この当時、Aさんが書く技術提案書が採用される確率が高く、受注獲得に繋がっていたそうです。したがって、Aさんの話には説得力がありました。

 

Aさんの話は、「発注者の立場に立って技術提案を考えることが必要」だということです。発注者の立場に立って考えれば、発注者が困っていることがわかり提案内容が明確になるということです。

 

「発注者の立場に立って技術提案を考えること」とは、「読み手のことを考えて技術文書を書く」すなわち「読み手の立場に立って技術文書を書くこと」と同じ考え方です。これは、書き方の第1原則の考え方です。

 

今回は、土木の分野で業務を受注する場合を対象にした技術提案書を書く場合のポイントの解説でしたが、他の分野で技術提案書を書く(技術提案を考える)ときにも「読み手の立場に立って技術文書を書く」という書き方の第1原則の考え方は、重要です。

 

次回に続きます。

 

【参考文献】

森谷仁著、「マンガでわかる技術文書の書き方」、オーム社、令和4年3月25日

 

関連解説記事「相手の立場に立って考える」こと 

 

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この記事の著者

森谷 仁

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