オープン・イノベーションとしての「価値づくり」 研究テーマの多様な情報源(その18)

更新日

投稿日

1.オープン・イノベーションの意義:「価値づくり」に向けての自社の経営資源の補完

  前回の議論の繰り返しになりますが、重要なポイントですので、「価値づくり」におけるオープン・イノベーションの意義を、ここで再度簡単に触れておきたいと思います。
 
 「価値づくり」の起点は市場のニーズにある、すなわち「価値づくりは自社の外で自社の能力とは独立
して発生するものであり、その実現のためには自社の経営資源だけでは不十分となる可能性が大きいとい
うことがあります。この自社の経営資源で不足しているものを、外部から調達して補完するのが、オープ
ン・イノベーションです。
 

2.オープン・イノベーション推進の抵抗

  欧米の先行事例があるために、オープン・イノベーションを積極的に進めようとしている企業は、多いものです。しかし、多くの企業で必ずしもうまくは行っていません。その大きな理由が、研究開発部門からの抵抗です。オープン・イノベーションは、従来では社内で研究開発を行っていた技術を、外部の企業や研究機関の技術で置き換えるのですから、研究開発部門にとっては、自部門の存在意義に挑戦し、それを危うくするものと捉えられても不思議はありません。
 
 しかし、オープン・イノベーション実現においては、研究開発担当者の主体的な関与が必須です。研究
開発担当者がオープン・イノベーション推進に前向きに取り組まなければ、オープン・イノベーションは
うまくは行きません。
 

3.オープン・イノベーションのドライバーとしての「価値づくり」

 このような長年の企業内で共有され強化されてきた価値観、すなわち自前主義が、その実現を邪魔する
ため、オープン・イノベーションはお手軽に実行できるものでは残念ながらありません。したがって、オ
ープン・イノベーションを実現しようとすれば、このような強固な価値観を壊す大きな変革のドライバー
が必要となります。まさにこの変革のドライバーが、「ものづくり」から「価値づくり」への転...

1.オープン・イノベーションの意義:「価値づくり」に向けての自社の経営資源の補完

  前回の議論の繰り返しになりますが、重要なポイントですので、「価値づくり」におけるオープン・イノベーションの意義を、ここで再度簡単に触れておきたいと思います。
 
 「価値づくり」の起点は市場のニーズにある、すなわち「価値づくりは自社の外で自社の能力とは独立
して発生するものであり、その実現のためには自社の経営資源だけでは不十分となる可能性が大きいとい
うことがあります。この自社の経営資源で不足しているものを、外部から調達して補完するのが、オープ
ン・イノベーションです。
 

2.オープン・イノベーション推進の抵抗

  欧米の先行事例があるために、オープン・イノベーションを積極的に進めようとしている企業は、多いものです。しかし、多くの企業で必ずしもうまくは行っていません。その大きな理由が、研究開発部門からの抵抗です。オープン・イノベーションは、従来では社内で研究開発を行っていた技術を、外部の企業や研究機関の技術で置き換えるのですから、研究開発部門にとっては、自部門の存在意義に挑戦し、それを危うくするものと捉えられても不思議はありません。
 
 しかし、オープン・イノベーション実現においては、研究開発担当者の主体的な関与が必須です。研究
開発担当者がオープン・イノベーション推進に前向きに取り組まなければ、オープン・イノベーションは
うまくは行きません。
 

3.オープン・イノベーションのドライバーとしての「価値づくり」

 このような長年の企業内で共有され強化されてきた価値観、すなわち自前主義が、その実現を邪魔する
ため、オープン・イノベーションはお手軽に実行できるものでは残念ながらありません。したがって、オ
ープン・イノベーションを実現しようとすれば、このような強固な価値観を壊す大きな変革のドライバー
が必要となります。まさにこの変革のドライバーが、「ものづくり」から「価値づくり」への転換です。
なぜなら「ものづくり」は「自前主義」と表裏の関係にあると言え、逆に「価値づくり」はオープン・イ
ノベーションと表裏一体の関係にあるからです。
 

4.経営者の「価値づくり」へのマインド変革

 オープン・イノベーションを推進するには、まずは経営者がこの点について自身の認識を新たにし、「
価値づくり」の重要性を深く理解することが大前提となります。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
カテゴリー構築指数とブランド構築指数 データ分析講座(その257)

  自社商品やサービスが、どの顧客セグメントに対し強いのか弱いのか、ポテンシャルが高いのか低いのかを示す指標が構築指標で、次の2種類があり...

  自社商品やサービスが、どの顧客セグメントに対し強いのか弱いのか、ポテンシャルが高いのか低いのかを示す指標が構築指標で、次の2種類があり...


疑われたデータ分析のメリット データ分析講座(その163)

  ◆ “当たり前の結果”で共感を得ることから始めよう  データを使うことに不慣れな組織や人の場合、データから導...

  ◆ “当たり前の結果”で共感を得ることから始めよう  データを使うことに不慣れな組織や人の場合、データから導...


分析に求められる洞察力の基礎とは データ分析講座(その55)

◆ 目的無きデータ分析にも意味はある。遠回りかもしれないが、良いこともある  よくデータ分析するとき、目的を明確にせよ! と言います。正しいでしょう...

◆ 目的無きデータ分析にも意味はある。遠回りかもしれないが、良いこともある  よくデータ分析するとき、目的を明確にせよ! と言います。正しいでしょう...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
P値で行う統計リテラシー判定

 「ピーチ」って聞いたら何を連想しますか、統計を学んでいる人に取っては「 P値 」が思い浮かぶはずです。統計学の素養がある程度備わっているか一言で知ろうと...

 「ピーチ」って聞いたら何を連想しますか、統計を学んでいる人に取っては「 P値 」が思い浮かぶはずです。統計学の素養がある程度備わっているか一言で知ろうと...


人的資源マネジメント:製品開発の滞留を引き起こすファイルとは(その2)

 今回は、PDM/PLMに代表される製品開発業務のIT化をどのように考え、進めるのがよいのかについて解説します。    前回まで続けていたテ...

 今回は、PDM/PLMに代表される製品開発業務のIT化をどのように考え、進めるのがよいのかについて解説します。    前回まで続けていたテ...


生産スピード向上と品質管理

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...