コア技術の設定の視点 研究テーマの多様な情報源(その20)

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1.オープン・イノベーションの文脈の中での「コア技術」の定義 

  前回のその19に続いて解説します。「コア技術」という言葉については、一般的に明確な定義はありません。各社それぞれ、また各人それぞれの認識に基づき、「コア技術」を使っているのが実態と思います。オープン・イノベーションの類型という文脈の中で、今回は「コア技術」をどう考えているのか、について説明をしたいと思います。ここでは「コア技術」を技術戦略の中核の概念と捉え、今後自社が戦略的に継続的に強化すべき技術「領域」と定義し、この技術「領域」の技術を使って、今後自社の新製品や新事業を継続的に創出し、収益を挙げることを目的とします。ここでの重要なポイントは、コア技術とは必ずしも自社が現在強い技術である必要はなく、将来に向かって未来志向で長期に渡り継続的に強化すべき技術であるという点です。
 
 この技術「領域」であるコア技術は、2つの手段により強化されます。1つは、継続的にこのコア技術を使って製品・事業を数多く創出し、その結果としてこのコア技術を強化する方法です。つまり、上で説明した目的(つまり「自社の新製品や新事業を継続的に創出し、収益を挙げる」こと)が、コア技術を強化する手段でもあるということです。もう1つが、オープン・イノベーションの活動を通して、外部を活用することでこの技術領域を強化するということです。
  

2.コア技術の設定の3つの軸  

 それでは、この「コア技術」はどのような基準で選定されるのかについて、議論したいと思います。このコア技術は以下の3つの軸に基づき設定するのが良いと言われており(「MOT[技術経営]入門」、延岡健太郎著、P.133)、私もこの考え方に強く賛同するものです。
 

(1)顧客提供価値の大きさ 

 1つ目が、その技術領域が創出する顧客価値の大きさです。なぜ顧客価値かというと、顧客は自己が享受する価値に応じて対価を支払うため、その価値が大きければ大きいほど、多くの対価を支払ってくれるからです。以下2つの「コア技術」選定の基準を含め、コア技術は「収益に直接的に貢献する」技術領域であるという考え方が、この背景にあります。
 

(2)適用範囲の広さ 

 2つ目がそのコア技術の適用範囲の広さです。適用範囲が広ければより多くの顧客価値提供機会が生まれ、より大きな収益が期待できます。
 

(3)自社の独自性実現 

 3つ目が、自社の独自性の実現です。いくら顧客提供価値が多く、またその適用範囲が広くても、同様の技術領域において他社が強ければ、収益機会は大幅に減...
 

1.オープン・イノベーションの文脈の中での「コア技術」の定義 

  前回のその19に続いて解説します。「コア技術」という言葉については、一般的に明確な定義はありません。各社それぞれ、また各人それぞれの認識に基づき、「コア技術」を使っているのが実態と思います。オープン・イノベーションの類型という文脈の中で、今回は「コア技術」をどう考えているのか、について説明をしたいと思います。ここでは「コア技術」を技術戦略の中核の概念と捉え、今後自社が戦略的に継続的に強化すべき技術「領域」と定義し、この技術「領域」の技術を使って、今後自社の新製品や新事業を継続的に創出し、収益を挙げることを目的とします。ここでの重要なポイントは、コア技術とは必ずしも自社が現在強い技術である必要はなく、将来に向かって未来志向で長期に渡り継続的に強化すべき技術であるという点です。
 
 この技術「領域」であるコア技術は、2つの手段により強化されます。1つは、継続的にこのコア技術を使って製品・事業を数多く創出し、その結果としてこのコア技術を強化する方法です。つまり、上で説明した目的(つまり「自社の新製品や新事業を継続的に創出し、収益を挙げる」こと)が、コア技術を強化する手段でもあるということです。もう1つが、オープン・イノベーションの活動を通して、外部を活用することでこの技術領域を強化するということです。
  

2.コア技術の設定の3つの軸  

 それでは、この「コア技術」はどのような基準で選定されるのかについて、議論したいと思います。このコア技術は以下の3つの軸に基づき設定するのが良いと言われており(「MOT[技術経営]入門」、延岡健太郎著、P.133)、私もこの考え方に強く賛同するものです。
 

(1)顧客提供価値の大きさ 

 1つ目が、その技術領域が創出する顧客価値の大きさです。なぜ顧客価値かというと、顧客は自己が享受する価値に応じて対価を支払うため、その価値が大きければ大きいほど、多くの対価を支払ってくれるからです。以下2つの「コア技術」選定の基準を含め、コア技術は「収益に直接的に貢献する」技術領域であるという考え方が、この背景にあります。
 

(2)適用範囲の広さ 

 2つ目がそのコア技術の適用範囲の広さです。適用範囲が広ければより多くの顧客価値提供機会が生まれ、より大きな収益が期待できます。
 

(3)自社の独自性実現 

 3つ目が、自社の独自性の実現です。いくら顧客提供価値が多く、またその適用範囲が広くても、同様の技術領域において他社が強ければ、収益機会は大幅に減ってしまいます。そのため、その技術領域は自社の独自性が発揮できなければなりません。しかし、ここで注意したいのが、上でも議論した通り、この自社の独自性も未来志向で考えるということです。現状では、将来独自性を発揮「したい」と考える技術領域でかまいません。なぜなら、今後この技術流域で継続的にかつ積極的に新製品や新事業を生み出すことと、オープン・イノベーションにより外部を活用するという「今後の活動」により、このコア技術を強化していくものだからです。
 

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この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

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