マトリクス体制での品質保証1 プロジェクト管理の仕組み (その30)

更新日

投稿日

 適切な品質管理を実施できるような仕組みを構築し、運用することが品質保証であることを前回説明しました。品質管理を正しく実施するポイントは、製品(ここではサービスを含むことにします)の開発に先立って適切な品質計画を作成することでした。そして、個別製品の品質計画は、組織で整備されている標準にもとづいて作成できるようになっていることも忘れてはならないポイントでした。
 
 前回紹介したISO9001やPMBOKでは、どちらも個別の製品開発を前提とした品質管理の説明になっており、プロジェクト軸と要素技術(職能)軸で成り立っているマトリクス体制(図64参照)でどのように運用するのかは、明確に述べてはいません。今回は、このマトリクス体制での品質保証について考えてみたいと思います。
 
R&D
図64.マトリクス体制
 
 図64に示したように、マトリクス体制では組織図上の基本単位(グループ)が電気・電子、機構、ソフトなど技術領域ごとに分かれており、それぞれのグループにはマネジャーがいます。そして、技術領域ごとのグループからメンバーを出して、そのメンバーがプロジェクト・メンバーとなって個別の製品開発を行います。こうやって組織化されたプロジェクトにはプロジェクトマネジャーが存在しており、メンバーはプロジェクトマネジャーの指示に従って製品開発を進めます。
 
 会社によっては技術領域ではなく、プロジェクトが組織図上の基本単位になっていることもあります。その場合は、技術領域ごとにタスクフォースワーキンググループのようなものを構成して技術リーダーを置き、プロジェクトを超えてコミュニケーションできる仕組みを運用していることが多いようです。しかし、技術領域軸でメンバーの育成や評価を行う方が容易なため、技術領域を組織図上の基本単位としてい...
 適切な品質管理を実施できるような仕組みを構築し、運用することが品質保証であることを前回説明しました。品質管理を正しく実施するポイントは、製品(ここではサービスを含むことにします)の開発に先立って適切な品質計画を作成することでした。そして、個別製品の品質計画は、組織で整備されている標準にもとづいて作成できるようになっていることも忘れてはならないポイントでした。
 
 前回紹介したISO9001やPMBOKでは、どちらも個別の製品開発を前提とした品質管理の説明になっており、プロジェクト軸と要素技術(職能)軸で成り立っているマトリクス体制(図64参照)でどのように運用するのかは、明確に述べてはいません。今回は、このマトリクス体制での品質保証について考えてみたいと思います。
 
R&D
図64.マトリクス体制
 
 図64に示したように、マトリクス体制では組織図上の基本単位(グループ)が電気・電子、機構、ソフトなど技術領域ごとに分かれており、それぞれのグループにはマネジャーがいます。そして、技術領域ごとのグループからメンバーを出して、そのメンバーがプロジェクト・メンバーとなって個別の製品開発を行います。こうやって組織化されたプロジェクトにはプロジェクトマネジャーが存在しており、メンバーはプロジェクトマネジャーの指示に従って製品開発を進めます。
 
 会社によっては技術領域ではなく、プロジェクトが組織図上の基本単位になっていることもあります。その場合は、技術領域ごとにタスクフォースワーキンググループのようなものを構成して技術リーダーを置き、プロジェクトを超えてコミュニケーションできる仕組みを運用していることが多いようです。しかし、技術領域軸でメンバーの育成や評価を行う方が容易なため、技術領域を組織図上の基本単位としているケースの方が多いと思います。どちらにしても、マトリクス体制ではプロジェクト軸と技術領域軸という2つの軸で開発マネジメントを行うことには変わりありません。
 
 次回は、品質管理の仕組みで重要となる品質計画を切り口にして、マトリクス体制における品質保証を考えてみましょう。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
オープン・イノベーションを社内で実現する方法  研究テーマの多様な情報源(その29)

1.自社のコア技術を外部に発信する理由    前回のその28に続いて解説します。それでは、まず自社のコア技術を外部に発信する理由は何なのでし...

1.自社のコア技術を外部に発信する理由    前回のその28に続いて解説します。それでは、まず自社のコア技術を外部に発信する理由は何なのでし...


影響を当える関係とは 普通の組織をイノベーティブにする処方箋(その93)

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。今回は、下記の「関係性の種類」の中の「(3)包含」につ...

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。今回は、下記の「関係性の種類」の中の「(3)包含」につ...


技術承継への道のり 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その45)

        国内産業の課題の一つにもなっている「事業承継」、あなたの会社・組織の技術資産は、承継の仕組み...

        国内産業の課題の一つにもなっている「事業承継」、あなたの会社・組織の技術資産は、承継の仕組み...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
設計部門と組織政治の影響(その2)

 前回のその1に続いて解説します。   1. 政治的要因のリストアップ    設計部門と組織政治の影響を考察する際に、最初にや...

 前回のその1に続いて解説します。   1. 政治的要因のリストアップ    設計部門と組織政治の影響を考察する際に、最初にや...


ソフト開発計画の作成方法 プロジェクト管理の仕組み (その5)

 前回のその4:プロジェクトの進捗管理に続いて解説します。前回は CMMI を使い、要件管理、計画作成、進捗管理のポイントを紹介しました。多くの開発組織で...

 前回のその4:プロジェクトの進捗管理に続いて解説します。前回は CMMI を使い、要件管理、計画作成、進捗管理のポイントを紹介しました。多くの開発組織で...


トレーサビリティの保証 プロジェクト管理の仕組み (その43)

 前回までシステム設計について、その基本の考え方や実施方法について解説してきました。多くの組織で、システム設計は、できる人だけの作業になっており、設計の最...

 前回までシステム設計について、その基本の考え方や実施方法について解説してきました。多くの組織で、システム設計は、できる人だけの作業になっており、設計の最...