システム設計1 プロジェクト管理の仕組み (その33)

更新日

投稿日

 コンサルタントとして多くの開発現場に入ると、普段使っている単語、もしくは意味しているものが開発現場によって想像以上に違うことを実感します。たとえば、「レビュー」という基本的な単語ひとつとっても、開発工程ごとに完了確認を行うための公式な会議を意味する開発現場もあれば、技術者同士が議論しながら設計を確認することを意味する開発現場もあります。そうすると、「レビューはきちんとやっています」と話してくれたとしても、開発工程ごとに適切な中間成果物が作成されたことを、組織として客観的に確認していると言うことなのか、技術者が行う設計作業の一貫として他の技術者に自分の設計結果を見てもらうと言うことなのか、その発言が意味する内容は大きく違ってしまいます。
 
 「システム設計」も、開発現場によってその位置づけや作業内容が想像以上に違う言葉のひとつです。そもそも、開発の上流工程が明確になっていないと言うこともあるのですが、開発現場によって対象となる領域が、ハードウェアだけなのかソフトウェアだけなのか、それともハードとソフトを併せた製品あるいはシステム全体なのかも違いますし、仕様や顧客要求を詳細化することを指すのか、仕様や顧客要求を製品やシステムの構造に変換(マッピング)することを指すのかという開発工程上の位置づけも違います。
 
 ここでは、システム設計を図67 のように定義したいと思います。図67 は開発の上流工程を記述したものですが少し解説しておきます。一番左にあるのがエンドユーザや顧客の要望、ニーズですが、それらはエンドユーザの言葉で記述されたものですから整合性や一貫性は保証されていません。これをハードウェア、ソフトウェア、その他いくつかのサブシステムに分けて、相互に不整合がないように要件を整理する作業を「システムエンジニアリング」工程と定義しています。さらに、システムエンジニアリングで明確になったハードウェア要件は「ハードウェアエンジニアリング」により、ハードウェアの仕様や内部構造、必要な開発作業などに分解(展開)されます。同様にソフトウェア要件は「ソフトウェアエンジニアリング」によりソフトウェア仕様、ソフト内部構造、必要な開発作業などに分解(展開)されます。
 
 このように開発工程を定義したとき、「システムエンジニアリング」と「ハードウェアエンジニアリング」「ソフトウェアエンジニアリング」などのサブシステムごとのエン...
 コンサルタントとして多くの開発現場に入ると、普段使っている単語、もしくは意味しているものが開発現場によって想像以上に違うことを実感します。たとえば、「レビュー」という基本的な単語ひとつとっても、開発工程ごとに完了確認を行うための公式な会議を意味する開発現場もあれば、技術者同士が議論しながら設計を確認することを意味する開発現場もあります。そうすると、「レビューはきちんとやっています」と話してくれたとしても、開発工程ごとに適切な中間成果物が作成されたことを、組織として客観的に確認していると言うことなのか、技術者が行う設計作業の一貫として他の技術者に自分の設計結果を見てもらうと言うことなのか、その発言が意味する内容は大きく違ってしまいます。
 
 「システム設計」も、開発現場によってその位置づけや作業内容が想像以上に違う言葉のひとつです。そもそも、開発の上流工程が明確になっていないと言うこともあるのですが、開発現場によって対象となる領域が、ハードウェアだけなのかソフトウェアだけなのか、それともハードとソフトを併せた製品あるいはシステム全体なのかも違いますし、仕様や顧客要求を詳細化することを指すのか、仕様や顧客要求を製品やシステムの構造に変換(マッピング)することを指すのかという開発工程上の位置づけも違います。
 
 ここでは、システム設計を図67 のように定義したいと思います。図67 は開発の上流工程を記述したものですが少し解説しておきます。一番左にあるのがエンドユーザや顧客の要望、ニーズですが、それらはエンドユーザの言葉で記述されたものですから整合性や一貫性は保証されていません。これをハードウェア、ソフトウェア、その他いくつかのサブシステムに分けて、相互に不整合がないように要件を整理する作業を「システムエンジニアリング」工程と定義しています。さらに、システムエンジニアリングで明確になったハードウェア要件は「ハードウェアエンジニアリング」により、ハードウェアの仕様や内部構造、必要な開発作業などに分解(展開)されます。同様にソフトウェア要件は「ソフトウェアエンジニアリング」によりソフトウェア仕様、ソフト内部構造、必要な開発作業などに分解(展開)されます。
 
 このように開発工程を定義したとき、「システムエンジニアリング」と「ハードウェアエンジニアリング」「ソフトウェアエンジニアリング」などのサブシステムごとのエンジニアリングを「システム設計」と定義します。したがって、システム設計の対象領域は製品(システム)全体、および、そのサブシステムであるハードウェア全体やソフトウェア全体となります。また、開発工程としては、仕様を詳細化する工程も、仕様から内部構造に変換(マッピング)する工程も含まれます。
 
R&D
図67. システム設計とは
 
 次回は、開発現場で起きているシステム設計の問題について解説します。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
強みは未来志向で設定 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その46)

        前々回からKETICモデルのK(Knowledge)の知識の3つの要素の内、「自社の強み」を...

        前々回からKETICモデルのK(Knowledge)の知識の3つの要素の内、「自社の強み」を...


自社の行く末を徹底して考えるとは 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その27)

 KETICモデルの中の知識(Knowledge)の内、ここまで3回にわたりコア技術について解説していましたが、肝心のコア技術とは何か?それをどう設定する...

 KETICモデルの中の知識(Knowledge)の内、ここまで3回にわたりコア技術について解説していましたが、肝心のコア技術とは何か?それをどう設定する...


『価値づくり』の研究開発マネジメント (その18)

    前回のオープンイノベーションの心理学では、組織の構成員の持つオープンイノベーションに対する漠然とした不安について解説しま...

    前回のオープンイノベーションの心理学では、組織の構成員の持つオープンイノベーションに対する漠然とした不安について解説しま...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
プロジェクトの計画策定 プロジェクト管理の仕組み (その3)

 前回のその2:CMMIの要件管理に続いて、プロジェクトの計画策定について解説します。CMMIでは次のことができている必要があります。   ...

 前回のその2:CMMIの要件管理に続いて、プロジェクトの計画策定について解説します。CMMIでは次のことができている必要があります。   ...


‐産学交流からの開発テ-マと市場の観察‐  製品・技術開発力強化策の事例(その7)

 前回の事例その6に続いて解説します。産学交流による開発テ-マの探索や共同開発に関心が寄せられています。 大学には基礎研究の面で優れた開発テ-マの候補にな...

 前回の事例その6に続いて解説します。産学交流による開発テ-マの探索や共同開発に関心が寄せられています。 大学には基礎研究の面で優れた開発テ-マの候補にな...


作業要素の進捗分析1 プロジェクト管理の仕組み (その18)

 連載で、進捗管理に利用する基本メトリクスセット(図41)について解説を続けています。前回はソフトウェア開発における成果物メトリクスについて解説しました。...

 連載で、進捗管理に利用する基本メトリクスセット(図41)について解説を続けています。前回はソフトウェア開発における成果物メトリクスについて解説しました。...