作業要素の進捗分析2 プロジェクト管理の仕組み (その19)

更新日

投稿日

  前回のその18:作業要素の進捗分析1に続いて解説します。
 
 図50は製品構造の観点から管理単位にブレークダウンした例です。製品がどのようなモジュールから成り立っているかを示しているのでモジュール構造ということができます。製品構造の観点からのブレークダウンは、適切なモジュール構造となるような管理単位に分けるということになります。適切なモジュール構造は、個々のモジュールが実現している機能がそのモジュール内では強い関連を持っていて、他のモジュールとのつながりはシンプルなインタフェースやプロトコルで表現できるという特徴を持っています。図50 は簡略化した内容ですが、「Start」や「Stop」などのシンプルなコマンドだけでモジュールがつながっており、そのコマンドで実行されるモジュール機能は、図では書いていませんが、モジュール名に関係した機能を集めたものになっています。
 
R&D
図50.製品構造から見た分類
 
 そして、適切なモジュール構造がそのままプロジェクトにおける管理単位(進捗管理の単位)となっているのが理想的なプロジェクト体制なのです。この例の場合、プロジェクトが図51に示すようなチームに分かれているのが理想となります。もちろん、実際のプロジェクトでは、評価チームや部品管理チームなど、図51に示す以外にも様々なチームを必要とすることはありますが、基本的なチーム編成が製品のモジュール構造に合っているということです。
 
R&D
図51.製品構造に合わせた開発体制
 
 そもそも適切なモジュールというのは、実現する機能が固まっていて他のモジュールとの関係がシンプルになっているという性質を持っているのですから、開発を行うチームとしてもそれに合わせるのが都合が良いはずです。さらに、このチームが電気・電子担当、機構担当、ソフト担当の混成チームになっていれば、よりよい体制になります。このレベルを実現するのは相当大変です。
 
 作業要素メトリクスとして機能させるには、このようにプロジェクト全体をいくつかのチームに分解して、それぞれのチームの開発作業が開発スケジュール上で区別さ...
  前回のその18:作業要素の進捗分析1に続いて解説します。
 
 図50は製品構造の観点から管理単位にブレークダウンした例です。製品がどのようなモジュールから成り立っているかを示しているのでモジュール構造ということができます。製品構造の観点からのブレークダウンは、適切なモジュール構造となるような管理単位に分けるということになります。適切なモジュール構造は、個々のモジュールが実現している機能がそのモジュール内では強い関連を持っていて、他のモジュールとのつながりはシンプルなインタフェースやプロトコルで表現できるという特徴を持っています。図50 は簡略化した内容ですが、「Start」や「Stop」などのシンプルなコマンドだけでモジュールがつながっており、そのコマンドで実行されるモジュール機能は、図では書いていませんが、モジュール名に関係した機能を集めたものになっています。
 
R&D
図50.製品構造から見た分類
 
 そして、適切なモジュール構造がそのままプロジェクトにおける管理単位(進捗管理の単位)となっているのが理想的なプロジェクト体制なのです。この例の場合、プロジェクトが図51に示すようなチームに分かれているのが理想となります。もちろん、実際のプロジェクトでは、評価チームや部品管理チームなど、図51に示す以外にも様々なチームを必要とすることはありますが、基本的なチーム編成が製品のモジュール構造に合っているということです。
 
R&D
図51.製品構造に合わせた開発体制
 
 そもそも適切なモジュールというのは、実現する機能が固まっていて他のモジュールとの関係がシンプルになっているという性質を持っているのですから、開発を行うチームとしてもそれに合わせるのが都合が良いはずです。さらに、このチームが電気・電子担当、機構担当、ソフト担当の混成チームになっていれば、よりよい体制になります。このレベルを実現するのは相当大変です。
 
 作業要素メトリクスとして機能させるには、このようにプロジェクト全体をいくつかのチームに分解して、それぞれのチームの開発作業が開発スケジュール上で区別されている必要があります。簡単に表現すると、プロジェクト管理の基本単位が明確になっていて、その単位は製品構造との関連づけが明確になっているということです。これができていれば、製品構造上の必要な範囲(単位)で進捗を見ることができ、その範囲のチームメンバーおよび進捗責任も明らかです。
 
 次回は、作業要素の進捗分析3です。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
アイディアを共有する組織づくり 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その30)

        新規事業や新商品のアイディアをいかに発想するかについて紹介して参りましたが、今回はアイディア...

        新規事業や新商品のアイディアをいかに発想するかについて紹介して参りましたが、今回はアイディア...


技術戦略  研究テーマの多様な情報源(その30)

   前回のその29に続いて解説します。「市場起点の思考と活動」、「オープン・イノベーションの徹底」および「コア技術戦略の追求」の3つの要素に...

   前回のその29に続いて解説します。「市場起点の思考と活動」、「オープン・イノベーションの徹底」および「コア技術戦略の追求」の3つの要素に...


テレワークと合意形成 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その76)

  ◆ オンラインで作る研究開発テーマ企画  ここ数ケ月、ニュースなどで「生活や働き方をニューノーマル時代に合わせて変えましょう」と盛ん...

  ◆ オンラインで作る研究開発テーマ企画  ここ数ケ月、ニュースなどで「生活や働き方をニューノーマル時代に合わせて変えましょう」と盛ん...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
進捗管理の精度を上げる:第1回 プロジェクト管理の仕組み (その13)

 前回は進捗管理の基本的な考え方を紹介しました。今回は、この考え方にしたがってどのような方法で実際に進捗を把握できるのかを紹介したいと思います。具体的な話...

 前回は進捗管理の基本的な考え方を紹介しました。今回は、この考え方にしたがってどのような方法で実際に進捗を把握できるのかを紹介したいと思います。具体的な話...


仕組み見直しとグローバル化(その3)

 前回のその2に続いて解説します。設計のカギを握っているリーダーの振る舞いは、開発のパフォーマンスやメンバー育成に大きな影響を及ぼします。したがって、リー...

 前回のその2に続いて解説します。設計のカギを握っているリーダーの振る舞いは、開発のパフォーマンスやメンバー育成に大きな影響を及ぼします。したがって、リー...


トレーサビリティの保証 プロジェクト管理の仕組み (その43)

 前回までシステム設計について、その基本の考え方や実施方法について解説してきました。多くの組織で、システム設計は、できる人だけの作業になっており、設計の最...

 前回までシステム設計について、その基本の考え方や実施方法について解説してきました。多くの組織で、システム設計は、できる人だけの作業になっており、設計の最...