仕組みの見直しに成功する組織2 プロジェクト管理の仕組み (その26)

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 前回の仕組みの見直しに成功する組織1に続いて解説します。
 
 仕組みの見直しに成功する組織の考察ですが、今回は、マネジメントのコミットメントです。ここでいっているマネジメントとは、仕組み見直しに対するオーナーシップとスポンサーシップを持つマネジャーのことです。部長クラス以上のシニアマネジャーという感じでしょうか。仕組みの見直しを実行するのに必要なメンバーや費用などを決裁できる立場のマネジャーというと、もう少し正確かもしれません。ここでは、シニアマネジャーという表現で統一しておきます。
 
 コミットメントという言葉はよく聞くようになりましたが、単に宣言した約束を守るというようなイメージがあるのではないでしょうか。たとえば、『仕組み見直しのためのプロジェクトチームを作った。予算もつけた。これで、シニアマネジャーとしてのコミットメントは果たした』と満足しているシニアマネジャーは多いものです。でも、コミットメントとはもっと重い意味を持っているのです。それでは、試しに図61のクイズを解いてみてください。コミットメントの意味を確認するためのクイズです。
 
R&D
図61. コミットメントとは
 
 では、答えです。この2人のうちコミットしているのはブタの方です。ニワトリはハムエッグを作るのにタマゴを提供するわけですが、この場合、たくさん産んでいるタマゴのひとつや2つを差し出すのは当たり前のことでしょう。しかし、ブタは自分の肉を切り取って差し出すことになります。まさに、自分の身を削ってハムエッグを作るわけです。コミットするとは、このように自分自身の身を削る覚悟ができているということですし、実際、コミットしたことを実行するときには自分の身を削ることになるわけです。
 
 シニアマネジャーが仕組み見直しのためのプロジェクトチームを結成し予算をつけるというのは、マネジャーとして当たり前の仕事をしただけであってコミットメントを実行したとはいえません。プロジェクトチームのミーティングに出て自分の思いを伝える(忙しいにもかかわらず自分の時間を使うということです)上位のマネジメントや経理と掛け合ってメンバーや予算が足りないという声に答える(自ら普通では確保できないメンバーや予算をとるために汗を流す)少なくとも、シニアマネジャーにとってのコミットメントとは、このような行動をとることだといえるでしょう。
 
 シニアマネジャーがこのような覚悟を持っていること、そして、実際に自分の時間を使うなど身を削る行動を起こしていること、こういうシニアマネジャーがいると仕組み見直しは絶対に成功します。シニアマネジャーがコミットメントを体現するのは何か問題が起きたときだけでも良いのです。コミットメントを体現するシニアマネジャーは仕組み見直しに関係しているメンバーだけでなく、組織全体を変えます。
 
 最後にもう一つだけ挙げておきましょう。それは勉強する姿勢です。仕組み見直しの推進者、当事者となったメンバーは(リーダーはもちろんです)、関係することについて猛勉強をしなくてはいけません。リーダーも含めて推進メンバーは技術者であることがほとんどです。そして、見直す仕組みというのは自分たちが業務としてかかわっている仕組みなのだからと、自分たちの考えや知識だけで仕組み構築を進めてしまう。このようなケースが少なくありません。自分たちのことだから自分たちが一番わかっているという自負もあるのでしょう。
 
 しかしながら、仕組み構築ということに関しては推進メンバーは素人であることがほとんどです。関係している業務の現状を調査することや、他社含めて世の中にどのような考え方や事例があるのか、そして、仕組み構築や開発プロセス改善の進め方など、事前に勉強できることはたくさんあるはずです。事前勉強が不足していては、仕組み作りに一生懸命に取り組んだとしてもトライ&エラーを繰り返すことになるのは目に見えています。ひとつの見直しだけで...
 前回の仕組みの見直しに成功する組織1に続いて解説します。
 
 仕組みの見直しに成功する組織の考察ですが、今回は、マネジメントのコミットメントです。ここでいっているマネジメントとは、仕組み見直しに対するオーナーシップとスポンサーシップを持つマネジャーのことです。部長クラス以上のシニアマネジャーという感じでしょうか。仕組みの見直しを実行するのに必要なメンバーや費用などを決裁できる立場のマネジャーというと、もう少し正確かもしれません。ここでは、シニアマネジャーという表現で統一しておきます。
 
 コミットメントという言葉はよく聞くようになりましたが、単に宣言した約束を守るというようなイメージがあるのではないでしょうか。たとえば、『仕組み見直しのためのプロジェクトチームを作った。予算もつけた。これで、シニアマネジャーとしてのコミットメントは果たした』と満足しているシニアマネジャーは多いものです。でも、コミットメントとはもっと重い意味を持っているのです。それでは、試しに図61のクイズを解いてみてください。コミットメントの意味を確認するためのクイズです。
 
R&D
図61. コミットメントとは
 
 では、答えです。この2人のうちコミットしているのはブタの方です。ニワトリはハムエッグを作るのにタマゴを提供するわけですが、この場合、たくさん産んでいるタマゴのひとつや2つを差し出すのは当たり前のことでしょう。しかし、ブタは自分の肉を切り取って差し出すことになります。まさに、自分の身を削ってハムエッグを作るわけです。コミットするとは、このように自分自身の身を削る覚悟ができているということですし、実際、コミットしたことを実行するときには自分の身を削ることになるわけです。
 
 シニアマネジャーが仕組み見直しのためのプロジェクトチームを結成し予算をつけるというのは、マネジャーとして当たり前の仕事をしただけであってコミットメントを実行したとはいえません。プロジェクトチームのミーティングに出て自分の思いを伝える(忙しいにもかかわらず自分の時間を使うということです)上位のマネジメントや経理と掛け合ってメンバーや予算が足りないという声に答える(自ら普通では確保できないメンバーや予算をとるために汗を流す)少なくとも、シニアマネジャーにとってのコミットメントとは、このような行動をとることだといえるでしょう。
 
 シニアマネジャーがこのような覚悟を持っていること、そして、実際に自分の時間を使うなど身を削る行動を起こしていること、こういうシニアマネジャーがいると仕組み見直しは絶対に成功します。シニアマネジャーがコミットメントを体現するのは何か問題が起きたときだけでも良いのです。コミットメントを体現するシニアマネジャーは仕組み見直しに関係しているメンバーだけでなく、組織全体を変えます。
 
 最後にもう一つだけ挙げておきましょう。それは勉強する姿勢です。仕組み見直しの推進者、当事者となったメンバーは(リーダーはもちろんです)、関係することについて猛勉強をしなくてはいけません。リーダーも含めて推進メンバーは技術者であることがほとんどです。そして、見直す仕組みというのは自分たちが業務としてかかわっている仕組みなのだからと、自分たちの考えや知識だけで仕組み構築を進めてしまう。このようなケースが少なくありません。自分たちのことだから自分たちが一番わかっているという自負もあるのでしょう。
 
 しかしながら、仕組み構築ということに関しては推進メンバーは素人であることがほとんどです。関係している業務の現状を調査することや、他社含めて世の中にどのような考え方や事例があるのか、そして、仕組み構築や開発プロセス改善の進め方など、事前に勉強できることはたくさんあるはずです。事前勉強が不足していては、仕組み作りに一生懸命に取り組んだとしてもトライ&エラーを繰り返すことになるのは目に見えています。ひとつの見直しだけでも現場に定着するまでに多くの時間が必要になるのは避けられないことになります。
 
 当事者でありながら勉強をしないというのは、基本的に成功させるという意識が低いということだと思いますし、時間というリソースをムダにすることに対する意識が低いということだと思います。勉強に対する姿勢で意識の高さを見ることができるわけです。推進者の意識が低ければ、仕組みの構築や見直しが成功する確率は非常に低くなるのは当然でしょう。
 
 以上の3つが、仕組みの構築や見直しに成功する組織に共通している特徴です。これらの特徴がないからといって成果を出せないわけではないのですが、組織の責任者は組織がこの3つの特徴を持つように組織文化を変えることは決してムダではないはずです。ご検討ください。
 
 

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この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

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