製品・技術開発力強化策の事例(その29)‐5Sの推進でコストダウンを図る

1.5S導入のための考え方

 前回のその28に続いて解説します。5Sはムダな作業動作を少なくして、作業性良くし生産性の向上を図る目的で行います。5Sを取り上げる目的をこのように明確にした上で5S運動を導入する事が何よりも大切です。形だけの5S運動になっている例が多く、形だけの5S運動になると、何処に工具や部品等を収納したのか、置き場が分らず作業性が悪くなり、「整理をしたために作業がしにくくなった。」そのような現場の声が聞こえ場合があります。
 
 この場合、整理・整頓を行っているのでなく、片付けを行っているのです。片付けと整理・整頓の違いを明らかにする事が大切です。片付けはル-ルを決めず器具、資材類を棚や箱等に収納する事で、収納した人以外は何処に収納したのか判らず、必要なものを直ぐに取り出せないため、却って作業性が悪くなります。5Sを導入するには置き方に関するル-ルを決め、ル-ルの通りに実行していく必要があります。『 清掃 』以外の整理・整頓・清潔・躾のル-ルを決めるための判断の根拠になるのは次のような考えによります。
 
 整理
 
 毎日、毎週、毎月及び毎年のように、使用頻度によって要るものと、要らないものに分けます。要らないものは処分します。その内に要るかもしれないと曖昧な判断に基づいて残しておくようなことはしてはいけません。
 
 整頓
 
 使用頻度の高いものは手近に、頻度が低くなるほど離して置きます。必要な量も決めて取り出しやすく確実に保管できる収納方法を工夫して決めます。つまり、棚、箱、引き出し、など収納するに最適な方法を決めたら、収納品の表示を行います。箱に収納する場合には、手前だけでも中に何があるのか分るような透明部分を設けます。段ボ-ル箱の手前に透明のプラスチック板を取りつけている例があります。大切なことは、余分な物が置ける空間を作らない、空間があるとつい、別のものをちょっと置く人が出てきます。空間を作らないように棚を詰めていくと増設が必要と考えていた棚が却って余ってくる場合があります。そして、見て分るように表示を確実に行うことで棚の有効活用が図られます。
 
 清潔
 
 常に身なりの整った服装をして心の佇まいを良くします。身なりが良くないと心の佇まいが乱れ、5Sや品質に好ましくない影響が出ます。
 
 習慣(躾)
 
 決めたル-ルを確実に守る職場習慣を定着させます。一度決めたル-ルは必ず実行します。実行していない人を見た場合、気付いた人が注意します。注意された人は素直に受け止めて実行。注意する相手は上司であっても構わないこととします。気が付いた人が注意する事は大切な事です。ル-ル違反した部長が5S掲示板に作業員からル-ル違反していると指摘した掲示をされ、部長が「大変申し訳ないことでした」と5S掲示板に回答を記載している企業を見たことがあります。このように人の行動は習慣になっているので、気がついた人が即座に指摘する仕組みを作らないと、長い間に良くない習慣が身についている職場の意識改革を行って、成果を上げることは容易ではありません。
 
 特に、経営者は決めたル-ルが確実に習慣として定着するまで気が付いた点を朝礼などの場を利用して注意を与え続ける事が大切な事です。1~2回注意してル-ルが守られないことを嘆いている経営者がいますが、根気よく注意を続ける事無くして、良い習慣を定着させる事は出来ません。
 

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2.5Sの実行

 5Sを実行するには、何から取り上げていくべきか、職場内に発生している問題点を洗い出し、どの問題が共通した高い関心になっているのか、職場で話し合いを行い、納得出来るテ-マにまとめあげます。一方的に管理者が整理整頓の方法を決めて指示する事は、早く結論が出て時間の節約になり効果が得られるように考えられるますが、その実行度は低く習慣として定着する事は少なく、理由が判らず消化不良になります。整理・整頓のような作業者に最も身近な問題は、作業者自身に考えてもらうことが、肝要です。
 
 実行してみると、しっかり検討して決めた5Sの方法であっても、具合の悪い点が出てきます。問題点に気付いた作業者には提案する権利があります。提案を受けた管理者はル-ルの改訂に関する検討会を開催し、改訂の可否を決めます。これを何回か繰り返す事で企業に最適のル-ルがつくられます。また、資金をかけないで出来る方法を工夫する事が大切です。5Sは金をかければ出来るような簡単なことではありません。知恵を出し合い、職場の関係者が納得できる方法を考え出し、直ちに役割を決めて実行していく。そして、期待通りにならなかったら具合の良くない点を見つけ出し、改善を続ける。どんなに簡単なことでも1回で旨く行く事は無く、諦めずに粘り強く取り組んでいく必要があります。
 

この記事の著者

新庄 秀光

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