製品・技術開発力強化策の事例(その36)‐経営計画立案の手順

 前回の事例その35に続いて解説します。経営計画は経営方針に基づいて立てる必要があります。「少規模の企業ではこのようなことは必要ではない」と簡単に片付ける傾向がありますが、それは大きな間違いです。例え下請けであっても流れてくる仕事を言われるままに処理するようなことでは活路が開けません。何をどのように改善すれば生産性がどの程度向上するのか、そのような視点で経営の現状を点検すると、いくらでも経営の課題はあるはずなので、それらを整理して経営計画に反映させます。経営計画立案の手順は次のようになります。小規模企業の場合の事例です。
 
(1)現状調査を行い、数量的な把握をする。
 
 製品別(または技術分野別)の売上傾向から、何をどのように伸ばすのか、「製品別売上高の推移」として作成します。また、社内に発生している問題点を整理して、損失発生を最小限に押さえるには何を課題にしなければならないのか、人件費などの経費の増加傾向からこれを吸収するに必要な対策は何か、このような現状について計数的な把握を行います。
 
(2)最終の到達目標値を先に掲げる
 
 所定の利益を確保して経営を安定させるのに必要な製品別売上目標はどの程度に設定するのか、不良率などの損失防止をどの程度までに押さえ込むのか、生産のリ-ドタイム(受注から納品までの期間)をどの程度まで短縮させるのか、コストダウンのための技術開発ではどの程度にするのか、一人当り生産高の増加、在庫高(原料、仕掛品、製品)の圧縮等を取り上げ、これらについて具体的な目標値を掲げます。ただし、リ-ドタイムの短縮は最も効果のあがるコストダウン対策であり、かつ、受注対策としても効果を発揮します。受注対策で大切なことは、納期短縮とクレ-ム発生をゼロにする事です。これらの問題にどのように対処するのか検討します。値下げ競争で受注するのでなく、適正な価格で受注確保するには、これらの問題が非常に大切です。
 
(3)目標達成に必要な乗り越えなければならない問題点を幾つか上げる。
 
 それぞれの目標値が掲げられたら、目標達成のために解決しなければならない問題は何か、問題点を全て列挙しま。不良率の減少には、設備の改善、品質デ-タの解析技術の向上、作業員の技能向上が考えられます。リ-ドタイムの短縮には生産計画立案方法(見て判る表示法の開発)の見直し、業務連絡法の見直し、ネック工程の発見と抜本的な改善、段取り替え作業時間の短縮、調達業務の見直しなどが上げられます。その他の損失防止には、設計方法の改善、5S(整理、整頓、清掃、清潔、習慣)の徹底、在庫高の削減、設備故障の予防対策、等が考えられます。
 
(4)問題点を解決していく順序を決める。
 
 それぞれの目標値達成のために解決が必要なとされる事項を列記したら、最も効果が大きく上がると期待される事項から順次取り上げることにして、解決すべき順序を決めます。効果は大きいが技術的に困難で時間がかかりすぎて今期内に解決が出来ないと予想される場合には、その問題を見送り次善の問題を取り上げる方が良い場合もあります。何よりも大切なことは、やったことの効果が目に見える形で現れるような取り組み方をして、「やれば出来る」と自信を持たせるような導き方が大切です。効果が自覚できなければ改善意欲を持続させることは非常に難しい。「同じ事を繰り返しているほうが楽であり、馴れないことをして失敗したくない」そのような心理に陥らない対策としては、効果を自覚できる事が大切なことです。そのために、改善前後のデ-タを取り比較する方法を取ります。
 
(5)順序に従い問題点を月次目標として1年の間に割り付ける。
 
 問題点を解決していく順序が決められたら、月次目標として割付を行います。数ヶ月間に渡って解決しなければならない問題点もあります。問題点を解決するに必要と考える期間を予想して割り付けます。
 
(6)月次目標を解決する月次の活動計画として割り当てる。
 
 数ヶ月間を要する月次目標については、その目標を達成するに必要な副次的なテ-マがあるはずだからそれを見つけ出して、月次の活動目標として割り付ける。毎月に到達する必要のある中間目標を設定しないと、最終目標を達成しなければならない期限が迫ってくるとあわてて処理するようになります。この場合、報告のための対策になり、形式的で本当に効果の得られる対策になっていない場合が多い。毎月必ず達成しなければならない中間目標値を決めておくことで改善への取り組みを継続して行うような習慣を付ける様にします。そして、日常業務の中に改善活動が習慣的になって溶け込んでいることが大切なことです。期限が迫ってから、不定期に思い出したように改善活動に取り組んでみても効果を上げることはできません。
 
(7)全ての月に活動計画が割り当てられているのか、点検し、空いている月があれば、隙がないように   前倒しして活動の平準化を図る。
 
 全ての月に活動計画が割り当てられているのか、点検し、空いている月があれば割付の内容を見直して、活動計画の平準化を図ります。また、負荷が不当に過大になっていると考えられる月があれば、その見直しを行うため、中間目標値の設定を改めます。
 
この項、経営計画立案の手順、第2回へ、続けます。
 

この記事の著者

新庄 秀光

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