プレス金型メーカーの挑戦 伸びる金型メーカーの秘訣 (その34)

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  生産マネジメント
 
 今回紹介するプレス金型メーカーは、P株式会社です。今回、各部門が一堂に集まり受講する部門横断的な技術講義の取り組みは、課題に対する有効的な対策であり、ぜひ他メーカーでも取り組んでいただきたく、その要所などを紹介します。
 

1. 金型製造にまつわる全般知識

 
 同社では、これまで属人的であったコア技術を標準化し、チームによる製造力を強化していくため、各部門の主要メンバーが一堂に集まり、筆者の指導の元、金型製造にまつわる全般知識を、まずは習得していこうということになりました。
 

2. コンサルティングの内容

 
 実際の講義は、次のような7つのテーマで行いました。
 
(1) プレス工程設計の基礎知識
(2) 金型構造と金型設計に必要な知識
(3) 金型で使われる金属材料の基礎と使いかた
(4) 金型製作で用いられる機械加工全般と使い分け
(5) 切削加工概論
(6) 2次元・3次元 CAD/CAM 研修
(7) 金型製作における工程管理と原価計算
 
 以下、講義で扱った内容と共に、各部門が横断的に知識を持つことのメリットについても見ていきます。
 

(1) プレス工程設計の基礎知識

 
 この講義では、金型製造の全工程から、最初の工程であるプレス工程設計についての基礎講義を行いました。また、抜き・曲げなどのプレス工程を設計するためには、種々のプレス工法や各種プレス機の特徴や使い分けなども知っておく必要があるため、それら周辺知識なども扱いました。同社製品に多い円筒絞り加工については、絞り率の計算なども受講者全員で実践を行いました。これらの研修により、各部門の全員がプレス工程とコスト・品質の関係を知ることができ、今後は最適な金型製作と量産プレスを行うための検討をチームとして行うことができます。
 

(2) 金型構造と金型設計に必要な知識

 
 金型設計の3段階(工程設計・構造設計・部品設計)における構造設計・部品設計を取り扱いました。プレス加工は大きな力を要する加工であり、金型はそれに耐える充分な強度を持つ必要があります。また、金型は長く使うツールであり、製作直後のトライ時には出てこなかった問題も、長く使ううちに出てくるトラブルもあります。
 
 本講義では金型構造の基礎から、不十分な設計により発生するトラブルや故障などを扱っており、これらの知識を製造側と保全側、両面が持つことで、最適な金型製作を行っていくことができます。また、過剰強度の部品材料や構造は、即コストアップにつながり、企業収益を圧迫します。こうした側面を営業・調達部門も知ることで、最適コストの金型調達を行っていくことができます。
 

(3) 金型で使われる金属材料の基礎と使いかた

 
 同社で使われるパンチ・ダイは、SKD11といった冷間ダイス鋼が主に使われており、極めて薄い板の抜き加工を行う同社の金型では、必要強度のためハイス鋼や超硬合金が使われることもあります。近年は各鋼材メーカーより、様々な改良ダイス鋼が販売されており、こうした各鋼材は、その使い方によって長所短所がみられることがあり、その特徴がどのような成分根拠から現れるのかも知っておくことが望ましいでしょう。今回の講義では、金型パーツごとに、強度不足により発生するトラブルと合わせて、鋼材に関する知識を学習しました。
 
 こうした知識は金型製作担当だけでなく、保全部門においても、発生した金型故障やトラブルが、強度不足によるものなのか、機構による問題なのか原因究明に役立つ知識となります。また、営業・購買部門においても、金型強度とコストの関係を知ることができ、最適な金型の見積もりや調達を行うことにつながります。
 

(4) 金型製作で用いられる機械加工全般と使い分け

 
 プレス金型製作で用いられる機械加工については主に、マシニング加工、ワイヤー放電加工、平面研磨加工、汎用加工(ラジアルボール盤、旋盤加工など)があり、これらを精度・コストに応じて正しく使い分ける必要があります。金型製造部門はもちろんのこと、営業部門においては最適な金型の見積もり、また購買部門においても最適な金型外注仕入れコストなどを算定する根拠ともなり、全部門で知っておくべき知識です。
 

(5) 切削加工概論

 
 主にエンドミル加工に焦点を当てた技術知識です。同社においては、ワイヤー放電加工が主力ですが、本講義により、同業他社の技術レベルを知る機会ともなり、内製する金型と外注から仕入れる金型、それぞれの標準単価を推し量るための基礎知識になります。
 

(6) 2次元・3次元 CAD/CAM 研修

 
 同社の設計は2次元であるが、プレス金型業界全体では設計の3次元化が進んでいます。今後、製品の企画提案から試作・金型製作・量産プレスといった一括受注を強化していこうとする同社においては、製品の見える化ができる3次元設計はまさに今後強みになる可能性があります。今回の講義においては、3次元設計の3大メリット(解析・フィ...
 
  生産マネジメント
 
 今回紹介するプレス金型メーカーは、P株式会社です。今回、各部門が一堂に集まり受講する部門横断的な技術講義の取り組みは、課題に対する有効的な対策であり、ぜひ他メーカーでも取り組んでいただきたく、その要所などを紹介します。
 

1. 金型製造にまつわる全般知識

 
 同社では、これまで属人的であったコア技術を標準化し、チームによる製造力を強化していくため、各部門の主要メンバーが一堂に集まり、筆者の指導の元、金型製造にまつわる全般知識を、まずは習得していこうということになりました。
 

2. コンサルティングの内容

 
 実際の講義は、次のような7つのテーマで行いました。
 
(1) プレス工程設計の基礎知識
(2) 金型構造と金型設計に必要な知識
(3) 金型で使われる金属材料の基礎と使いかた
(4) 金型製作で用いられる機械加工全般と使い分け
(5) 切削加工概論
(6) 2次元・3次元 CAD/CAM 研修
(7) 金型製作における工程管理と原価計算
 
 以下、講義で扱った内容と共に、各部門が横断的に知識を持つことのメリットについても見ていきます。
 

(1) プレス工程設計の基礎知識

 
 この講義では、金型製造の全工程から、最初の工程であるプレス工程設計についての基礎講義を行いました。また、抜き・曲げなどのプレス工程を設計するためには、種々のプレス工法や各種プレス機の特徴や使い分けなども知っておく必要があるため、それら周辺知識なども扱いました。同社製品に多い円筒絞り加工については、絞り率の計算なども受講者全員で実践を行いました。これらの研修により、各部門の全員がプレス工程とコスト・品質の関係を知ることができ、今後は最適な金型製作と量産プレスを行うための検討をチームとして行うことができます。
 

(2) 金型構造と金型設計に必要な知識

 
 金型設計の3段階(工程設計・構造設計・部品設計)における構造設計・部品設計を取り扱いました。プレス加工は大きな力を要する加工であり、金型はそれに耐える充分な強度を持つ必要があります。また、金型は長く使うツールであり、製作直後のトライ時には出てこなかった問題も、長く使ううちに出てくるトラブルもあります。
 
 本講義では金型構造の基礎から、不十分な設計により発生するトラブルや故障などを扱っており、これらの知識を製造側と保全側、両面が持つことで、最適な金型製作を行っていくことができます。また、過剰強度の部品材料や構造は、即コストアップにつながり、企業収益を圧迫します。こうした側面を営業・調達部門も知ることで、最適コストの金型調達を行っていくことができます。
 

(3) 金型で使われる金属材料の基礎と使いかた

 
 同社で使われるパンチ・ダイは、SKD11といった冷間ダイス鋼が主に使われており、極めて薄い板の抜き加工を行う同社の金型では、必要強度のためハイス鋼や超硬合金が使われることもあります。近年は各鋼材メーカーより、様々な改良ダイス鋼が販売されており、こうした各鋼材は、その使い方によって長所短所がみられることがあり、その特徴がどのような成分根拠から現れるのかも知っておくことが望ましいでしょう。今回の講義では、金型パーツごとに、強度不足により発生するトラブルと合わせて、鋼材に関する知識を学習しました。
 
 こうした知識は金型製作担当だけでなく、保全部門においても、発生した金型故障やトラブルが、強度不足によるものなのか、機構による問題なのか原因究明に役立つ知識となります。また、営業・購買部門においても、金型強度とコストの関係を知ることができ、最適な金型の見積もりや調達を行うことにつながります。
 

(4) 金型製作で用いられる機械加工全般と使い分け

 
 プレス金型製作で用いられる機械加工については主に、マシニング加工、ワイヤー放電加工、平面研磨加工、汎用加工(ラジアルボール盤、旋盤加工など)があり、これらを精度・コストに応じて正しく使い分ける必要があります。金型製造部門はもちろんのこと、営業部門においては最適な金型の見積もり、また購買部門においても最適な金型外注仕入れコストなどを算定する根拠ともなり、全部門で知っておくべき知識です。
 

(5) 切削加工概論

 
 主にエンドミル加工に焦点を当てた技術知識です。同社においては、ワイヤー放電加工が主力ですが、本講義により、同業他社の技術レベルを知る機会ともなり、内製する金型と外注から仕入れる金型、それぞれの標準単価を推し量るための基礎知識になります。
 

(6) 2次元・3次元 CAD/CAM 研修

 
 同社の設計は2次元であるが、プレス金型業界全体では設計の3次元化が進んでいます。今後、製品の企画提案から試作・金型製作・量産プレスといった一括受注を強化していこうとする同社においては、製品の見える化ができる3次元設計はまさに今後強みになる可能性があります。今回の講義においては、3次元設計の3大メリット(解析・フィーチャー設計・コンカレントエンジニアリング)など、3次元CADの基礎や活用方法などを学習しました。
 

(7) 金型製作における工程管理と原価計算

 
 今回の講義では、金型原価積算と費目ごとのコストダウン指針について取り扱っています。この内容については、まさに全部門の関係者が知っておくべきであり、永続的に企業が収益を上げていくための、技術面と並んで必要となる知識です。
 

3. コンサルティングの成果と今後の同社の戦略に向けた取り組み

 
 今回の研修により、各部門が横断的に同じ水準の技術知識を習得する機会を得ました。技術者の底上げによる技術承継によって、新たな需要拡大を図る同社に筆者は大きな期待をしています。
 
 この文書は、『日刊工業新聞社発行 月刊「型技術」掲載』の記事を筆者により改変したものです。

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この記事の著者

村上 英樹

金型・部品加工業専門コンサルティングです!販路開拓・生産改善・外注費削減の3つを支援するトライアングル支援パッケージ、技術を起点とする新しい経営コンサルタント

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