多能工化も定期的に点検しよう 品質を考える(その8)

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多能工化

 

【目次】

    ◆ 多能工化も定期的に点検しよう

    1.品質を考える:しばらくその作業をしていなかったら再訓練を

    一人のオペレータがフレキシブルに対応でき、多くのスキルを持ちながら多く工程で作業ができるようになることを、多能工化といいます。多能工化ができるようになれば、生産変動に対応して、簡単に自工程から他の工程への応援や対応ができるようになります。自工程だけでなく、定期的に他の工程で作業をすることで、自工程との比較や作業の違いに気づきやすくなります。2時間ごとのローテーションをしている職場もあり、作業が単調にならないようにしたり、疲れないようにする配慮がされています。

    また同じような作業でも、他の工程では作業しやすかったり、逆にやりにくさが分かったり、実際に工程に入って作業をしてみると改善のヒントが出やすくなります。ただし、やらされている作業になりますと、何も考えなくなり何も気づきが出てきませんので、ローテーションをする時にはなぜやらなければならないのかという動機付けが大切になります。

    その工程しかできない単能工であれば、その工程のノウハウしか持ち合わせることができません。そのために問題も感じなくなり、アイデアも出なくなって改善をしなくなるものです。綺麗な水でも留まっていると、いつの間にか腐ってしまうことと同じであり、いつも刺激を与えて置くことが大切です。いくら多能工化したといっても何年も前にやった作業は、スキルや作業のリズムなどもすぐには元に戻ることはありません。

    やはり作業する前に始業点検ならぬ、本当でその作業が手順書通りにできるかの作業確認をすべきです。以前にやったことがあるといっても、その作業が当時と同じようにできることはあり得ません。そのためいきなり生産に入るのは、後工程やお客様にも迷惑を掛けることになります。プロとしてお金をもらうことなので、きちんとその作業ができることを再確認して臨むべきです。

    多能工...

    多能工化

     

    【目次】

      ◆ 多能工化も定期的に点検しよう

      1.品質を考える:しばらくその作業をしていなかったら再訓練を

      一人のオペレータがフレキシブルに対応でき、多くのスキルを持ちながら多く工程で作業ができるようになることを、多能工化といいます。多能工化ができるようになれば、生産変動に対応して、簡単に自工程から他の工程への応援や対応ができるようになります。自工程だけでなく、定期的に他の工程で作業をすることで、自工程との比較や作業の違いに気づきやすくなります。2時間ごとのローテーションをしている職場もあり、作業が単調にならないようにしたり、疲れないようにする配慮がされています。

      また同じような作業でも、他の工程では作業しやすかったり、逆にやりにくさが分かったり、実際に工程に入って作業をしてみると改善のヒントが出やすくなります。ただし、やらされている作業になりますと、何も考えなくなり何も気づきが出てきませんので、ローテーションをする時にはなぜやらなければならないのかという動機付けが大切になります。

      その工程しかできない単能工であれば、その工程のノウハウしか持ち合わせることができません。そのために問題も感じなくなり、アイデアも出なくなって改善をしなくなるものです。綺麗な水でも留まっていると、いつの間にか腐ってしまうことと同じであり、いつも刺激を与えて置くことが大切です。いくら多能工化したといっても何年も前にやった作業は、スキルや作業のリズムなどもすぐには元に戻ることはありません。

      やはり作業する前に始業点検ならぬ、本当でその作業が手順書通りにできるかの作業確認をすべきです。以前にやったことがあるといっても、その作業が当時と同じようにできることはあり得ません。そのためいきなり生産に入るのは、後工程やお客様にも迷惑を掛けることになります。プロとしてお金をもらうことなので、きちんとその作業ができることを再確認して臨むべきです。

      多能工化がどこまで進んでいるかを見える化したものがあり、それは「多能工化の星取表」とか「ILUO表(力量評価の評価基準)」といわれるものです。これらはレベルを4段階に分けたもので、星取表は4分割したものにレベルごとに色を付けて、最後は4つを塗りつぶします。相撲の星取りは白星が良いですが、この場合は逆に黒く塗り潰した方が良いのです。ILUO表は、棒を1つずつ付け加えていきます。4本の棒が□になれば、ILUOの「O」になりOKとなります。

      その意味として最初の1は、その作業は指導を受けながらゆっくりできるが、熟練のレベルの半分程度での習熟しかないレベル。次の2は、その作業は自分でできるレベルであるが、ベテランの7から8割のレベル、でも異常の処置はできない。そして3は、ベテランとほぼ同じ作業レベルであり、異常の処置ができるレベル。ただし人に教えるレベルにはなっていない。4のレベルは、作業だけでなく異常の処置や人に教えることができるレベルを示します。これも各企業において、レベルの範囲の設定は自分たちで使いやすく、アレンジして活用されています。

       

      2.品質を考える:自動車免許の更新のように定期的に更新確認

      自動車免許の更新が3年もしくは5年に1回ありますが、簡単な視力検査や腕や足の動きの確認を行います。問題がなければ講習を受けて、あとは写真撮影をして更新手続き完了となります。ISOやUL規格のような外部審査も定期的に行われていますが、社内の多能工の更新や作業確認は定期的に行われているでしょうか。往々にして社内のことなので、日常の生産に追われてしまい後回しになっているかもしれません。

      話しは飛びますが、ドイツの自動車免許の更新は一生ありません。一度取れば放棄するまでそのまま使い続けることができます。そのため若い時に撮った写真が、いつまでもそのままになっています。これは本当で本人確認ができるかわかりませんが、耳を髪から出すことで本人確認をしているようです。耳の形は人によって必ず違いがあり、滅多に整形することもないので本人確認できるようです。

      工場の作業はこれとは大違いで、市場の変化に追従しなければならないためにいつも変わっているので、定期的に実際の作業を最新化しておく必要があります。いつまで経っても同じ作業を繰り返している方が時代錯誤になってしまいます。標準作業票や標準作業組合せ票といった標準類は、3カ月に一度は見直しや更新をしたいものです。従って多能工化のレベルの確認も定期的に更新をして、標準から外れていないか?もっとやりやすくできないか?といった視点で作業確認をしていけば、気づきが多く出るものです。見直しの期間としては、まず半年以内を目安にしてみましょう。それ以上多能工化表に該当する作業工程で、やっていない工程があれば再度確認して更新をしていきます。その間に計画的にローテーションを行いながら、作業のレベルを維持向上して更新期間を設定すればよいでしょう。

       

      3.品質を考える:ローテーションする時は恰好の改善のチャンス

      いつもの工程から外れることは、見る目が変わる恰好の改善のチャンスになります。人は変化した時に意識を働かせるようになっているので、それを積極的に活用します。その時の改善のヒントを出すために、ちょっとした気づきを紹介しておきましょう。

      7つの項目があります。①安全です。安全は、良く忘れてしまう最重要項目です。安全が確保されて、本来のサイクルタイムが整います。危険であれば、その方に神経を使うために作業効率が低下したり、疲れたりします。次に②エルゴノミーです。作業姿勢はよいか、重筋作業がないか、振り向きや背伸び、しゃがみ作業はないかなどを確認します。そしてようやく③品質の問題があるかです。①と②が整備されないと品質は確保しにくくなります。そして5S、表示・標識を含む④作業環境です。

      さらにあらゆる付加価値を生まない⑤ムダを観ます。また加工が難しい、精度が厳しいなどの⑥技術的な問題を観ます。そして最後の⑦組織的な問題があります。これは、標準類は正しいか、作業指示はわかりやすいか、帳票類は記入しやすいか、段取り替えの手順は正しいかなどです。実は⑦が、一番コストが掛からず効果も大きいヒントになります。これらを意識しながら別な工程で作業すると、見えなかったことが随分と見えるようになります。メモに取って見ながら作業確認すると、多くのヒントが発見できます。

       

      次回に続きます。

       

       【出典】株式会社 SMC HPより、筆者のご承諾により編集して掲載 

       

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      この記事の著者

      松田 龍太郎

      見えないコトを見えるようにする現場改善コンサルタント。ユーモアと笑顔をセットにして、元氣一杯に現地現物での指導を心がける。難しいことはわかりやすく、例え話や事例を用いながら解説し、納得してもらえるように楽しく動機付けを行います。

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