お客様相談室の最大の使命 クレーム対応とは(その30)

投稿日

 
  クレーム対応
 

3. 注意すべき電話・メールの対応と謝罪の仕方

 前回のその29に続いて、解説します。
 

【クレーム対応心得】

 ・責任感が強く、顧客心理を感じ取れる人材を相談室に配置しよう。
 
 残念なことだが、企業の中にはお客さま相談室のスタッフの能力を軽んじている経営者が多いのです。
 
  • 相談室のスタッフは謝り係
  • 当たり障りのない社員を回す
  • マニュアルどおり話せる女性社員で十分
 
 経営者の中には、こうした発言をまるで正論のように吐く人物がいます。なんとも情けないことです。では、お客さま相談室のスタッフ配置は、どのように行われるべきなのでしょうか。私の見解を紹介しておきます。
 
 ◆お客さま相談室に求められる人材要件
  • 社内の誰が考えても有能だと思える人材
  • 開発、生産、営業、販売、経理、法務などの専門知識を有している人材
  • 組織(タテ型)に横断的に関われる人材
  • 顧客の立場に立った発想ができる人材
  • 責任感のある人材
  • サービスマインドのある人材
  • 情報に詳しい人材
  • ポジティブーシンキングのできる人材
 
 お客さま相談室には、このようなキャリア、能力、資質を持った人材を配置すべきです。情報先進国であるアメリカでは、CIO(チーフーインフォメーションーオフィサー)と呼ばれる情報担当役員が、重責を担っています。
 
 さて、何よりもお客さま相談室のスタッフは、「仕事のできる人材」でなければなりません。企業によっては、他部門で力を発揮できなくなった人材を送り込むケースもあるようですが、そうした人材活用法は、根底から見直さなければならないのです。
 
 さまざまな問題やクレームが持ち込まれるお客さま相談室は、非常にストレスが溜まる仕事です。それも、一つひとつの問題に対して真摯に対応しようと決意し、全身全霊で業務に立ち向かおうとすればするほど、知力、体力と精神力を酷使する仕事となります。
 
 多忙で責任の重い仕事に従事する人材は、タフな精神力と高度で緻密な業務遂行能力、そして誠実な人間性を併せ持った有能な人材でなければならないのです。もし、そうした人材と正反対の人材が「ババ抜き」のように送り込まれたら、いったいどうなるでしょうか。間違いなく、日に日にストレスを溜め込んでしまい、精神のバランスを崩して、精神と肉体が病んでしまいかねません。
 
 「なんて、俺だけが毎日お客に謝らなければならないんだ」
 「こんな問題を起こしやがった奴は、いったい誰なんだ」
 「今度から、かかってきた電話は問題を起こした部署に回すからな」
 
 自分一人が不遇であるとの「被害妄想」が高じて、およそ顧客満足の提供とはか...
 
  クレーム対応
 

3. 注意すべき電話・メールの対応と謝罪の仕方

 前回のその29に続いて、解説します。
 

【クレーム対応心得】

 ・責任感が強く、顧客心理を感じ取れる人材を相談室に配置しよう。
 
 残念なことだが、企業の中にはお客さま相談室のスタッフの能力を軽んじている経営者が多いのです。
 
  • 相談室のスタッフは謝り係
  • 当たり障りのない社員を回す
  • マニュアルどおり話せる女性社員で十分
 
 経営者の中には、こうした発言をまるで正論のように吐く人物がいます。なんとも情けないことです。では、お客さま相談室のスタッフ配置は、どのように行われるべきなのでしょうか。私の見解を紹介しておきます。
 
 ◆お客さま相談室に求められる人材要件
  • 社内の誰が考えても有能だと思える人材
  • 開発、生産、営業、販売、経理、法務などの専門知識を有している人材
  • 組織(タテ型)に横断的に関われる人材
  • 顧客の立場に立った発想ができる人材
  • 責任感のある人材
  • サービスマインドのある人材
  • 情報に詳しい人材
  • ポジティブーシンキングのできる人材
 
 お客さま相談室には、このようなキャリア、能力、資質を持った人材を配置すべきです。情報先進国であるアメリカでは、CIO(チーフーインフォメーションーオフィサー)と呼ばれる情報担当役員が、重責を担っています。
 
 さて、何よりもお客さま相談室のスタッフは、「仕事のできる人材」でなければなりません。企業によっては、他部門で力を発揮できなくなった人材を送り込むケースもあるようですが、そうした人材活用法は、根底から見直さなければならないのです。
 
 さまざまな問題やクレームが持ち込まれるお客さま相談室は、非常にストレスが溜まる仕事です。それも、一つひとつの問題に対して真摯に対応しようと決意し、全身全霊で業務に立ち向かおうとすればするほど、知力、体力と精神力を酷使する仕事となります。
 
 多忙で責任の重い仕事に従事する人材は、タフな精神力と高度で緻密な業務遂行能力、そして誠実な人間性を併せ持った有能な人材でなければならないのです。もし、そうした人材と正反対の人材が「ババ抜き」のように送り込まれたら、いったいどうなるでしょうか。間違いなく、日に日にストレスを溜め込んでしまい、精神のバランスを崩して、精神と肉体が病んでしまいかねません。
 
 「なんて、俺だけが毎日お客に謝らなければならないんだ」
 「こんな問題を起こしやがった奴は、いったい誰なんだ」
 「今度から、かかってきた電話は問題を起こした部署に回すからな」
 
 自分一人が不遇であるとの「被害妄想」が高じて、およそ顧客満足の提供とはかけ離れた対応に終始しかねません。加えて、多種多様な問題に対応するためには、各分野の「専門家」の助けが必要になります。一般的に営業出身者は技術に弱く、総務出身者は営業の第一線事情に疎いようです。
 
 ゆえに、お客さま相談室のスタッフは、お互いがそれぞれのウイークポイントを補完し合うような構成が理想的です。サービスマインドを有した有能な人材を優先的に配置し、各分野に精通したスタッフが連携し合う組織づくりを目指しましょう。
 
 次回に続きます。
 
【出典】武田哲男 著 クレーム対応、ここがポイント  ダイヤモンド社発行
         筆者のご承諾により、抜粋を連載
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

武田 哲男

常に顧客を中核とする課題取組みにより「業績=顧客の“継続”支持率達成!」 「顧客との良質で永いご縁の創造」に取組んできた。モノづくりとサービスの融合に注力。

常に顧客を中核とする課題取組みにより「業績=顧客の“継続”支持率達成!」 「顧客との良質で永いご縁の創造」に取組んできた。モノづくりとサービスの融合に注力。


「サービスマネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
高付加価値サービスの創造とは CS経営(その28)

◆なぜ、あの企業の「顧客満足」はすごいのか       2. 企業の垣根を越えた「付加価値創造」: 穴吹興産株式会社グループ企業 (3)...

◆なぜ、あの企業の「顧客満足」はすごいのか       2. 企業の垣根を越えた「付加価値創造」: 穴吹興産株式会社グループ企業 (3)...


継続した業績向上を図るには CS経営(その9)

◆なぜ、分業課・モジュール化は人間性を阻害するのか 5. 現場力を上げるには「融合」しかない:「技術第一主義」だけでは成果は上がらない  意外...

◆なぜ、分業課・モジュール化は人間性を阻害するのか 5. 現場力を上げるには「融合」しかない:「技術第一主義」だけでは成果は上がらない  意外...


ジョン・グッドマンの法則 クレーム対応とは(その1)

      1. 顧客が腹を立てている   (1) 不満顧客の96%が「口にしない」恐ろしさ   ...

      1. 顧客が腹を立てている   (1) 不満顧客の96%が「口にしない」恐ろしさ   ...


「サービスマネジメント一般」の活用事例

もっと見る
顧客満足度ゼロとは お客様の満足を得る(その1)

◆ 物流の顧客満足度を知る  物流はあらゆる経済活動と関わりさまざまなお客様に貢献しています。では関係するお客様に対して満足のいく物流サービスを提供...

◆ 物流の顧客満足度を知る  物流はあらゆる経済活動と関わりさまざまなお客様に貢献しています。では関係するお客様に対して満足のいく物流サービスを提供...


当たり前だけでは顧客満足は得られない お客様の満足を得る(その2)

◆ 物流の顧客満足度を知る  物流の顧客満足の観点では一般消費者からは幸か不幸かそれほどの期待値を抱かれているとはいえないのではないでしょうか。何故...

◆ 物流の顧客満足度を知る  物流の顧客満足の観点では一般消費者からは幸か不幸かそれほどの期待値を抱かれているとはいえないのではないでしょうか。何故...