顧客対応のポイント クレーム対応とは(その54)

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  クレーム対応
 
 前回のその53に続いて、解説します。
 

◆ 顧客対応の際に心掛ける「最も基本的な心得と業務ノウハウ」

 顧客から、自社が行っている信じがたい対応を知らされることがあります。一瞬「えっ」と驚くような低レベルの対応を社内の担当部門や担当者が行っていると知らされたとき、顧客の声のありがたさを実感するのです。
 
 また、顧客から「まさか!」と思うような現実を知らされたときには、ぞっとして背筋も凍ります。
 
 一つひとつは些細に思える顧客の声を集めて気づくことは、表現こそは異なりますが、同じ内容の指摘が多数の顧客から繰り返し語られていることです。
 
 こうした顧客の声に対して「十年一日、顧客は同じようなことを言う」ととらえる企業もあります。そうした企業のほとんどは、顧客から聞こえている問題提起に対して、十年一日なんら積極的な取り組みを行わず、解決を図っていないのです。言うなれば「臭い物に蓋」式の発想であり、トラブルが起こったときに「顧客のことを日頃からちゃんと考えている」というゼスチャーのために相談窓口を置いている企業も少なくないのが現実です。
 
 お客さま相談室の窓口となる電話オペレーターは「臨機応変」「当意即妙」「機転を利かす」といった資質が大切ですが、真実を曲げて顧客を誤魔化すために置かれた担当者では、もちろんありません。顧客窓口となるスタッフは何よりも顧客中心思想をしっかり認識し、サービスマインドの伴った仕組みをベースに誠実な対応を実践しなければなりません。顔が見えない一人ひとりの顧客の一つひとつの問題に対応する「企業の代表者」でなければならないのです。
 
 お客さま相談室の仕事は、顧客の話の内容を細大漏らさず理解するために神経を集中させ、腹を立てている顧客との対応を余儀なくされる過酷なものです。胃が痛くなるような緊張感が強いストレスとなって、身体や心に蓄積されていきます。
 
 もし、企業の基本思想に顧客を中心とする発想がなければ、相談室スタッフは企業と顧客の板挟みになり、数年でその身体と心はむしばまれていくに違いありません。
 
 「お客さまを大切にすることは当たり前だが、社員が正しいと判断した場合は社員をしっかり守る、ガードする!」というのは世界でも稀な業績優良企業であるサウスウェスト航空のトップの発言です。企業がこうした明快な姿勢を持つのであれば、相談室スタッフも安心して顧客の立場に立ち、なお真正面から問題に向かい、企業の発展に貢献する気持ちで厳しい仕事に取り組むことができるでしょう。
 
 顧客に対する真正面からの真摯な対応は、ファンを増やし、善悪は別にして何かと相談事を顧客から持ちかけられるようになり、愚痴のはけ口、話し相手として頼りにされるようになれば、業績に多大な...
 
  クレーム対応
 
 前回のその53に続いて、解説します。
 

◆ 顧客対応の際に心掛ける「最も基本的な心得と業務ノウハウ」

 顧客から、自社が行っている信じがたい対応を知らされることがあります。一瞬「えっ」と驚くような低レベルの対応を社内の担当部門や担当者が行っていると知らされたとき、顧客の声のありがたさを実感するのです。
 
 また、顧客から「まさか!」と思うような現実を知らされたときには、ぞっとして背筋も凍ります。
 
 一つひとつは些細に思える顧客の声を集めて気づくことは、表現こそは異なりますが、同じ内容の指摘が多数の顧客から繰り返し語られていることです。
 
 こうした顧客の声に対して「十年一日、顧客は同じようなことを言う」ととらえる企業もあります。そうした企業のほとんどは、顧客から聞こえている問題提起に対して、十年一日なんら積極的な取り組みを行わず、解決を図っていないのです。言うなれば「臭い物に蓋」式の発想であり、トラブルが起こったときに「顧客のことを日頃からちゃんと考えている」というゼスチャーのために相談窓口を置いている企業も少なくないのが現実です。
 
 お客さま相談室の窓口となる電話オペレーターは「臨機応変」「当意即妙」「機転を利かす」といった資質が大切ですが、真実を曲げて顧客を誤魔化すために置かれた担当者では、もちろんありません。顧客窓口となるスタッフは何よりも顧客中心思想をしっかり認識し、サービスマインドの伴った仕組みをベースに誠実な対応を実践しなければなりません。顔が見えない一人ひとりの顧客の一つひとつの問題に対応する「企業の代表者」でなければならないのです。
 
 お客さま相談室の仕事は、顧客の話の内容を細大漏らさず理解するために神経を集中させ、腹を立てている顧客との対応を余儀なくされる過酷なものです。胃が痛くなるような緊張感が強いストレスとなって、身体や心に蓄積されていきます。
 
 もし、企業の基本思想に顧客を中心とする発想がなければ、相談室スタッフは企業と顧客の板挟みになり、数年でその身体と心はむしばまれていくに違いありません。
 
 「お客さまを大切にすることは当たり前だが、社員が正しいと判断した場合は社員をしっかり守る、ガードする!」というのは世界でも稀な業績優良企業であるサウスウェスト航空のトップの発言です。企業がこうした明快な姿勢を持つのであれば、相談室スタッフも安心して顧客の立場に立ち、なお真正面から問題に向かい、企業の発展に貢献する気持ちで厳しい仕事に取り組むことができるでしょう。
 
 顧客に対する真正面からの真摯な対応は、ファンを増やし、善悪は別にして何かと相談事を顧客から持ちかけられるようになり、愚痴のはけ口、話し相手として頼りにされるようになれば、業績に多大な貢献をするようになります。
 
 最後に、相談室スタッフは次に示す25の顧客対応ポイントを学習して下さい。(3項以降は、次回の最終回で解説します)
 
  1.  顧客は「現場では聞いてくれない」「相談してもらちがあかない」「問題を解決できない」「◯◯で困っている」といった悩みや不満を抱さながら電話をかけてくるということを、しっかり認識しましょう。
  2.  ほとんどの人が、気が急いており、興奮して電話をかけてきます。したがって2コールで電話に出るのが望ましいでしょう。
 
【出典】武田哲男 著 クレーム対応、ここがポイント  ダイヤモンド社発行
           筆者のご承諾により、抜粋を連載

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この記事の著者

武田 哲男

常に顧客を中核とする課題取組みにより「業績=顧客の“継続”支持率達成!」 「顧客との良質で永いご縁の創造」に取組んできた。モノづくりとサービスの融合に注力。

常に顧客を中核とする課題取組みにより「業績=顧客の“継続”支持率達成!」 「顧客との良質で永いご縁の創造」に取組んできた。モノづくりとサービスの融合に注力。


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