クレーム対応とは(その50) 実践的マニュアル作り

 
  
クレーム対応
 
 前回のその49に続いて、解説します。
 

1. 意外に多い、使えないマニュアル

 ビジネス現場ではさまざまなマニュアルが活用されていますが、多種多様に発生するクレームやコンプレインを顧客の立場に立って解決しなければならないお客さま相談室には、相談室業務に特化した「実践的な業務マニュアル」が必要になります。
 
 では、マニュアルとはいったい何なのでしょうか。
 
 まず最初に、業務マニュアルというのは、誰か特定個人が持っている仕事のノウハウやスキルを組織として共有化するためのものであるということを、しっかり確認しておきましょう。
 
 高度な業務スキルが求められるお客さま相談室では、長年相談室業務に携わってきたベテランスタッフがいることも珍しくないのですが、もし頼りになるベテランスタッフが、急な病気や退職などによって不在になったとしたら、皆さんはどうするでしょうか。
 
 何か困難な問題が起こると豊富な業務経験を活かして、トラブルを速やかに解決してくれたベテランスタッフが「抜けた穴」を埋めることは、一朝一夕にはできないのではないでしょうか。
 
 また、ベテランと呼ばれるスタッフであっても、すべての業務に精通していることは稀で、ベテランにはベテランなりの「得手不得手」があります。組織が人の集合体である以上、お客さま相談室といえども、多様な個性や能力、スキルを持ったスタッフの集まりであることに変わりありません。そうしたお客さま相談室にある属人的な能力やスキルを、「組織のノウハウ」としてしっかり定着させるためのツールが、相談室の業務マニュアルです。
 
 では、さっそくお客さま相談室で必要なマニュアルについて、具体的に考察しましょう。
 

【マニュアル作成のヒント】

 ・使い勝手の良いマニュアルを作る。個別業務に特化したマニュアルの「分冊化」とは
 
 マニュアルは何のために作るのでしょうか。それは、言うまでもなく相談室のスタッフが、日々格闘する日常業務をスムーズに遂行するためです。最初にそんな当たり前のことを問い掛けたのには、理由があります。
 
 私がコンサルティングを行った某企業で、マニュアルについて言及すると、次のような言葉が返ってきました。
 
 「マニュアルですか。当社ではA総研さんにお手伝いいただいて、すべての業務を網羅する総合的なマニュアルを作成していますから、マニュアルに関する心配はありません」
 
 心配ないと胸を張る経営者に、「では、一度そのマニュアルを見せていただけませんか」とお願いすると、目の前に現れたのは、持ち運ぶのも大変そうな分厚いマニュアル集でした。さっそく中身を点検していくと、システムマニュアル、商品知識マニュアル、サービスマニュアル、接客マニュアル、丁寧語・敬語マニュアル、情報管理マニュアルといった具合に、実にたくさんのマニュアルが見事にまとめられていました。
 
 しかし、こうした「総合マニュアル」はマニュアル集としては非常に立派に作られていても、現場で実際に活用するものとしては、あまりおすすめできません。
 
 なぜなら、多様なマニュアルが一冊に収められているため、仕事の最中にすぐ確認したい作業マニュアルを探し出すのが大変だからです。使いたいときにすぐ使えないマニュアルは、とても実践的なマニュアルとはいえないのです。
 
 ここで、私か提案したいことは、「マニュアルは必ず分冊にする」「加除式にする」ということです。形を整えることにこだわったために、使いづらいマニュアルができ上がってしまっては、なんにもならないのです。
 
 ただし、業務を細分化しすぎて数だけをやたらと増やしても、今度は「使いたいときに、使えるマニュアルが見つけだせなくなる危険」があります。これでは結局、総合マニュアル同様に「現場で使えないマニュアル」ができてしまうことになります。
 
 総合化もおすすめできません。行き過ぎた細分化も使いづらいとなれば、「いったい、どんなマニュアルを作ればよいのか」と、困惑されるでしょうか。では、その回答を考えてみましょう。お客さま相談室で「これだけは作っていただきたいマニュアル」を、次回に紹介します。
 
 【出典】武田哲男 著 クレーム対応、ここがポイント  ダイヤモンド社発行
              筆者のご承諾により、抜粋を連載

この記事の著者

武田 哲男

常に顧客を中核とする課題取組みにより「業績=顧客の“継続”支持率達成!」 「顧客との良質で永いご縁の創造」に取組んできた。モノづくりとサービスの融合に注力。

常に顧客を中核とする課題取組みにより「業績=顧客の“継続”支持率達成!」 「顧客との良質で永いご縁の創造」に取組んできた。モノづくりとサービスの融合に注力。

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