ビジネス・インパクト分析 物流BCPについて考える(その12)

更新日

投稿日

 
  SCM
 
 

【物流BCPについて考える 連載目次】

 事業継続の考え方の特徴として、理由を問わず企業が事業を停止した場合に、その停止期間がどの程度企業に影響を与えるのかを評価し、事業としていつまで耐えられるのかの目標復旧時間を設定することがあります。
 

◆ ビジネス・インパクト分析

 
 影響度の評価の結果を踏まえて、継続が求められる重要業務は何かを決定し、復旧の優先順位を設定することになるのです。また併せて目標復旧時間を確保するために障害となる重要な要素(ボトルネック)を抽出することになります。こういった影響度の評価はビジネス・インパクト分析と呼ばれます。
 
 まず主だった製品やサービスの供給停止が発生したと仮定しましょう。この時にその供給停止が企業経営に及ぼす影響を評価します。具体的には、生産量の減少、利益損失、賠償責任金額、信用失墜(顧客離れ)、資金繰りの悪化などの面から評価し、企業がどの程度までの停止期間に耐えられるのかの判断を行うのです。
 
 この影響度評価は、事業を継続するために優先的に継続が必要となる重要業務を見極めるために必要なものになります。
 
 配送が停止した場合の影響度評価と目標復旧時間の設定について考えてみましょう。
 
 取引先X社は製造業であり、配送が停止すると工場の生産ラインが止まることになります。この場合、取引先に大きな損害を及ぼすことになりますが、工場には4時間程度の在庫があると推定できる場合、配送中断時間の影響は次のようになります。
 
  • 0.5時間未満   影響はなし
  • 1~2時間   影響度は小
  • 3~4時間   影響度は中
  • 4時間超   ...
 
  SCM
 
 

【物流BCPについて考える 連載目次】

 事業継続の考え方の特徴として、理由を問わず企業が事業を停止した場合に、その停止期間がどの程度企業に影響を与えるのかを評価し、事業としていつまで耐えられるのかの目標復旧時間を設定することがあります。
 

◆ ビジネス・インパクト分析

 
 影響度の評価の結果を踏まえて、継続が求められる重要業務は何かを決定し、復旧の優先順位を設定することになるのです。また併せて目標復旧時間を確保するために障害となる重要な要素(ボトルネック)を抽出することになります。こういった影響度の評価はビジネス・インパクト分析と呼ばれます。
 
 まず主だった製品やサービスの供給停止が発生したと仮定しましょう。この時にその供給停止が企業経営に及ぼす影響を評価します。具体的には、生産量の減少、利益損失、賠償責任金額、信用失墜(顧客離れ)、資金繰りの悪化などの面から評価し、企業がどの程度までの停止期間に耐えられるのかの判断を行うのです。
 
 この影響度評価は、事業を継続するために優先的に継続が必要となる重要業務を見極めるために必要なものになります。
 
 配送が停止した場合の影響度評価と目標復旧時間の設定について考えてみましょう。
 
 取引先X社は製造業であり、配送が停止すると工場の生産ラインが止まることになります。この場合、取引先に大きな損害を及ぼすことになりますが、工場には4時間程度の在庫があると推定できる場合、配送中断時間の影響は次のようになります。
 
  • 0.5時間未満   影響はなし
  • 1~2時間   影響度は小
  • 3~4時間   影響度は中
  • 4時間超     影響度は大
 
 したがって目標復旧時間は余裕を見て3時間と設定することになります。
 
 取引先によってはすでにBCPを策定済みで、地震等の災害があった場合の目標復旧時間を定めている場合があります。そのデータも参考にしつつ、自社の目標復旧時間を定めることも一つのやり方です。
 
 次回に続きます。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
SCMの適切な評価指標 SCM最前線 (その12)

 前回のその11に続いて解説します。   3. よく使われているSCM指標の評価     下記は、一般的にSCMで使...

 前回のその11に続いて解説します。   3. よく使われているSCM指標の評価     下記は、一般的にSCMで使...


部品メーカーのサプライチェーン戦略

 どんな業界においても、マイクロソフトやインテルのようになる経営体は数社に限られるでしょう。  米国では完成品メーカーで直接サプライするモジュールメーカ...

 どんな業界においても、マイクロソフトやインテルのようになる経営体は数社に限られるでしょう。  米国では完成品メーカーで直接サプライするモジュールメーカ...


輸送編 物流改善ネタ出し講座 (その10)

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
製品1台当たりの物流コストの要因 荷主サイドの物流改善(その3)

  ◆ 物流:要因系と結果系の指標  製品一台当たりの物流コストはいわゆる「結果系」の指標ということになります。すべての物流行為の結果を...

  ◆ 物流:要因系と結果系の指標  製品一台当たりの物流コストはいわゆる「結果系」の指標ということになります。すべての物流行為の結果を...


荷役の現状把握 物流現状把握の重要性 (その2)

 前回のその1に続いて解説します。    荷役作業とは保管や輸送を行う際にそれに付随して発生する作業のことを指します。フォークリフトでものを出し入れし...

 前回のその1に続いて解説します。    荷役作業とは保管や輸送を行う際にそれに付随して発生する作業のことを指します。フォークリフトでものを出し入れし...


生産・調達・営業の結果が物流に表れる 物流側からの情報発信の重要性(その4)

 前回のその3に続いて解説します。    物流にはすべての活動の結果が表れる傾向があります、というお話を前回させていただきました。たとえば大ロット生産...

 前回のその3に続いて解説します。    物流にはすべての活動の結果が表れる傾向があります、というお話を前回させていただきました。たとえば大ロット生産...