目標復旧時間の設定と中核事業の特定 物流BCPについて考える(その13)

更新日

投稿日

  
   SCM
  
 

【物流BCPについて考える 連載目次】

 配送が停止した場合の影響度評価と目標復旧時間の設定は取引先ごとに行うことが望ましいでしょう。なぜなら、取引先の要求水準が異なったり、売上金額が異なったりするため重要業務を絞り込む際の必要データにもなるからです。
 

1. BCP:復旧を優先する事業

 
 会社全体のすべての事業が中断する被害が発生した場合、経営資源が限られた状況の中ですべてを同時に復旧することはかないません。そこであらかじめ復旧を優先すべき中核事業を特定しておくことが必要となります。
 
 中核事業の特定は、売上高、収益性、市場シェア、成長性、納入先への供給責任、公共性、地域貢献や社会機能維持などの観点から決定します。通常1から数種類の事業が決められることになります。
 

2. BCP:影響度の定量的評価

 
 余裕があれば、停止期間に伴う各業務の影響度の定量的評価を実施しましょう。整理するポイントは、供給できない商品名、供給量、売上減少額、利益減少額、供給先への影響、従業員への影響、社会への影響、その他市民などへの影響などといったところです。
 
 目標復旧時間や目標復旧レベルを明確に定めることには、その目標に到達するよう企業の担当者が積極的に工夫して取り組むようになるため、防災対策が進展しやすいという効果があります。
 
 重要業務が受ける被害の想定に基づき、そこが復旧しない限り生産の再開や業務復旧ができない主要な生産設備や情報などの資源を、重要な要素(復旧時間が一番長いクリティカルパス、あるいは生産量を限定させてしまうボトルネックなど)として把握します。
 
 実際の復旧日数はこの重要な資源の回復日数に依存してしまうため、いかにこの回復日数を短縮するかについての対策を検討することが必要になります。
 
...
  
   SCM
  
 

【物流BCPについて考える 連載目次】

 配送が停止した場合の影響度評価と目標復旧時間の設定は取引先ごとに行うことが望ましいでしょう。なぜなら、取引先の要求水準が異なったり、売上金額が異なったりするため重要業務を絞り込む際の必要データにもなるからです。
 

1. BCP:復旧を優先する事業

 
 会社全体のすべての事業が中断する被害が発生した場合、経営資源が限られた状況の中ですべてを同時に復旧することはかないません。そこであらかじめ復旧を優先すべき中核事業を特定しておくことが必要となります。
 
 中核事業の特定は、売上高、収益性、市場シェア、成長性、納入先への供給責任、公共性、地域貢献や社会機能維持などの観点から決定します。通常1から数種類の事業が決められることになります。
 

2. BCP:影響度の定量的評価

 
 余裕があれば、停止期間に伴う各業務の影響度の定量的評価を実施しましょう。整理するポイントは、供給できない商品名、供給量、売上減少額、利益減少額、供給先への影響、従業員への影響、社会への影響、その他市民などへの影響などといったところです。
 
 目標復旧時間や目標復旧レベルを明確に定めることには、その目標に到達するよう企業の担当者が積極的に工夫して取り組むようになるため、防災対策が進展しやすいという効果があります。
 
 重要業務が受ける被害の想定に基づき、そこが復旧しない限り生産の再開や業務復旧ができない主要な生産設備や情報などの資源を、重要な要素(復旧時間が一番長いクリティカルパス、あるいは生産量を限定させてしまうボトルネックなど)として把握します。
 
 実際の復旧日数はこの重要な資源の回復日数に依存してしまうため、いかにこの回復日数を短縮するかについての対策を検討することが必要になります。
 
 たとえば経営資源の代表的なものとしてドライバーが挙げられます。重要業務の復旧に要するドライバーの数が集まるかどうかは非常に重要なキー項目となります。
 
 車両についても同様です。こういったキー項目はたとえばその地域だけで目標時間内に集まらない場合には、他地域から持ってくることも考えることになります。
 
 次回に続きます。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンの構築 -プロジェクトマネジメントの観点から-

 サプライチェーンマネジメント(SCM)の構築・再構築は、経営資源を目的に沿って稼動させる複雑なプロジェクトマネジメントを必要とします。具体的には、情報シ...

 サプライチェーンマネジメント(SCM)の構築・再構築は、経営資源を目的に沿って稼動させる複雑なプロジェクトマネジメントを必要とします。具体的には、情報シ...


ROA(対在庫資産運営利益率)によるキャッシュフロー経営

 サプライチェーンの立場から言えば、どんな時代でもモノの流通が人間の生活に必要なのは普遍であり、必要とされる需要が減少することはあっても、ある規模の生産量...

 サプライチェーンの立場から言えば、どんな時代でもモノの流通が人間の生活に必要なのは普遍であり、必要とされる需要が減少することはあっても、ある規模の生産量...


格差が拡がるSCM   SCM最前線(その1)

 サプライチェーンマネジメントのレベルアップは、一朝一夕ではできません。長い時間が掛かります。資金を大量に投入しても、なかなかこの時間を買うことはできませ...

 サプライチェーンマネジメントのレベルアップは、一朝一夕ではできません。長い時間が掛かります。資金を大量に投入しても、なかなかこの時間を買うことはできませ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
管理監督者向け教育とは 物流業センター長の役割(その3)

       (1) 物流センター長を育成していくための教育訓練プログラム  物流センター長は既にお話させていただきました3つの役割を果たさな...

       (1) 物流センター長を育成していくための教育訓練プログラム  物流センター長は既にお話させていただきました3つの役割を果たさな...


マネジメント基準としての環境対応 環境に対する感度を高める(その1)

◆ 構内物流と環境  物流は排出ガスの関係で特に環境に対する感度を高めなければならない業種です。物流コストに対しては敏感ではありますが、環境対策はま...

◆ 構内物流と環境  物流は排出ガスの関係で特に環境に対する感度を高めなければならない業種です。物流コストに対しては敏感ではありますが、環境対策はま...


物流における作業と管理とは 管理業務に精力的に取り組む(その1)

       1. 物流の「作業」と「管理」を学ぶ  物流の仕事には実際にモノを運んだり梱包したりといった実作業と出荷管理や在庫管理などの管理...

       1. 物流の「作業」と「管理」を学ぶ  物流の仕事には実際にモノを運んだり梱包したりといった実作業と出荷管理や在庫管理などの管理...