物流におけるリスク想定 物流BCPについて考える(その3)

更新日

投稿日

 
  BCP
 
 

【物流BCPについて考える 連載目次】

 前回のその2に続いて解説します。
 

(1) 事業継続計画とは

 
 BCPは Business Continuity Plan の略ですが、この文字が示す通りBCPとは事業継続のための「計画」ということになります。そこでもし何か発生した場合には誰が何をどれくらいの期間で実施するのかを明確に決めておかなければなりません。
 
 この計画は現実的なものであることも要件となります。あまり非現実的なことを計画化してもまったく意味の無いことはおわかりかと思います。
 
 BCPで計画化されたことが現実的であるということは、有事の際にこの計画が機能することを意味しています。実際の話、これは簡単ではありません。皆さんもご記憶にあると思いますが、東日本大震災の時にBCP作成企業であってもそれによって被害が極少化されたケースは必ずしも多いとは言えないのです。
 

(2) リスク想定

 
 震災がめったに起こらない、過去に経験したことが無いことが起こるという、「想定」することが極めて難しい一方、台風はやや状況が異なります。台風情報はかなり前から報道され、その情報精度も高いものと言えます。したがいましてその情報を日々入手することで事前にいろいろな手を打っておくことが可能となるわけです。これにつきましては物流に携わる皆さんであれば既に身に付いていると言えるのではないでしょうか。
 
 さてこの「想定」が難しいリスクの発生についてどう予測していくかが課題となりそうです。このリスク想定にあたっては国や自治体が想定している災害の影響情報などが役に立つのではないでしょうか。
 
 自社内であればたとえば自社倉庫が倒壊した場合にはどのような影響が出るのか、感染症で従業...
 
  BCP
 
 

【物流BCPについて考える 連載目次】

 前回のその2に続いて解説します。
 

(1) 事業継続計画とは

 
 BCPは Business Continuity Plan の略ですが、この文字が示す通りBCPとは事業継続のための「計画」ということになります。そこでもし何か発生した場合には誰が何をどれくらいの期間で実施するのかを明確に決めておかなければなりません。
 
 この計画は現実的なものであることも要件となります。あまり非現実的なことを計画化してもまったく意味の無いことはおわかりかと思います。
 
 BCPで計画化されたことが現実的であるということは、有事の際にこの計画が機能することを意味しています。実際の話、これは簡単ではありません。皆さんもご記憶にあると思いますが、東日本大震災の時にBCP作成企業であってもそれによって被害が極少化されたケースは必ずしも多いとは言えないのです。
 

(2) リスク想定

 
 震災がめったに起こらない、過去に経験したことが無いことが起こるという、「想定」することが極めて難しい一方、台風はやや状況が異なります。台風情報はかなり前から報道され、その情報精度も高いものと言えます。したがいましてその情報を日々入手することで事前にいろいろな手を打っておくことが可能となるわけです。これにつきましては物流に携わる皆さんであれば既に身に付いていると言えるのではないでしょうか。
 
 さてこの「想定」が難しいリスクの発生についてどう予測していくかが課題となりそうです。このリスク想定にあたっては国や自治体が想定している災害の影響情報などが役に立つのではないでしょうか。
 
 自社内であればたとえば自社倉庫が倒壊した場合にはどのような影響が出るのか、感染症で従業員の半分が休んでしまったら業務はどうなるのか、輸送船舶が座礁してしまったら得意先にどのようなインパクトがあるのかなど、さまざまな観点での予測が求められます。
 
 社内のいろいろな人にリスク予想をしてもらいましょう。まずは自分の仕事の領域でどのようなリスクが潜んでいるのか、考えてもらう機会をつくることも良いかもしれません。
 
 次回に続きます。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
回収作業について 物流改善ネタ出し講座 (その7)

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...


フールプルーフを導入しよう 物流品質の向上 (その6)

1.フール・プルーフとは何か  工場で物流品質を最高水準に保つためには「人が間違いを犯しにくいしくみ」や、「品質向上に対する意識づけ」、「物流現場に...

1.フール・プルーフとは何か  工場で物流品質を最高水準に保つためには「人が間違いを犯しにくいしくみ」や、「品質向上に対する意識づけ」、「物流現場に...


SCM効率を評価するKPIの新提案 SCM最前線 (その14)

 前回のその13に続いて解説します。   1. SCMの改善・改革    前回までの連載では、現在SCMには効率を適切に評価す...

 前回のその13に続いて解説します。   1. SCMの改善・改革    前回までの連載では、現在SCMには効率を適切に評価す...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
トラック待機場、ピッキング場の物流環境 物流環境を整えよう(その2)

       1. トラック待機場とドライバー休憩室  荷主側でぜひ検討していきたいアイテムにトラック待機場とドライバー休憩室があります。トラ...

       1. トラック待機場とドライバー休憩室  荷主側でぜひ検討していきたいアイテムにトラック待機場とドライバー休憩室があります。トラ...


改善提案を提出してもらえるようなアウトソースとは アウトソースを過信するな(その2)

◆ 物流仕様を明確に伝える  アウトソースに失敗する会社の特徴として「物流仕様を明確に伝えなかった」ということが挙げられます。荷主会社が物流業務をア...

◆ 物流仕様を明確に伝える  アウトソースに失敗する会社の特徴として「物流仕様を明確に伝えなかった」ということが挙げられます。荷主会社が物流業務をア...


サプライチェーンマネジメント:物流業務での若手育成(その3)

  ◆物流の発生要因を学ぶ 物流管理というよりサプライチェーンマネジメント。これこそが若手社員が身につけていかなければならないスキルです...

  ◆物流の発生要因を学ぶ 物流管理というよりサプライチェーンマネジメント。これこそが若手社員が身につけていかなければならないスキルです...