品質管理 中国工場管理の基本事例(その17)

投稿日

中国工場

 

◆ 品質管理-中国工場の品質がよくないのはなぜか(その7)

 中国工場のスタッフについてみています。これまで作業者や管理者を取り上げてきましたが、今回は、日本人駐在員について考えてみます。

【日本人駐在員】

 企業のグローバル化が進み、海外工場の成否が日本の本社経営に与える影響は、以前に比べて格段に大きくなっています。つまり海外工場、ここでは中国工場がうまくいくかどうかがポイントになります。それは、中国工場を任せている日本人駐在員、特に総経理や工場長の手腕によるところが大きく、駐在員の経営センスは本社としても重要課題の一つになっているのです。

 興味深いデータがあるので紹介します。ある企業が「中国での駐在員失敗率」というデータをとったところ、失敗率は33%~80%だったそうです。

 この数字をみてみましょう。まず33%、これは中国に送り込んだ駐在員の3人に1人は失敗したということです。次に80%、多い会社では、何と送り込んだ駐在員5人中4人が失敗だったということになります。それだけ中国駐在は大変な仕事だということになります。

 この統計では、次のような場合に失敗とみなしています。

  • 任期を全うできない
  • 拠点立上げの遅れ、生産計画の遅れ
  • 現地スタッフとの関係構築失敗
  • 外部組織との関係構築失敗
  • 次期リーダーの育成失敗
  • 企業イメージの低下

 失敗の要因は多々ある訳ですが、その代表的なものとしては次のようなことがあります。

自分一人ですべてをやろうとした

 生真面目な人はこのような傾向にあります。一人ですべてを回すのは無理と割り切ることも大事です。この総経理や工場長というポジションの方が中国で仕事をうまく回すには、片腕となる中国人を持つことが必要です。

日本で経験したことのない業務も行う...

中国工場

 

◆ 品質管理-中国工場の品質がよくないのはなぜか(その7)

 中国工場のスタッフについてみています。これまで作業者や管理者を取り上げてきましたが、今回は、日本人駐在員について考えてみます。

【日本人駐在員】

 企業のグローバル化が進み、海外工場の成否が日本の本社経営に与える影響は、以前に比べて格段に大きくなっています。つまり海外工場、ここでは中国工場がうまくいくかどうかがポイントになります。それは、中国工場を任せている日本人駐在員、特に総経理や工場長の手腕によるところが大きく、駐在員の経営センスは本社としても重要課題の一つになっているのです。

 興味深いデータがあるので紹介します。ある企業が「中国での駐在員失敗率」というデータをとったところ、失敗率は33%~80%だったそうです。

 この数字をみてみましょう。まず33%、これは中国に送り込んだ駐在員の3人に1人は失敗したということです。次に80%、多い会社では、何と送り込んだ駐在員5人中4人が失敗だったということになります。それだけ中国駐在は大変な仕事だということになります。

 この統計では、次のような場合に失敗とみなしています。

  • 任期を全うできない
  • 拠点立上げの遅れ、生産計画の遅れ
  • 現地スタッフとの関係構築失敗
  • 外部組織との関係構築失敗
  • 次期リーダーの育成失敗
  • 企業イメージの低下

 失敗の要因は多々ある訳ですが、その代表的なものとしては次のようなことがあります。

自分一人ですべてをやろうとした

 生真面目な人はこのような傾向にあります。一人ですべてを回すのは無理と割り切ることも大事です。この総経理や工場長というポジションの方が中国で仕事をうまく回すには、片腕となる中国人を持つことが必要です。

日本で経験したことのない業務も行うことになった

 これは中国工場ではよくあることで、現地に行くと何でもやらざるを得なくなるのですが、経験のない業務をやるのは、簡単なことではありません。

 

・・・・・・・・ 

 以上、日本人駐在員についてみてきました。これは駐在員本人の資質によるところもありますが、会社のためにも、本人のためにも中国駐在がうまくいくように本社サイドのフォローが重要です。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術企業の高収益化:経営者の信頼残高が技術戦略を左右する

◆ 技術戦略と恐怖政治の奇妙な関係とは  「代わってもらって良いんだよ」と温かく社員に声を掛けたのは、A社長でした。  「温かく」と書くといい雰囲...

◆ 技術戦略と恐怖政治の奇妙な関係とは  「代わってもらって良いんだよ」と温かく社員に声を掛けたのは、A社長でした。  「温かく」と書くといい雰囲...


技術士第二次試験対策:解答を事前に考える(その3)

    前回の記事の中で、「『解答の主旨と解答の主旨の説明』を考える」について書きました。今回は、これを深堀した内容です。 ...

    前回の記事の中で、「『解答の主旨と解答の主旨の説明』を考える」について書きました。今回は、これを深堀した内容です。 ...


教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成(その4)

【教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成 連載目次】 1. 教育の目的・対象 2. 信賞必罰でメリハリをつけるための信賞必罰制度を運用する仕...

【教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成 連載目次】 1. 教育の目的・対象 2. 信賞必罰でメリハリをつけるための信賞必罰制度を運用する仕...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
批判をアドバイスに変える前向きな決意とは

 「決意を持って行動していれば、批判はすべて有益なアドバイス」になると言うお話です。多くの人は自分の意見や行動に対し批判を受けると嫌な気持ちになると思いま...

 「決意を持って行動していれば、批判はすべて有益なアドバイス」になると言うお話です。多くの人は自分の意見や行動に対し批判を受けると嫌な気持ちになると思いま...


人的資源マネジメント:経験学習プロセス(その1)

   今回は、「成長」をテーマにして、前々回から話をしている開発現場を変える3つのキーワードのひとつである「経験学習プロセス」を紹介したいと思...

   今回は、「成長」をテーマにして、前々回から話をしている開発現場を変える3つのキーワードのひとつである「経験学習プロセス」を紹介したいと思...


継続できるしくみとは:提案について考える(その3)

  ◆継続できるしくみにする 改善提案制度として望ましい形は全従業員が毎月1件以上の提案を行うということではないでしょうか。特にこれから...

  ◆継続できるしくみにする 改善提案制度として望ましい形は全従業員が毎月1件以上の提案を行うということではないでしょうか。特にこれから...