品質管理 中国工場管理の基本事例(その11)

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◆ 品質管理-中国工場の品質が良くないのはなぜか(その1)

 今回から中国工場の品質管理について書くことにいたします。

 中国工場に生産を移管した時にどの企業も直面するのが品質問題です。日本で問題なく生産していたものでも、中国生産では簡単には同じ品質になりません。

 中国工場の品質が悪いのはなぜか、問題点は何かを考えるとさまざまな要因が浮かんできますが、ただ考えていてもまとまるものではありません。このような時はある切り口をもって考えると漏れなくダブりなくまとめることができます。そこでわたしは生産の3要素(3M)を切り口として中国工場の問題点を考えました。

 【生産の3要素】

  • 人  (Man)
  • 機械 (Machine)
  • 材料 (Material)

 3M、それぞれについて見ていきます。

 

Man(人)

 人についてもひとくくりにして考えるのではなく、階層ごとに区分して考えていく必要があります。

(1) 作業者

  • 何も知らない
  • 仕事や品質に対する意識が低い
  • 入れ替わりが激しくスキル養成がままならない

(2) 管理者(班長、組長、科長)

  • 育成しなければ育たない
  • 作業や作業者の管理のやり方を知らない

(3) 経営層(総経理、工場長)

  • TOPの姿勢
  • 片腕となる中国人の有無

 今回は、作業者について詳しく見ていくことにします。

 

(1) 作業者

 中国の作業者に対して作業のやり方や品質管理の知識などを教えるときは、小学生に教えるつもりでやることがポイントです。それくらい何も知らない子たちと認識しておく必要があるのです。

 このような話をすると中国経験者は「そんなことは分かっている」と言うのですが、頭で理解していても実際の行動がそれを前提としたものになっていないことが多々見られます。よく見掛けるのが「知らないといってもこれくらいは知っているだろう」とか「これくらいは分かるだろう」と思ってしまうことです。

 

 中国人作業者は、日本人が考えているよりも何も知りません。知らないこと、教えられていないことはできないので、やって欲しいことはきちんと教える必要があるということです。実はこの点は、管理者でも同じです。

 日本の工場の場合は、長年生産をしてきたこともあり、男性でも女性でもある程度の経験を持っています。そんな人たちは、きちんと説明をすれば内容を理解し、こちらの意図通りにやってくれます。新人が入ってきても、ベテランがきちんと教え面倒を見ることができます。

 中国で工場を立ち上げて、日本と同じようなつもりで作業者を考えてはいけません。1回の説明でこちらの意図を理解してくれるとは考えないことです。何回も確認をしながら繰り返し説明することが大事です。

 

 中国人作業者に対して、こうしたことを意識している日系企業でも、小...

中国

 

◆ 品質管理-中国工場の品質が良くないのはなぜか(その1)

 今回から中国工場の品質管理について書くことにいたします。

 中国工場に生産を移管した時にどの企業も直面するのが品質問題です。日本で問題なく生産していたものでも、中国生産では簡単には同じ品質になりません。

 中国工場の品質が悪いのはなぜか、問題点は何かを考えるとさまざまな要因が浮かんできますが、ただ考えていてもまとまるものではありません。このような時はある切り口をもって考えると漏れなくダブりなくまとめることができます。そこでわたしは生産の3要素(3M)を切り口として中国工場の問題点を考えました。

 【生産の3要素】

  • 人  (Man)
  • 機械 (Machine)
  • 材料 (Material)

 3M、それぞれについて見ていきます。

 

Man(人)

 人についてもひとくくりにして考えるのではなく、階層ごとに区分して考えていく必要があります。

(1) 作業者

  • 何も知らない
  • 仕事や品質に対する意識が低い
  • 入れ替わりが激しくスキル養成がままならない

(2) 管理者(班長、組長、科長)

  • 育成しなければ育たない
  • 作業や作業者の管理のやり方を知らない

(3) 経営層(総経理、工場長)

  • TOPの姿勢
  • 片腕となる中国人の有無

 今回は、作業者について詳しく見ていくことにします。

 

(1) 作業者

 中国の作業者に対して作業のやり方や品質管理の知識などを教えるときは、小学生に教えるつもりでやることがポイントです。それくらい何も知らない子たちと認識しておく必要があるのです。

 このような話をすると中国経験者は「そんなことは分かっている」と言うのですが、頭で理解していても実際の行動がそれを前提としたものになっていないことが多々見られます。よく見掛けるのが「知らないといってもこれくらいは知っているだろう」とか「これくらいは分かるだろう」と思ってしまうことです。

 

 中国人作業者は、日本人が考えているよりも何も知りません。知らないこと、教えられていないことはできないので、やって欲しいことはきちんと教える必要があるということです。実はこの点は、管理者でも同じです。

 日本の工場の場合は、長年生産をしてきたこともあり、男性でも女性でもある程度の経験を持っています。そんな人たちは、きちんと説明をすれば内容を理解し、こちらの意図通りにやってくれます。新人が入ってきても、ベテランがきちんと教え面倒を見ることができます。

 中国で工場を立ち上げて、日本と同じようなつもりで作業者を考えてはいけません。1回の説明でこちらの意図を理解してくれるとは考えないことです。何回も確認をしながら繰り返し説明することが大事です。

 

 中国人作業者に対して、こうしたことを意識している日系企業でも、小学生レベルまで落した教育にはなっていないことが多々あるようです。そうした日系企業では、高校生レベルと考えて失敗をしています。

 このような作業者たちに作業をやってもらうときは、基本的な考え方として「作業を単純化して標準化する」ことが必要です。そしてマニュアルを整備してマニュアル通りに、同じ作業は同じ手順でやってもらうこと。また、可能な限り熟練作業を必要ないようにします。ただし工場の中ではどうしても熟練を必要とする作業が存在しますが、できる限りその範囲を限定します。

 

 次回は、ある日系中国工場がトライした従来型の作業からの転換について紹介します。

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この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

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