赴任者のために 中国工場管理の基本事例(その9)

更新日

投稿日

中国

 

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その7)

 前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その6)に続いて解説します。

◆ 赴任者のための労務管理・リスクマネジメント(その3)

 今回は、従業員(中国人、日本人)の行動に関するリスクについてです。

 

 まず一つ目は、従業員の不正・横領・盗難です。

 中国工場では常にこのリスクは存在すると考えておいた方が良いでしょう。不正が起きないような仕組みや制度にすることが大事です。換金できるものは何でも横領や盗難の対象になりますが、やはり材料関係がターゲットになることが多いですから、十分注意して下さい。

 ある日系の工場での横流し事件の事例をお話します。樹脂のシート材料が巧妙に倉庫から持ち出されていたことが分かりました。ひょんなことから発覚したのですが、とても大掛かりなもので、倉庫、生産管理、現場の従業員が手を組んで架空の伝票を発行するなどして犯行に及んでいたのです。管理はしっかりできていると思っていた日本人総経理は大変なショックを受けたようでした。

 他には、購買担当者が業者からキックバックを取ることも起きます。中国ではそれが当たり前と考えているところもあります。日本の感覚からいえば、許してはいけないことですが、これに関する対応は、会社ごとに置かれた状況や考え方で大きく違っています。

 

 「キックバックは一切認めない」という方針を打ち出している会社では、次のような対応をしているケースもあります。

 購買責任者である購買科長は期間を決めてローテーションする。こうすることで、業者と癒着をさせない、そしてそれを認めないという強い意志を示しています。

 逆に、厳しく管理できないと判断した会社では、そうした行為に目をつぶっているケースもあります。ただし、それによって購入価格が高くなるなど会社に不利益にならないことだけはチェックしているよう...

中国

 

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その7)

 前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その6)に続いて解説します。

◆ 赴任者のための労務管理・リスクマネジメント(その3)

 今回は、従業員(中国人、日本人)の行動に関するリスクについてです。

 

 まず一つ目は、従業員の不正・横領・盗難です。

 中国工場では常にこのリスクは存在すると考えておいた方が良いでしょう。不正が起きないような仕組みや制度にすることが大事です。換金できるものは何でも横領や盗難の対象になりますが、やはり材料関係がターゲットになることが多いですから、十分注意して下さい。

 ある日系の工場での横流し事件の事例をお話します。樹脂のシート材料が巧妙に倉庫から持ち出されていたことが分かりました。ひょんなことから発覚したのですが、とても大掛かりなもので、倉庫、生産管理、現場の従業員が手を組んで架空の伝票を発行するなどして犯行に及んでいたのです。管理はしっかりできていると思っていた日本人総経理は大変なショックを受けたようでした。

 他には、購買担当者が業者からキックバックを取ることも起きます。中国ではそれが当たり前と考えているところもあります。日本の感覚からいえば、許してはいけないことですが、これに関する対応は、会社ごとに置かれた状況や考え方で大きく違っています。

 

 「キックバックは一切認めない」という方針を打ち出している会社では、次のような対応をしているケースもあります。

 購買責任者である購買科長は期間を決めてローテーションする。こうすることで、業者と癒着をさせない、そしてそれを認めないという強い意志を示しています。

 逆に、厳しく管理できないと判断した会社では、そうした行為に目をつぶっているケースもあります。ただし、それによって購入価格が高くなるなど会社に不利益にならないことだけはチェックしているようです。

 

 2つ目は、日本人駐在員が引き起こすトラブルです。

 多いのは女性問題です。ある日系工場では、駐在員がいい仲になった女性を自分の秘書として雇ったという事例もありました。こうなると周りの中国人スタッフに示しがつかず、駐在員としての役割を果たすことはできなくなってしまいます。日本人駐在員には、節度ある行動が求められていますので自覚してください。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
生産性を高めるための戦略とは?企業が実践すべきポイントと事例を解説

【目次】 現代のビジネス環境は、急速な技術革新やグローバル化の進展により、企業にとって生産性の向上がますます重要な課題となっています...

【目次】 現代のビジネス環境は、急速な技術革新やグローバル化の進展により、企業にとって生産性の向上がますます重要な課題となっています...


中国工場の実状を知る、日本人駐在員について 中国工場の品質改善(その20)

  【第2章 中国工場の実状を知る】 【設備ノウハウの落し込み】  前回のその19に続いて解説します。 (3)中国人にどこまで求める...

  【第2章 中国工場の実状を知る】 【設備ノウハウの落し込み】  前回のその19に続いて解説します。 (3)中国人にどこまで求める...


作業訓練のやり方 儲かるメーカー改善の急所101項(その44)

4、作業を改善する基本 ◆ 作業訓練のやり方  「人に教わってみんなができるようになる一番難しい技術は?」と聞かれたら皆さんは何とお答えになるでし...

4、作業を改善する基本 ◆ 作業訓練のやり方  「人に教わってみんなができるようになる一番難しい技術は?」と聞かれたら皆さんは何とお答えになるでし...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
金型メーカーマシニング加工工程の業務診断事例(その1)

 今回は「マシニング加工」における診断項目を紹介します。 ◆ マシニング加工工程の診断内容 1、適材適所の工具選定がされているか、最新の工具を使え...

 今回は「マシニング加工」における診断項目を紹介します。 ◆ マシニング加工工程の診断内容 1、適材適所の工具選定がされているか、最新の工具を使え...


ゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その11)

前回のゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その10)に続けて解説します。   ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイト...

前回のゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その10)に続けて解説します。   ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイト...


中国式金型のショット数管理 中国企業の壁(その24)

        一般的に金型の寿命管理は、ショット数管理と出来栄え管理の両面で行います。    ショット数管理は、あらかじめ生産数量(ショット数...

        一般的に金型の寿命管理は、ショット数管理と出来栄え管理の両面で行います。    ショット数管理は、あらかじめ生産数量(ショット数...