品質管理 中国工場管理の基本事例(その16)

 

◆ 品質管理-中国工場の品質がよくないのはなぜか(その6)

 中国工場のスタッフについてみています。これまで作業者や管理者を取り上げてきましたが、今回は経営層についてお話します。

【経営層】

 中国工場で経営層といえば、総経理や工場長のことです。

 筆者は中国駐在員時代、購入部材の品質管理責任者をしており、購入先には中国企業もありましたが最初から品質のよい企業は、ほとんどありませんでした。取引当初はわれわれが求める品質レベルにない中国企業から、コストメリットの名のもとに数量を限定して購入することもありました。

 中国企業と取り引きすると、次の3つの傾向が分かりました。

 実は、中国に進出した日系企業の工場も同じような傾向がありました。

 この傾向の違いはどうして出るのでしょうか?

 中国企業の場合は、経営者の品質対する考え方・姿勢で決まります。経営者が日系や欧米系などの外国企業と取り引きを継続することで会社を発展させようと考えていれば、会社は伸びていました。本当に1、2年で急速に品質が向上することもありました。

 中国企業の場合、トップの言うことは絶対ですから、品質重視という姿勢を打ち出せば、従業員はそれを目指した動きをしますので、われわれの指導を素直に受け入れ、力を付けて品質が改善されていきます。

 一方、品質を重視しない経営者が何を重視するかといえば目先の利益です。そうした会社は、品質管理や改善には費用がかかると考えるためやりません。

 ここでは中国企業を例に挙げましたが、日系企業でも同じことがいえます。

 ほとんどの日系工場では、日本人駐在員が総経理や工場長を務めています。そのトップの日本人が「何事もなく自分の任期が終わればよい」などと考えているケースも実は少なくありません。

 トップがこのようなスタンスでいると、現地中国人に見透かされてしまい、工場全体の士気に悪影響を及ぼしてしまいます。特に利益の出...

ている工場でこの傾向があります。常に課題を持って、それらを解決していく強い意志が必要です。

 その会社の品質はトップの姿勢や考え方で決まることに変わりはありません。ですから総経理や工場長の品質に対する考え方が問われているのです。また、この後に書きますが、中国工場で日本人のトップが仕事を進めるためには、自分の片腕となる中国人スタッフを持つことが必要です。1人で全てをやるのは無理だと自覚することが大事です。

 

 次回に続きます。

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