品質を考える(その3)不良の原因は自工程だけではない

品質

 

◆ 不良の原因は自工程だけではない

1. 品質を考える:客先クレームを分析してみると

 客先からのクレームが返って来てその原因を調べてみますと、自社による因子もありますが、さらに真因を追究していきますと、自社の前工程である協力工場や仕入先を含めたサプライヤにまつわる問題もかなりあることに気付かれると思います。組立工場の場合は、およそ半分近くが自社以外のものと言われますが、その逆にサプライヤにも原因があるということになります。

 先日切削工場を訪問した時に、ある旋盤の下に3mほどの材料が数本置かれていたものを発見しました。それは材料が中央付近で変形していたのを、そのままマガジンに投入してしまい、マガジンが故障をしてしまったということでした。そのため証拠の現物として残しておき、サプライヤが来るのを待っていると言う状況でした。

 その原因は、サプライヤもしくは輸送業者の取り扱いの問題かもしれませんが、従来からその材料で変形したものはなく、全て良品だと思ってオペレータは材料投入したと言います。もしかすると自社での取り扱いの問題で、材料に変形が発生したかもしれません。しかし、自社での取り扱いに全く問題がないと断言できれば、堂々と前工程を呼びつけて対応を求めることができます。でも自社で絶対に不良を出さないという自信がなければ、なかなか言えるものではありません。皆さんの工場では、自信を持って正々堂々と前工程やサプライヤに断言できる状態にあるでしょうか。

 自社や自工程の不良が出ないように改善を行っていきますと、不良は次第に減少していき、連続して10日間発生しない→さらに20日間、・・・・50日間不良ゼロを達成などと段々と不良が出なくなってきます。このように連続して、不良を出さないようにしていくのは、相当の努力の成果であって、現場のオペレータの皆さんによる改善活動や意識付けによる効果の賜物だと思います。

 自工程の不良が少なくなってくると、お客様での不良(クレーム)ももっと少なくなっていくのは当然の成り行きでしょう。ラインの不良が出なかった日の連続日数を、大型の液晶テレビでライン内に表示をしている工場があり、きちんと結果を出し続けています。労働安全の無事故日数を掲示している工場は多くありますが、不良の発生がない日を表示している工場は、ほとんど見られません。

 

2. 品質を考える:まず自工程の悪さを明確にする

 不良をなくしていくには、自工程から前工程さらに、サプライヤへと品質保証を行っていく必要があります。品質向上のつくりこみは、この連鎖をドンドンと源流まで突き詰めて行くことで達成できるものですが、まさに地道な努力と強く綿密なチームワークが必要です。自工程単独ではなし得ないものであり、如何にその連鎖を作り上げるかが、品質のつくりこみにおけるポイントになります。

 品質のつくりこみを実行するプログラムは、このようにサプライヤを巻き込んでいくことが重要になってきます。そのために、自分の本当の悪さ加減を掴むことが大切です。意外ですが、この悪さ加減を自ら認めることができなければ、この活動は停止してしまいます。

 誰も自らの悪さを認めたがらないものですが、そこがこの仕組みを形成するかどうかの分かれ目なので、それを促すには、やはりチームで現地現物を診ながら共通認識を持つことです。一人ですと言い訳をして逃げ出してしまいますが、チームで現実を見て共有化すれば、認識度は違ってきますので、そこから逃げることができなくなります。それを明らかにするツールとして、現場で発生した不良の現物を机の上に並べて、関係者に知らしめて、関係者を集め、現物から不良の原因、真因、さらに対策まで行う「品質パレート机」があります。

 このツールを導入した工場で、しばらくぶりにその実態を確認してみたら、自工程の不良がいつの間にかサプライヤだけの不良を確認する机になっていました。やはり自分のミスによる不良は、公開したくないものだとつくづく思いました。すぐに関係者を集めて本来の使い方を徹底的に再教育し、まず自工程の不良を明確にするように、全面的にやり方を切り替えるようにと納得してもらいましたが、伝えたことと伝わったことの違いをまざまざと見せ付けられました。

 前工程から不良を受け取った時に、すぐに前工程にフィードバックすると、前工程は意識せざるを得ない状況になってきます。現状は、受け取った工程で安易に手直しをしてしまい、物と情報がフィードバックしていないことが多いのです。結局その貴重な情報をゴミ箱に捨てているようなものですが、実にもったいないことです。

 

3. 品質を考える:自分のことができてから、上流に遡る

 不良を出すとオペレータは、恥ずかしい思いになり失敗をしなくなりますが、常に意識付けをしていなければ元に戻ってしまいます。それ以降の注意すべき点は、徹底した標準化であり、しつこいトレーニングを繰り返して、頭での理解ではなく筋肉による理解で品質向上を図っていくことです。まず、自分の工程を不良ゼロにすると、それを見て上流工程は真剣にならざるを得なくなってきます。結果が出れば、彼らも興味を示し始めます。自工程でそれができたら、そこから初めて上流の前工程やサプライヤにシフトしていきます。

 QDCの何が重要かといえば、当然品質ですが、普段は別なところに神経を使っているので、品質が散漫になってしまうものです。この品質パレート机は、オペレータに不良を強烈に印象付けるためのツー...

品質

 

◆ 不良の原因は自工程だけではない

1. 品質を考える:客先クレームを分析してみると

 客先からのクレームが返って来てその原因を調べてみますと、自社による因子もありますが、さらに真因を追究していきますと、自社の前工程である協力工場や仕入先を含めたサプライヤにまつわる問題もかなりあることに気付かれると思います。組立工場の場合は、およそ半分近くが自社以外のものと言われますが、その逆にサプライヤにも原因があるということになります。

 先日切削工場を訪問した時に、ある旋盤の下に3mほどの材料が数本置かれていたものを発見しました。それは材料が中央付近で変形していたのを、そのままマガジンに投入してしまい、マガジンが故障をしてしまったということでした。そのため証拠の現物として残しておき、サプライヤが来るのを待っていると言う状況でした。

 その原因は、サプライヤもしくは輸送業者の取り扱いの問題かもしれませんが、従来からその材料で変形したものはなく、全て良品だと思ってオペレータは材料投入したと言います。もしかすると自社での取り扱いの問題で、材料に変形が発生したかもしれません。しかし、自社での取り扱いに全く問題がないと断言できれば、堂々と前工程を呼びつけて対応を求めることができます。でも自社で絶対に不良を出さないという自信がなければ、なかなか言えるものではありません。皆さんの工場では、自信を持って正々堂々と前工程やサプライヤに断言できる状態にあるでしょうか。

 自社や自工程の不良が出ないように改善を行っていきますと、不良は次第に減少していき、連続して10日間発生しない→さらに20日間、・・・・50日間不良ゼロを達成などと段々と不良が出なくなってきます。このように連続して、不良を出さないようにしていくのは、相当の努力の成果であって、現場のオペレータの皆さんによる改善活動や意識付けによる効果の賜物だと思います。

 自工程の不良が少なくなってくると、お客様での不良(クレーム)ももっと少なくなっていくのは当然の成り行きでしょう。ラインの不良が出なかった日の連続日数を、大型の液晶テレビでライン内に表示をしている工場があり、きちんと結果を出し続けています。労働安全の無事故日数を掲示している工場は多くありますが、不良の発生がない日を表示している工場は、ほとんど見られません。

 

2. 品質を考える:まず自工程の悪さを明確にする

 不良をなくしていくには、自工程から前工程さらに、サプライヤへと品質保証を行っていく必要があります。品質向上のつくりこみは、この連鎖をドンドンと源流まで突き詰めて行くことで達成できるものですが、まさに地道な努力と強く綿密なチームワークが必要です。自工程単独ではなし得ないものであり、如何にその連鎖を作り上げるかが、品質のつくりこみにおけるポイントになります。

 品質のつくりこみを実行するプログラムは、このようにサプライヤを巻き込んでいくことが重要になってきます。そのために、自分の本当の悪さ加減を掴むことが大切です。意外ですが、この悪さ加減を自ら認めることができなければ、この活動は停止してしまいます。

 誰も自らの悪さを認めたがらないものですが、そこがこの仕組みを形成するかどうかの分かれ目なので、それを促すには、やはりチームで現地現物を診ながら共通認識を持つことです。一人ですと言い訳をして逃げ出してしまいますが、チームで現実を見て共有化すれば、認識度は違ってきますので、そこから逃げることができなくなります。それを明らかにするツールとして、現場で発生した不良の現物を机の上に並べて、関係者に知らしめて、関係者を集め、現物から不良の原因、真因、さらに対策まで行う「品質パレート机」があります。

 このツールを導入した工場で、しばらくぶりにその実態を確認してみたら、自工程の不良がいつの間にかサプライヤだけの不良を確認する机になっていました。やはり自分のミスによる不良は、公開したくないものだとつくづく思いました。すぐに関係者を集めて本来の使い方を徹底的に再教育し、まず自工程の不良を明確にするように、全面的にやり方を切り替えるようにと納得してもらいましたが、伝えたことと伝わったことの違いをまざまざと見せ付けられました。

 前工程から不良を受け取った時に、すぐに前工程にフィードバックすると、前工程は意識せざるを得ない状況になってきます。現状は、受け取った工程で安易に手直しをしてしまい、物と情報がフィードバックしていないことが多いのです。結局その貴重な情報をゴミ箱に捨てているようなものですが、実にもったいないことです。

 

3. 品質を考える:自分のことができてから、上流に遡る

 不良を出すとオペレータは、恥ずかしい思いになり失敗をしなくなりますが、常に意識付けをしていなければ元に戻ってしまいます。それ以降の注意すべき点は、徹底した標準化であり、しつこいトレーニングを繰り返して、頭での理解ではなく筋肉による理解で品質向上を図っていくことです。まず、自分の工程を不良ゼロにすると、それを見て上流工程は真剣にならざるを得なくなってきます。結果が出れば、彼らも興味を示し始めます。自工程でそれができたら、そこから初めて上流の前工程やサプライヤにシフトしていきます。

 QDCの何が重要かといえば、当然品質ですが、普段は別なところに神経を使っているので、品質が散漫になってしまうものです。この品質パレート机は、オペレータに不良を強烈に印象付けるためのツールであり、品質をつくり込むための意識付けでもあります。それを維持して、オペレータに常に意識させるには、上司がそれに感心を持つことです。

 上司は、不良を毎日立ち止まって見ることで、その姿をオペレータたちが見て、上司の関心ごとは「不良の撲滅」であると認識し始めるものです。量産に入れば、標準を守ったり、トレーニングしたりすることで、不良の発生を抑えていきます。このように上司は身をもって、工場の関心ごとの価値観や思想を植え付ける人になるべきですが、簡単なことほど難しいものですね。

 品質パレート机は、初期流動時には有効ですが、いつまでも不良の現物が幾つも並ぶほどあれば非常に問題です。一向に改善がなされていない証拠ですので、早急に根本対策を講じなければなりません。インパクトを与えるには、ラインを止めることが根本的な意識付けになりますが、すぐにはその行為はできません。そのためには、十分な事前準備が必要です。次第に不良が発生しなくなってきますと、今度はこの机は良品を置いておきます。今は自信を持って、良品のみをつくり続けていますという象徴です。

 

 次回に続きます。

 

 【出典】株式会社 SMC HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

 

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この記事の著者

松田 龍太郎

見えないコトを見えるようにする現場改善コンサルタント。ユーモアと笑顔をセットにして、元氣一杯に現地現物での指導を心がける。難しいことはわかりやすく、例え話や事例を用いながら解説し、納得してもらえるように楽しく動機付けを行います。

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