国際プラスチックフェアー(IPF JAPAN 2017)展示会レポート(その5)

投稿日

 前回のその4に続いて解説します。
 

6. 繊維強化の1

(1) オンラインブレンド

 名機製作所は射出成形機のホッパーを2基設け、ベース樹脂と炭素繊維を成形機の中で溶融混錬し成形を行っていた(図24)。繊維が折れにくいスクリューデザインを採用している。ショーケースにはバージンの炭素繊維の他にリサイクル炭素繊維が展示されており、複合材料から回収されてきた繊維の活用を考えているようだ(図25)。
 
プラスチックフェアー図24 名機製作所のCF繊維のオンラインブレンド成形装置
 
プラスチックフェアー図25 名機製作所の炭素繊維強化成形品のサンプルとバージCF,リサイクルCF
 

(2) 熱可塑エポキシ樹脂

 ファナックは小松精練が開発した炭素繊維強化熱可塑性エポキシ樹脂(45%CF)を用いてボルトの成形を実演していた(図26)。スクリューは標準タイプであるが、飢餓フィードにして滞留時間を短くすることにより繊維の破断を抑制している。
 
プラスチックフェアー図26 ファナックブースで成形実演されていた炭素繊維強化熱可塑性エポキシ樹脂のペレット(右)と成形されたボルト
 

(3) 熱可塑プレプリグ,UDテープの複合成形

 ガラス繊維や炭素繊維を熱可塑性樹脂と複合化したシートをインサートする複合成形は多くの成形機メーカーで成形実演されていた。なお、シートについては各社独自の呼称を用いているのであえて統一していない。
 
 日本製鋼所は自動車のバンパービームを模した形状で炭素繊維/熱可塑性樹脂のUDテープ(図27)を反操作側から金型にインサートした複合成形を実演していた(図28)。図29はUDテープインサートによる成形品の展示の様子である。
 
プラスチックフェアー図27 日本製鋼所ブースに掲示...
 前回のその4に続いて解説します。
 

6. 繊維強化の1

(1) オンラインブレンド

 名機製作所は射出成形機のホッパーを2基設け、ベース樹脂と炭素繊維を成形機の中で溶融混錬し成形を行っていた(図24)。繊維が折れにくいスクリューデザインを採用している。ショーケースにはバージンの炭素繊維の他にリサイクル炭素繊維が展示されており、複合材料から回収されてきた繊維の活用を考えているようだ(図25)。
 
プラスチックフェアー図24 名機製作所のCF繊維のオンラインブレンド成形装置
 
プラスチックフェアー図25 名機製作所の炭素繊維強化成形品のサンプルとバージCF,リサイクルCF
 

(2) 熱可塑エポキシ樹脂

 ファナックは小松精練が開発した炭素繊維強化熱可塑性エポキシ樹脂(45%CF)を用いてボルトの成形を実演していた(図26)。スクリューは標準タイプであるが、飢餓フィードにして滞留時間を短くすることにより繊維の破断を抑制している。
 
プラスチックフェアー図26 ファナックブースで成形実演されていた炭素繊維強化熱可塑性エポキシ樹脂のペレット(右)と成形されたボルト
 

(3) 熱可塑プレプリグ,UDテープの複合成形

 ガラス繊維や炭素繊維を熱可塑性樹脂と複合化したシートをインサートする複合成形は多くの成形機メーカーで成形実演されていた。なお、シートについては各社独自の呼称を用いているのであえて統一していない。
 
 日本製鋼所は自動車のバンパービームを模した形状で炭素繊維/熱可塑性樹脂のUDテープ(図27)を反操作側から金型にインサートした複合成形を実演していた(図28)。図29はUDテープインサートによる成形品の展示の様子である。
 
プラスチックフェアー図27 日本製鋼所ブースに掲示されていたUDテープインサートの説明
 
プラスチックフェアー図28 日本製鋼所ブースで実演されていたUDテープインサート成形
 
プラスチックフェアー
図29 日本製鋼所ブースに展示されていたUDテープインサートサンプル
 
 次回も、繊維強化の解説を続けます。
 
【出典】
 PLASTICS JAPAN.com 展示会レポート IPF JAPAN 2017より、筆者のご承諾により、連載。
  

   続きを読むには・・・


この記事の著者

秋元 英郎

「プラスチック博士」プラスチックに関する技術コンサルタントとして材料選定、成形加工技術の指導を中心に活動

「プラスチック博士」プラスチックに関する技術コンサルタントとして材料選定、成形加工技術の指導を中心に活動


「生産工学」の他のキーワード解説記事

もっと見る
高付加価値創出のための最適金型技術とは

  1. 各種金型の費用・生産数の関係  国内市場が縮小する中、海外市場へ成長の活路を求めて企業の海外進出が加速しています。とりわけ、 モノ...

  1. 各種金型の費用・生産数の関係  国内市場が縮小する中、海外市場へ成長の活路を求めて企業の海外進出が加速しています。とりわけ、 モノ...


静電気の誤った常識 静電気の見える化とは (その1)

 静電気が問題になっている現場は日本中に多数ありますが、自分の工場で必要な『静電気除去レベル』が分からずに、除電が不十分だったり、逆に要求以上に高価な除電...

 静電気が問題になっている現場は日本中に多数ありますが、自分の工場で必要な『静電気除去レベル』が分からずに、除電が不十分だったり、逆に要求以上に高価な除電...


ロボット導入のメリット、デメリット

   作業の大半を手作業で行っている工場で、人手不足対応として、ロボットの導入を検討した場合、ロボットを導入すると、どのようなメリットがあるの...

   作業の大半を手作業で行っている工場で、人手不足対応として、ロボットの導入を検討した場合、ロボットを導入すると、どのようなメリットがあるの...


「生産工学」の活用事例

もっと見る
金型加工用NCデータ作成における省力化のポイントと実例(その2)

        前回のその1に続いて解説します。   3. 取り組み指針に沿ったCAM機能の選...

        前回のその1に続いて解説します。   3. 取り組み指針に沿ったCAM機能の選...


ドリルの適正な加工条件とは

        たいへん便利なCAD/CAMですが、その反面、罠に陥りやすい面もあります。今回は、CAD/C...

        たいへん便利なCAD/CAMですが、その反面、罠に陥りやすい面もあります。今回は、CAD/C...


動作解析事例「混流生産組み立てラインでの作業改善」

   今回は価値のない作業の排除「ムダとり」の事例を、結果だけではなく取り組み方も含めて紹介します。現場は、自動車メーカー(国内:混流生産組み...

   今回は価値のない作業の排除「ムダとり」の事例を、結果だけではなく取り組み方も含めて紹介します。現場は、自動車メーカー(国内:混流生産組み...