国際プラスチックフェアー(IPF JAPAN 2017)展示会レポート(その3)

投稿日

 前回のその2に続いて解説します。
 

4.発泡成形の2

 東洋機械金属は成形機のノズル部分に多孔質金属を用いて、超臨界二酸化炭素を導入して発泡させるプロセスを実演していました。計量工程では二酸化炭素の供給を止め、射出のタイミングで供給するとのことで、溶融樹脂にガスを溶解させてから気泡生成させるのではなく、樹脂流動中にガスを導入して直接気泡を巻き込ませるのでしょう。図9は後述の炭素繊維複合シートの活用を含めた軽量化の提案と物理発泡成形を説明したパネルです。
 
プラスチックフェアー図9. 東洋機械金属ブースの物理発泡成形+CFRTPインサート成形に関する説明パネル
 
 U&Mプラスチックソリューションズ(以下U&M)は宇部興産機械と三菱重工プラスチックテクノロジーの射出成形機部門を事業統合した会社です。同社のブースでは、自動車のMuCellによるエンジンカバー(図10)、化学発泡によるドアトリムが展示されていました。
 プラスチックフェアー図10. U&Mブースに展示されていたMuCell+コアバックによるエンジンカバー
 
 押出発泡では三葉製作所が超臨界二酸化炭素を用いた発泡電線被覆装置を展示していました。同社はクラウスマッファイの押出成形機の国内代理店でもあるが、本発泡成形機は完全に自社開発した装置です。図11に展示パネル、図12に装置の写真を示します。
  
プラスチックフェアー
図11. 三葉製作所ブースの説明パネル
 
プラスチックフェアー図12. 三葉製作所の通信ケーブルの押出発泡被覆システム(超臨界二酸化炭素使用)
 
 昭和電工ガスプロダクツとプラステコは発泡成形用の超臨界流体注入装置の展示を行っていました(プラステコは操作部分のみ)。積水化成品はスーパーエンプラのビーズ発泡、熱可塑性エラストマーのビー...
 前回のその2に続いて解説します。
 

4.発泡成形の2

 東洋機械金属は成形機のノズル部分に多孔質金属を用いて、超臨界二酸化炭素を導入して発泡させるプロセスを実演していました。計量工程では二酸化炭素の供給を止め、射出のタイミングで供給するとのことで、溶融樹脂にガスを溶解させてから気泡生成させるのではなく、樹脂流動中にガスを導入して直接気泡を巻き込ませるのでしょう。図9は後述の炭素繊維複合シートの活用を含めた軽量化の提案と物理発泡成形を説明したパネルです。
 
プラスチックフェアー図9. 東洋機械金属ブースの物理発泡成形+CFRTPインサート成形に関する説明パネル
 
 U&Mプラスチックソリューションズ(以下U&M)は宇部興産機械と三菱重工プラスチックテクノロジーの射出成形機部門を事業統合した会社です。同社のブースでは、自動車のMuCellによるエンジンカバー(図10)、化学発泡によるドアトリムが展示されていました。
 プラスチックフェアー図10. U&Mブースに展示されていたMuCell+コアバックによるエンジンカバー
 
 押出発泡では三葉製作所が超臨界二酸化炭素を用いた発泡電線被覆装置を展示していました。同社はクラウスマッファイの押出成形機の国内代理店でもあるが、本発泡成形機は完全に自社開発した装置です。図11に展示パネル、図12に装置の写真を示します。
  
プラスチックフェアー
図11. 三葉製作所ブースの説明パネル
 
プラスチックフェアー図12. 三葉製作所の通信ケーブルの押出発泡被覆システム(超臨界二酸化炭素使用)
 
 昭和電工ガスプロダクツとプラステコは発泡成形用の超臨界流体注入装置の展示を行っていました(プラステコは操作部分のみ)。積水化成品はスーパーエンプラのビーズ発泡、熱可塑性エラストマーのビーズ発泡等の開発品を多数展示していた。図13は積水化成品のブース配布資料記載の開発製品の部分です。
 
プラスチックフェアー図13. 積水化成品の開発品(ブース配布資料より)
 
 次回は、後付け式射出ユニットと多材成形からはじめます。
 
【出典】
 PLASTICS JAPAN.com 展示会レポート IPF JAPAN 2017より、筆者のご承諾により、連載。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

秋元 英郎

「プラスチック博士」プラスチックに関する技術コンサルタントとして材料選定、成形加工技術の指導を中心に活動

「プラスチック博士」プラスチックに関する技術コンサルタントとして材料選定、成形加工技術の指導を中心に活動


「生産工学」の他のキーワード解説記事

もっと見る
計測条件の影響 計測の精度と不確かさとは(その2)

【計測の精度と不確かさとは 連載目次】 「精度」とは 計測条件の影響 計測信頼性の評価全般の課題 不確かさの定義 不確かさの具体的な計算...

【計測の精度と不確かさとは 連載目次】 「精度」とは 計測条件の影響 計測信頼性の評価全般の課題 不確かさの定義 不確かさの具体的な計算...


ロボット導入のメリット、デメリット

   作業の大半を手作業で行っている工場で、人手不足対応として、ロボットの導入を検討した場合、ロボットを導入すると、どのようなメリットがあるの...

   作業の大半を手作業で行っている工場で、人手不足対応として、ロボットの導入を検討した場合、ロボットを導入すると、どのようなメリットがあるの...


論より知恵、知恵は図面へ メカトロ設計(その2)

【連載目次】 1. メカトロ設計(その1) 一寸先で擦り合わせ 2. メカトロ設計(その2) 論より知恵、知恵は図面へ ...

【連載目次】 1. メカトロ設計(その1) 一寸先で擦り合わせ 2. メカトロ設計(その2) 論より知恵、知恵は図面へ ...


「生産工学」の活用事例

もっと見る
ガス化炉のメカニズムについて

   今回、解説するガス化炉は、固定床式のダウンドラフトタイプのものになります。固定床式には、アップドラフトタイプというものもあり、この場合、原料の連続...

   今回、解説するガス化炉は、固定床式のダウンドラフトタイプのものになります。固定床式には、アップドラフトタイプというものもあり、この場合、原料の連続...


動作解析事例「混流生産組み立てラインでの作業改善」

   今回は価値のない作業の排除「ムダとり」の事例を、結果だけではなく取り組み方も含めて紹介します。現場は、自動車メーカー(国内:混流生産組み...

   今回は価値のない作業の排除「ムダとり」の事例を、結果だけではなく取り組み方も含めて紹介します。現場は、自動車メーカー(国内:混流生産組み...


国際プラスチックフェアー(IPF JAPAN 2017)展示会レポート(その7)

 前回のその6に続いて解説します。   7.ヒート&クール成形  松井製作所のブースでは、ピアノブラックとヘアラインを含む成形品を蒸気加熱方式の...

 前回のその6に続いて解説します。   7.ヒート&クール成形  松井製作所のブースでは、ピアノブラックとヘアラインを含む成形品を蒸気加熱方式の...