作業環境:5S、ムダ(その9)見えるムダと見えないムダ

5S

 

 工場の経営者から現場の従業員の方を対象として「作業環境:5S、ムダ」をテーマに連載で解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留(とど)まらず、経営革新まで範囲を広げて、改善とは何か、革新とは何かを、目からウロコ的に連載しておりますが、今回はその第9回目となります。

 

◆ 8つのムダ排除し生産性を向上

1. 見えないムダは気づきにくい

 ムダとは、付加価値を生まないすべてのものを指します。よくいわれる7つのムダがありますが、さらに一つ追加したい重要なムダがありますので、今回はそれも合わせて紹介したいと思います。

  • つくり過ぎのムダ
  • 在庫と仕掛のムダ
  • 手待ちのムダ
  • 運搬のムダ
  • 動作のムダ
  • 不良・手直しのムダ
  • 加工そのもののムダ
  • 経営資源のムダ

 最も大きなムダが、皆さんご存知の① つくり過ぎのムダ、そして② 在庫と仕掛のムダです。これらは経営のリソースの先喰(ぐ)いや浪費となってしまうものです。在庫や仕掛は実際には、ものとして見えますので一見、資産のようにみえますが、実はこれらを購入するために銀行から資金を借りて購入していますので、結局は「経費=コスト」になるのです。誰も“もの=お金”とは気づかないものです。このため、毎日目にしていると気にならなくなってしまい、在庫や仕掛があれば設備故障しても仕掛で対応でき、段取り替え時間が長くなっても問題がみえなくなってしまう始末の悪いものなのです。このためにリードタイムの短縮は重要な取り組みになります。

 次に③ 手待ちのムダ運搬のムダ動作のムダがあります。これら3つは人に関するもので、動きから働き(にんべんがついています)に変えていくものです。これらのムダが一番発見しやすく、誰でも簡単にリストアップできます。

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この記事の著者

松田 龍太郎

見えないコトを見えるようにする現場改善コンサルタント。ユーモアと笑顔をセットにして、元氣一杯に現地現物での指導を心がける。難しいことはわかりやすく、例え話や事例を用いながら解説し、納得してもらえるように楽しく動機付けを行います。

見えないコトを見えるようにする現場改善コンサルタント。ユーモアと笑顔をセットにして、元氣一杯に現地現物での指導を心がける。難しいことはわかりやすく、例え話...

5S

 

 工場の経営者から現場の従業員の方を対象として「作業環境:5S、ムダ」をテーマに連載で解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留(とど)まらず、経営革新まで範囲を広げて、改善とは何か、革新とは何かを、目からウロコ的に連載しておりますが、今回はその第9回目となります。

 

◆ 8つのムダ排除し生産性を向上

1. 見えないムダは気づきにくい

 ムダとは、付加価値を生まないすべてのものを指します。よくいわれる7つのムダがありますが、さらに一つ追加したい重要なムダがありますので、今回はそれも合わせて紹介したいと思います。

  • つくり過ぎのムダ
  • 在庫と仕掛のムダ
  • 手待ちのムダ
  • 運搬のムダ
  • 動作のムダ
  • 不良・手直しのムダ
  • 加工そのもののムダ
  • 経営資源のムダ

 最も大きなムダが、皆さんご存知の① つくり過ぎのムダ、そして② 在庫と仕掛のムダです。これらは経営のリソースの先喰(ぐ)いや浪費となってしまうものです。在庫や仕掛は実際には、ものとして見えますので一見、資産のようにみえますが、実はこれらを購入するために銀行から資金を借りて購入していますので、結局は「経費=コスト」になるのです。誰も“もの=お金”とは気づかないものです。このため、毎日目にしていると気にならなくなってしまい、在庫や仕掛があれば設備故障しても仕掛で対応でき、段取り替え時間が長くなっても問題がみえなくなってしまう始末の悪いものなのです。このためにリードタイムの短縮は重要な取り組みになります。

 次に③ 手待ちのムダ運搬のムダ動作のムダがあります。これら3つは人に関するもので、動きから働き(にんべんがついています)に変えていくものです。これらのムダが一番発見しやすく、誰でも簡単にリストアップできます。

 それでは、観察する時のヒントを紹介します。安全、エリゴノミー(作業姿勢)、品質、5S、組織的なこと(標準がない、ルールがない、順番が分からないなど)、技術的なこと(加工が難しい、組み立てしづらいなど)を意識するようにノートに書いてから観察すると、一気に発見しあぶり出すことができます。

 そして⑥ 不良・手直しのムダがあります。不良を作るとそれまでの時間や労力がすべてムダになります。手直しも同様に多くの工数や材料が失われます。⑦ 加工そのもののムダは、設計上や生産技術上の不備に起因するもので、具体的には加工で残ったバリ取り作業、ガイドがないために手で保持しているもの、プレスでできるのにフライス盤で加工しているもの、さらには簡単な方法があるが、手間の掛かる方法を行っているなどがあります。そして8番目のムダに気づくことが重要です。それは社員の持っている才能や潜在能力を生かさないことが、最も大きな経営資源のムダになります。

 

2. ムダの実例と気づきのヒント

 ① 情報に関しては、受注、伝票、メモ、コピー、メール、看板、指図書、標準類、ワンポイントレッスン、手順書、生産計画、管理板、ルール、掲示板、シフト交替のやり取りなどがあります。

  • 伝えたい情報は読みやすいか?
  • 伝えたいことが伝わりやすいか?伝わっているか?
  • 確認しているか?再確認しているか?

 多くの企業の問題がこの情報伝達方法にあり、ほとんどが伝えるだけになっていて、伝わったかどうかが曖昧(あいまい)になっています。

 コミュニケーションとは、

  1. 相手がどう解釈したかが大事
  2. 解釈したことを相手に確認すること
  3. 伝えたいことがお互いに伝わったか

 が重要です。これは手間が掛かるものであり、これを行わないと正しい仕事ができなくなりムダになってしまいますので、相手の立場になって考えることが大切です。ちなみに工場の問題の約9割が、人間関係とコミュニケーションにあります。まずは声を掛けや挨拶することから始めましょう。

 ② スペースに関しては、仕掛置き場、受入出荷場所およびルート、ものの置き方、棚の有効利用、MINMAX管理、表示標識、不要品、過剰な搬入、欠品、台車、フォークリフト、ハンドリフター、作業台、パレット、空パレット、梱包材、設備、工具、治工具、借りている倉庫や駐車場などがあります。

  • 1平米の1年間の費用はいくらか?誰が誰に払っているのか?それらは見えますか?
  • レンタル料はいくらか?本当にいるものばかりですか?
  • よく使う、時々使う、たまに使う、滅多(めった)に使わないとか何時(いつ)使ったか分からない、使わないとか要らないなど、しっかり区分されていますか?

 スペースも費用です。管理するにも見えない費用が掛かっており、ムダが隠れています。

 ③ 経営資源は人、もの、金、情報、時間などがありますが、これらの内で唯一成長し発展することができる資源が「人」です。「人」を生かすことで、改善活動による無限の知恵が生まれます。それを生産活動のみならず「人」を取り巻く人間関係に生かすことが、企業が生き残っていく原動力になります。顧客からはなくてはならない企業となり、支援してもらうことができると、受注することができます。また時間が最も高価な資源であり、時間のムダをなくし、素早く行動していく必要があります。そのためにも何をすべきかを社員全員が知っていることが企業間の大きな差になるので、考え方を共有化しておくことです。毎日の朝礼などを活用して、社員のベクトルを合わせていきます。

 ④ エネルギー・環境関係では、電気、照明、圧搾(あっさく)空気、暖房、水、排水、廃棄物、洗剤、溶剤、清掃用具、制服、帽子、安全めがね、安全靴、ゴミ、動力室、廃棄置き場などがあります。今や環境も考慮した企業にならないと客先の評価対象になりません。しかも、それは社員の作業環境に大きく影響します。これらはムダや不具合があっても発見しにくい項目です。作業環境が良くなれば、おのずと生産性は向上します。ただ、コストとのバランスは必要であり、できるだけ少ない費用で最大の効果を狙いたいものです。

 ⑤ あらゆることはマネジメント次第で、ムダの廃除に大きく影響します。目的、目標が共有化されていて、全員がその方向に向かって活動しているかが、マネジメントで大きく左右されます。

  • 約束ごとがすべて守られるか
  • 納期どおりの仕事になっているか
  • 不良は0%か
  • 直行率は100%か
  • 始業に間に合っているか?
  • タクトタイムは守っているか?
  • 標準どおり守っているか?
  • ムリしていないか?
  • ムダ・ムラはないか?

 など自問自答しながらご自分の感性磨きをしてください。これは努力なしでは身につきませんし、お金でも買えません。自分でやり続けることで手に入れることができるものです。安全、安心、健康、仲間、雰囲気、やる気なども大切なマネジメントの項目です。

3. ささいなことでも関心を持ち観察する

 精神論になるかと思いますが、これは訓練が必要です。でもきっかけは小さなことに感動することから始まります。人は一人では生きていくことができません。すべてのことが奇跡のように関わり合って“生かされている”と思い、どんな小さなことにも感謝する気持ちを持つことです。朝目が覚めた、トイレに行けたなど感謝することから気づきが始まります。些細(ささい)なことでも関心を持ち、物事を観察するというように、常に意識することが大事です。

 次回は、現場改善:「作業環境:5S、ムダ(その10)ヒューマンエラーの防止は規律づくりから」について解説を続けます。

 

 【出典】株式会社 SMC HPより、筆者のご承諾により編集して掲載