やろうと思っているけどできないことばかり、の克服(その5)

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 前回は、やる気を起こすにはとにかく行動することが大切で、行動を起こすための工夫をいくつか紹介しました。やろうと思ってできなかったことも、これで取りかかることができるようになったと思います。

【やろうと思っているけど できないことばかりの克服 連載目次】

 
 次にやることは、これを習慣化することです。1回やっただけで終わりにしないための工夫です。
 
 まず考えることは、自分が楽しく、いい気分でやれるような心の状態と環境を作ることです。やる時間を楽しい時間にすることができれば、継続するのがずいぶんと楽になります。
 
 やると決めたことをやるときには、好きな音楽をかけたり、見えるところに好きな絵や写真を置いたり、お気に入りの場所を作ってそこでやることにしたり、自分が気分が良くなることであれば何でもいいのです。
 
 大切なのは、「自分」が気持ちよくできる方法です。常識や他人の声は参考にはなりません。たとえば、何かの勉強をするときでも、静かな落ち着いた自分の部屋がいい人もいれば、人がいて話し声が聞こえるスタバがいい人もいれば、いつでも本が読める図書館がいい人もいます。人それぞれなのです。自分が気持ちよくできる状態を見つけてください。
 
 ぼくの場合は、前々回で例として出した「ホームページの作り直し」は、自宅のリビングでやるのが気分がいいのです。落ち着けるし、好きなときに横になったり、お菓子を食べたりできるけど、他の仕事は資料などがないのでできないというのが良いようです。
 
 でも、提案書を作るのは事務所が気分がいい。資料がそろっていて広い机があり、好きな文房具がそろっているのがいいみたいです。こんな風に、やることによっても気分が良くなる条件や環境が違います。やろうと思えばどんな環境でもやれるはずという人もいますが(とくに男性に多い気がします)、そんなに簡単な話じゃないのです。気分(気持ち)は大切にしなくてはいけません。
 
 次に考えることは、行動しないことと「苦」を関係づけることです。習慣化しようと考えている行動について、次のような手順でその関係づけを行います。
 

1. 過去の苦痛を関係づける

 
 過去にその行動をしなかったことで大失敗したことや、とんでもなく困ったことを思い出します。やらなかったことで、気分的につらく苦しかったことをありありと思い出します。
 

2. 近い未来の苦痛を関係づける

 
 その行動をしないままだったら、将来どんな大変なことになるのかを想像します。想像を膨らませて、具体的にどんなことになっているのかを、まるで今起きているかのようにイメージします。
 
 聞いた話ですが、孫の結婚式に出るのを楽しみにしている禁煙できない人がいて、このままタバコを吸い続けると、肺ガンになって結婚式に出ることができないイメージと関連づけました。そうすると、タバコを吸うたびに孫の顔が思い浮かんできて、とてもタバコを吸う気にならなくなったということです。イメージの力は侮れません。
 
  人的資源マネジメント
 

3. 行動そのものに苦痛を関連づける

 
 前述の2つのイメージ作りで、苦痛が現実のものになっているはずです。これを、行動しないという動作と関連づけます。先ほどの「ホームページの見直し」でいえば、見直しをやらないでいるとリビングで仕事はしちゃいけないことにするとかです。
 
 重要なのは、行動しないと罰があるというような結果に対する罰ではなく、行動そのものに対する罰を作るということです。ちなみに、行動しないとその結果として罰があるというのも動機づけの方法としては有名なのですが、この方法では結果を求めるためにズルをしてしまう可能性が出てしまうので効果的ではありません。
 
 そして、最後に考えることは、行動することと「快」を関係づけることです。手順としては先ほどの「苦」の場合と同じで次のようになります。
 
(1) 過去の快を関係づける
(2) 近い未来の快を関係づける
(3) 行動そのものに快を関係づける
 
 苦痛も快も1と2は「やろうと思っているけどできないことばかり、の克服(4)」のときと同じですが、3の行動そのものに苦痛や快を関連づけるところが違います。行動そのものに快を関連づける場合の例を紹介しておきましょう。
 
 やりたい行動が筋トレすることで、この人がすごいチョコレート好きだとします。筋トレという行動そのものを快に関連づけるには、筋トレをスタートするときにチョコを1個食べ、腹筋が終わったところで1個。背筋が終わったと...
 前回は、やる気を起こすにはとにかく行動することが大切で、行動を起こすための工夫をいくつか紹介しました。やろうと思ってできなかったことも、これで取りかかることができるようになったと思います。

【やろうと思っているけど できないことばかりの克服 連載目次】

 
 次にやることは、これを習慣化することです。1回やっただけで終わりにしないための工夫です。
 
 まず考えることは、自分が楽しく、いい気分でやれるような心の状態と環境を作ることです。やる時間を楽しい時間にすることができれば、継続するのがずいぶんと楽になります。
 
 やると決めたことをやるときには、好きな音楽をかけたり、見えるところに好きな絵や写真を置いたり、お気に入りの場所を作ってそこでやることにしたり、自分が気分が良くなることであれば何でもいいのです。
 
 大切なのは、「自分」が気持ちよくできる方法です。常識や他人の声は参考にはなりません。たとえば、何かの勉強をするときでも、静かな落ち着いた自分の部屋がいい人もいれば、人がいて話し声が聞こえるスタバがいい人もいれば、いつでも本が読める図書館がいい人もいます。人それぞれなのです。自分が気持ちよくできる状態を見つけてください。
 
 ぼくの場合は、前々回で例として出した「ホームページの作り直し」は、自宅のリビングでやるのが気分がいいのです。落ち着けるし、好きなときに横になったり、お菓子を食べたりできるけど、他の仕事は資料などがないのでできないというのが良いようです。
 
 でも、提案書を作るのは事務所が気分がいい。資料がそろっていて広い机があり、好きな文房具がそろっているのがいいみたいです。こんな風に、やることによっても気分が良くなる条件や環境が違います。やろうと思えばどんな環境でもやれるはずという人もいますが(とくに男性に多い気がします)、そんなに簡単な話じゃないのです。気分(気持ち)は大切にしなくてはいけません。
 
 次に考えることは、行動しないことと「苦」を関係づけることです。習慣化しようと考えている行動について、次のような手順でその関係づけを行います。
 

1. 過去の苦痛を関係づける

 
 過去にその行動をしなかったことで大失敗したことや、とんでもなく困ったことを思い出します。やらなかったことで、気分的につらく苦しかったことをありありと思い出します。
 

2. 近い未来の苦痛を関係づける

 
 その行動をしないままだったら、将来どんな大変なことになるのかを想像します。想像を膨らませて、具体的にどんなことになっているのかを、まるで今起きているかのようにイメージします。
 
 聞いた話ですが、孫の結婚式に出るのを楽しみにしている禁煙できない人がいて、このままタバコを吸い続けると、肺ガンになって結婚式に出ることができないイメージと関連づけました。そうすると、タバコを吸うたびに孫の顔が思い浮かんできて、とてもタバコを吸う気にならなくなったということです。イメージの力は侮れません。
 
  人的資源マネジメント
 

3. 行動そのものに苦痛を関連づける

 
 前述の2つのイメージ作りで、苦痛が現実のものになっているはずです。これを、行動しないという動作と関連づけます。先ほどの「ホームページの見直し」でいえば、見直しをやらないでいるとリビングで仕事はしちゃいけないことにするとかです。
 
 重要なのは、行動しないと罰があるというような結果に対する罰ではなく、行動そのものに対する罰を作るということです。ちなみに、行動しないとその結果として罰があるというのも動機づけの方法としては有名なのですが、この方法では結果を求めるためにズルをしてしまう可能性が出てしまうので効果的ではありません。
 
 そして、最後に考えることは、行動することと「快」を関係づけることです。手順としては先ほどの「苦」の場合と同じで次のようになります。
 
(1) 過去の快を関係づける
(2) 近い未来の快を関係づける
(3) 行動そのものに快を関係づける
 
 苦痛も快も1と2は「やろうと思っているけどできないことばかり、の克服(4)」のときと同じですが、3の行動そのものに苦痛や快を関連づけるところが違います。行動そのものに快を関連づける場合の例を紹介しておきましょう。
 
 やりたい行動が筋トレすることで、この人がすごいチョコレート好きだとします。筋トレという行動そのものを快に関連づけるには、筋トレをスタートするときにチョコを1個食べ、腹筋が終わったところで1個。背筋が終わったところでまた1個。腕立てが終わったところでさらに1個、というように筋トレをやっている最中にちょっとずつチョコを食べるようにします。
 
 これで、筋トレそのものがチョコレートのように好きなものになります。繰り返してやっているうちに、チョコレートがなくても筋トレ自体が好きになっていることがわかるでしょう。そうすれば筋トレは習慣になるはずです。
 
 以上、今回は習慣化の方法について3つの方法を紹介しました。個人的には、行動しないことを苦痛と関連づけたり、行動することを快と関連づけるのは、そこまでしなくてもという気もしないではないのですが、心の状態と環境作りだけでは習慣化ができそうになければ、やるしかありません。だって、やりたいことが好きでやっている状態にならなければ習慣化は難しいですから。
 
 いよいよ次回で最後です。
 

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この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

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