品質工学による技術開発(その21)技術開発プロセスを設計する

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品質工学による技術開発(その21)技術開発プロセスを設計する

【目次】

    1. Technology7(T7)

    本解説シリーズの“その2”では技術開発活動の全体像を示しました今回からはCS-T法などの個別の最新技法の解説の入り口として技術開発のプロセス全体を設計するプラットフォームとして考案されたTechnology7(T7)について解説します.

    ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

    ◆ 関連解説記事:品質工学による技術開発 【連載記事紹介】

     

    2. Technology7(T7)の概要

    図1に技術開発プロセスを設計するプラットフォームT7を示します.

     

    T7は7つの要素と各要素に対応する技法群から構成されています.目標設定とその達成度の評価は必ず実施される要素であり,機能性評価やロバストパラメータ設計が有効です.性能とロバスト性の目標達成を目指す活動は,数値データを扱う帰納・演繹の活動と,言語データを扱うアブダクションの大きく2つの活動からなります.

     

    数値データを扱う活動で活用される技法には実験計画法,ロバストパラメータ設計などの製品設計情報を提供する技法とCS-T法などのメカニズム分析の技法があります.言語データを扱う活動には基本機能,R-FTAなどの概念化の技法とTRIZ,Pughなどの技術手段を考案する技法があります.

     

    さらに,現在重要性が高まっているのが市場創造の活動です.自分達の技術を歓迎してくれる市場とその市場のVOCを技術者自らが想像し創造することが求められています.これらの活動をQFDの品質表として整理し,製品設計段階で継続活用します.

     

    品質工学による技術開発(その21)技術開発プロセスを設計する

    図1.技術開発プロセスを設計するプラットフォームT7 

     

    3. Technology7(T7)の活用方法

    T7は品質工学会と日本品質管理学会の共同研究体である商品開発プロセス研究会のWG2の活動で構築された仕組みです.

     

    WG2では“創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの構築”というテーマで研究活動を開始し,DFSS(Design for Six Sigma)をベンチマークした上で,新たな技術開発プロセスの構築を目指しました.当初はDFSSのIDDOVのように固定化したプロセスの構築を目指しましたが,過去の技術開発の成功例を振り返ると,テーマ毎に技術開発のプロセスが異なることが明らかになりました.そこで技術開発の要素を抽出し,その実施順番をテーマの目的や課題に応じて設計するようにしたのです.T7による技術開発プロセスの設計手順を以下に示します.

    • Step1 テーマの目標達成のために必要な要素を決定する
    • Step2 各要素の実施順番を決定する(ここでPDSAサイクルを活用する“その17”
    • Step3 各要素を実施する詳細計画を立案する.ここで活用する技法を選択する.

    すでに技術開発活動が進行しているテーマでは,これまでの活動の振り返りと課題抽出にT7を活用することができます.

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    品質工学による技術開発(その21)技術開発プロセスを設計する

    【目次】

      1. Technology7(T7)

      本解説シリーズの“その2”では技術開発活動の全体像を示しました今回からはCS-T法などの個別の最新技法の解説の入り口として技術開発のプロセス全体を設計するプラットフォームとして考案されたTechnology7(T7)について解説します.

      ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

      ◆ 関連解説記事:品質工学による技術開発 【連載記事紹介】

       

      2. Technology7(T7)の概要

      図1に技術開発プロセスを設計するプラットフォームT7を示します.

       

      T7は7つの要素と各要素に対応する技法群から構成されています.目標設定とその達成度の評価は必ず実施される要素であり,機能性評価やロバストパラメータ設計が有効です.性能とロバスト性の目標達成を目指す活動は,数値データを扱う帰納・演繹の活動と,言語データを扱うアブダクションの大きく2つの活動からなります.

       

      数値データを扱う活動で活用される技法には実験計画法,ロバストパラメータ設計などの製品設計情報を提供する技法とCS-T法などのメカニズム分析の技法があります.言語データを扱う活動には基本機能,R-FTAなどの概念化の技法とTRIZ,Pughなどの技術手段を考案する技法があります.

       

      さらに,現在重要性が高まっているのが市場創造の活動です.自分達の技術を歓迎してくれる市場とその市場のVOCを技術者自らが想像し創造することが求められています.これらの活動をQFDの品質表として整理し,製品設計段階で継続活用します.

       

      品質工学による技術開発(その21)技術開発プロセスを設計する

      図1.技術開発プロセスを設計するプラットフォームT7 

       

      3. Technology7(T7)の活用方法

      T7は品質工学会と日本品質管理学会の共同研究体である商品開発プロセス研究会のWG2の活動で構築された仕組みです.

       

      WG2では“創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの構築”というテーマで研究活動を開始し,DFSS(Design for Six Sigma)をベンチマークした上で,新たな技術開発プロセスの構築を目指しました.当初はDFSSのIDDOVのように固定化したプロセスの構築を目指しましたが,過去の技術開発の成功例を振り返ると,テーマ毎に技術開発のプロセスが異なることが明らかになりました.そこで技術開発の要素を抽出し,その実施順番をテーマの目的や課題に応じて設計するようにしたのです.T7による技術開発プロセスの設計手順を以下に示します.

      • Step1 テーマの目標達成のために必要な要素を決定する
      • Step2 各要素の実施順番を決定する(ここでPDSAサイクルを活用する“その17”
      • Step3 各要素を実施する詳細計画を立案する.ここで活用する技法を選択する.

      すでに技術開発活動が進行しているテーマでは,これまでの活動の振り返りと課題抽出にT7を活用することができます.

       

      【参考文献】
      [1] 細川哲夫(2022): “技術開発プロセスを設計するプラットフォームT7の提案と検証”,「品質工学」, 30, [2], 31-38.
      [2] 細川哲夫:QE Compass,  https://qecompass.com/, (2023.12.06)
      QE Compassコンサルタント 新しい品質工学を提案する細川哲夫のページ ブログ

        

      ◆関連解説『品質工学(タグチメソッド)とは』

       

       

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      この記事の著者

      細川 哲夫

      お客様の期待を超える感動品質を備えた製品を継続して提供するために、創造性と効率性を両立した新しい品質工学を一緒に活用しましょう。

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