科学的手法(TRIZ,QFD,タグチメソッド)の社内展開:オリンパスの事例

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 2011年のTRIZシンポジウムでオリンパス株式会社の緒方隆司さんが発表し、参加者投票 「私にとって最もよかった発表」で表彰された、「TRIZを含む科学的手法の社内推進~ 開発現場での時間対アウトプットへの挑戦 ~」を要約掲載したものです。 設計開発生産性向上のために、研修時間短縮など多くの工夫が参考になります。

1.現場からの要求

 オリンパスでは2009 年から、開発プロセス改善の科学的手法としてQFD,TRIZ,タグチメソッドを社内に導入し、様々なテーマにTRIZを適用することでブレーンストーミング以上のアイデアが生れることは実証されていましたが、忙しい開発者からは、より短時間で付加価値の高いアイデアの創出が求められてきました。
 

2.教育時間の短縮

 従来の研修では、QFD,TRIZ,タグチメソッド合わせて3日間の座学と10日間のグループ実習の組み合わせでしたが、初めにテーマを設定し、これに使う手法に限定した90分単位で複数回の講座と、同じく90分単位のテーマ支援を組み合わせ、最短3日間から導入できるように修正しました。
 

3.目的に応じた最適プロセス選択

 テーマの内容に応じて、QFD、TRIZ、タグチメソッドの研修、実践レベルを増減し、場合によっては単独の手法で適用するなどで、時間の無駄を防ぐことができました。
 

4.時間短縮のためのアプローチ

 さらに時間を短縮するために、課題の範囲を明確に定義し、機能分析の時間を制限し、原因分析のルール化で回り道を防ぐなどの工夫を行いました。
 

5.手法の組み合わせによる効率化

 QFD(品質表)を本格的に作成すると多大な工数を消費するため、TRIZに繋ぐための課題に特化した品質特性に限定して作成工数を削減したり、タグチメソッド適用の前にTRIZを実施する事で設計パラメータを絞り込むなど、手法の組み合わせでも効率化を達成しました。
 

6.科学的手法の推進体制

 全社推進組織の機能は、指導者/実践者の教育、全社報告会、テーマ支援、手法/指導法の改善とし、個別のテーマは各部門の技術に精通した部門指導者が実践者とペアで進めることで、現実的に実践されています。
 

7.まとめ

 以上のように余裕時間の少ない技術者も無理なく科学的手法(QFD,TRIZ,...

 2011年のTRIZシンポジウムでオリンパス株式会社の緒方隆司さんが発表し、参加者投票 「私にとって最もよかった発表」で表彰された、「TRIZを含む科学的手法の社内推進~ 開発現場での時間対アウトプットへの挑戦 ~」を要約掲載したものです。 設計開発生産性向上のために、研修時間短縮など多くの工夫が参考になります。

1.現場からの要求

 オリンパスでは2009 年から、開発プロセス改善の科学的手法としてQFD,TRIZ,タグチメソッドを社内に導入し、様々なテーマにTRIZを適用することでブレーンストーミング以上のアイデアが生れることは実証されていましたが、忙しい開発者からは、より短時間で付加価値の高いアイデアの創出が求められてきました。
 

2.教育時間の短縮

 従来の研修では、QFD,TRIZ,タグチメソッド合わせて3日間の座学と10日間のグループ実習の組み合わせでしたが、初めにテーマを設定し、これに使う手法に限定した90分単位で複数回の講座と、同じく90分単位のテーマ支援を組み合わせ、最短3日間から導入できるように修正しました。
 

3.目的に応じた最適プロセス選択

 テーマの内容に応じて、QFD、TRIZ、タグチメソッドの研修、実践レベルを増減し、場合によっては単独の手法で適用するなどで、時間の無駄を防ぐことができました。
 

4.時間短縮のためのアプローチ

 さらに時間を短縮するために、課題の範囲を明確に定義し、機能分析の時間を制限し、原因分析のルール化で回り道を防ぐなどの工夫を行いました。
 

5.手法の組み合わせによる効率化

 QFD(品質表)を本格的に作成すると多大な工数を消費するため、TRIZに繋ぐための課題に特化した品質特性に限定して作成工数を削減したり、タグチメソッド適用の前にTRIZを実施する事で設計パラメータを絞り込むなど、手法の組み合わせでも効率化を達成しました。
 

6.科学的手法の推進体制

 全社推進組織の機能は、指導者/実践者の教育、全社報告会、テーマ支援、手法/指導法の改善とし、個別のテーマは各部門の技術に精通した部門指導者が実践者とペアで進めることで、現実的に実践されています。
 

7.まとめ

 以上のように余裕時間の少ない技術者も無理なく科学的手法(QFD,TRIZ,タグチメソッド)を習得し、実践テーマで成果を生み出すようになりました。 また、部門ごとに配置された推進指導者がきめ細かく指導すると同時に、推進会で全体共通の課題を改善することで、指導者もうまく成長しています。

 今後は現在の仕組みをバランス良く進化させていくことが重要と考えます。

◆関連解説『品質工学(タグチメソッド)とは』

 

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