置き場のストライクゾーン:ジャスト・イン・タイム生産(その22)

更新日

投稿日

トヨタ生産方式

 

 【実践編 目次】

第1章 改革の土台をつくる

(1)意識改革で改革の前提をつくる
   すべての改革は意識改革から始まる/3つの改革
(2)「整理」で要るモノ・要らないモノを明確にする
   「5S・3定」で基礎をつくる/「整理」とは捨てるモノを明確にすること
   不要なモノが引き起こすムダと問題/「赤札作戦」で不要なモノをオモテ化する
(3)「整頓」でモノの置き場・置き方を標準化する←今回の記事
   使いやすく、分かりやすく/整頓①田の字レイアウト
   整頓②ストライクゾーン/整頓③先入れ先出し
   整頓④置き場線で区画する/整頓⑤わかりやすく表示する「看板作戦」
   戻しやすさの追求
(4)「清掃」を日常的な点検・保全につなげる
   清掃点検・保全を一連の作業とする
(5)「清潔」は事後処理から予防へと踏み込む取り組み
  「予防3S」のしくみをつくる/予防整理:要らないモノを発生させない
   予防整頓:戻さなければ乱れない/予防清掃:ゴミを発生させないしくみ
(6)「躾け」で職場に緊張感をつくる  

 

第1章 改革の土台をつくる

 改革を行なう際には、しっかりとした土台づくりが大事です。そのために必要なのが「意識改革」と「5S・3定」。整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)を中心とする現場改革の基本です。

(3)「整頓」でモノの置き場・置き方を標準化する

 モノの置き場と置き方のルールを決め、分かりやすい表示で現場を整頓する。

◆ 整頓②ストライクゾーン(下図参照)

 

トヨタ生産方式

図.モノの置き場のストライクゾーン

 

 次に、モノの置き場を考えましょう。

 このとき考慮すべきことは、モノを取り扱う作業者にかかる負担であり、ムリなく出し入れできる「高さ」です。モノの置き場にも「ストライクゾーン」があります。

 人が立った状態でモノを出し入れしやすい高さは、脇の下から腰の位置までの範囲といわれ、これは、ほぼ野球のストライクゾーンの高さにあたるのです。置き場の高さは、AからDのランクに分けられます。

 ● ランクA: 脇の下から腰の位置まで

 モノがこの高さにあると、作業者は腰やひざを曲げたり、背伸びをしたりせずにモノの出し入れが可能です。

 ● ランクB: 上は目の高さから脇の下まで、下は腰からひざまで

 この範囲なら、少し腕を伸ばしたり、腰を曲げて、前かがみになったりすれば、モノを取り扱える高さです。

 ● ランクC: 上は手を伸ばして届く高さから...

トヨタ生産方式

 

 【実践編 目次】

第1章 改革の土台をつくる

(1)意識改革で改革の前提をつくる
   すべての改革は意識改革から始まる/3つの改革
(2)「整理」で要るモノ・要らないモノを明確にする
   「5S・3定」で基礎をつくる/「整理」とは捨てるモノを明確にすること
   不要なモノが引き起こすムダと問題/「赤札作戦」で不要なモノをオモテ化する
(3)「整頓」でモノの置き場・置き方を標準化する←今回の記事
   使いやすく、分かりやすく/整頓①田の字レイアウト
   整頓②ストライクゾーン/整頓③先入れ先出し
   整頓④置き場線で区画する/整頓⑤わかりやすく表示する「看板作戦」
   戻しやすさの追求
(4)「清掃」を日常的な点検・保全につなげる
   清掃点検・保全を一連の作業とする
(5)「清潔」は事後処理から予防へと踏み込む取り組み
  「予防3S」のしくみをつくる/予防整理:要らないモノを発生させない
   予防整頓:戻さなければ乱れない/予防清掃:ゴミを発生させないしくみ
(6)「躾け」で職場に緊張感をつくる  

 

第1章 改革の土台をつくる

 改革を行なう際には、しっかりとした土台づくりが大事です。そのために必要なのが「意識改革」と「5S・3定」。整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)を中心とする現場改革の基本です。

(3)「整頓」でモノの置き場・置き方を標準化する

 モノの置き場と置き方のルールを決め、分かりやすい表示で現場を整頓する。

◆ 整頓②ストライクゾーン(下図参照)

 

トヨタ生産方式

図.モノの置き場のストライクゾーン

 

 次に、モノの置き場を考えましょう。

 このとき考慮すべきことは、モノを取り扱う作業者にかかる負担であり、ムリなく出し入れできる「高さ」です。モノの置き場にも「ストライクゾーン」があります。

 人が立った状態でモノを出し入れしやすい高さは、脇の下から腰の位置までの範囲といわれ、これは、ほぼ野球のストライクゾーンの高さにあたるのです。置き場の高さは、AからDのランクに分けられます。

 ● ランクA: 脇の下から腰の位置まで

 モノがこの高さにあると、作業者は腰やひざを曲げたり、背伸びをしたりせずにモノの出し入れが可能です。

 ● ランクB: 上は目の高さから脇の下まで、下は腰からひざまで

 この範囲なら、少し腕を伸ばしたり、腰を曲げて、前かがみになったりすれば、モノを取り扱える高さです。

 ● ランクC: 上は手を伸ばして届く高さから目の高さまで、下はひざから床まで

 作業者は背伸びをしたり、かがんだりする姿勢で作業しなければならなくなり、負担が重くなります。

 ● ランクD: Cランク以上、以下の高さ

 AからDランクにいくにつれて負担が増すため、モノの置き場を決める際はA~Cの範囲で、モノの重さを考慮して決めます。 

 

 次回に続きます。

 【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

古谷 誠

「5S・3定」で改革・改善の基礎をつくり!JIT思想でムダを徹底して取り!心を生かしたモノづくりを目指す!

「5S・3定」で改革・改善の基礎をつくり!JIT思想でムダを徹底して取り!心を生かしたモノづくりを目指す!


「トヨタ生産方式」の他のキーワード解説記事

もっと見る
:工程全体を魚の形で見えるようにする JIT(その8)

【JIT(ジャストインタイム)連載目次】 1. リードタイムの短縮は、全体を見ることから 2. コストダウンはリードタイム短縮で 3. バッ...

【JIT(ジャストインタイム)連載目次】 1. リードタイムの短縮は、全体を見ることから 2. コストダウンはリードタイム短縮で 3. バッ...


基本的な考え方 ジャスト・イン・タイム生産 (その11)

【目次】 第2章 基本的な考え方を押さえておく (1) 「改革」である   「改善」と「改革」の違いとは  「自己啓発」ではなく「自己革新」を行な...

【目次】 第2章 基本的な考え方を押さえておく (1) 「改革」である   「改善」と「改革」の違いとは  「自己啓発」ではなく「自己革新」を行な...


トヨタ生産方式の自働化、自働化の考え方は停止する仕組みづくり

 オートメーション化された機械は、いったん不良品を作り始めると、人が停止ボタンを押すまで作り続けます。それを防ぐには異常が発生したら「即座に停止する」機能...

 オートメーション化された機械は、いったん不良品を作り始めると、人が停止ボタンを押すまで作り続けます。それを防ぐには異常が発生したら「即座に停止する」機能...


「トヨタ生産方式」の活用事例

もっと見る
トヨタ生産方式の導入はなぜ難しい

  1、トヨタ生産方式:高いハードル  トヨタ生産方式(TPS=Toyota Production Sysytem) は実によく話題にな...

  1、トヨタ生産方式:高いハードル  トヨタ生産方式(TPS=Toyota Production Sysytem) は実によく話題にな...


見込み生産と受注組立(MTSとBTO)の対比

 今回は代表的な生産方式である見込み生産(MTS:メイク・ツー・ストック)と受注組立(BTO:ビルド・ツー・オーダー)の両者を、乗り物に喩えて比較してみよ...

 今回は代表的な生産方式である見込み生産(MTS:メイク・ツー・ストック)と受注組立(BTO:ビルド・ツー・オーダー)の両者を、乗り物に喩えて比較してみよ...


トヨタ生産方式の応用 事例

1.ドイツ系電器メーカー  トヨタ生産方式が有名になり出した頃、筆者はシンガポールで技術協力の専門家として多くの会社の指導に当っていました。当時は多くの...

1.ドイツ系電器メーカー  トヨタ生産方式が有名になり出した頃、筆者はシンガポールで技術協力の専門家として多くの会社の指導に当っていました。当時は多くの...