製品設計:ミス防止対策(その2)

更新日

投稿日

【製品設計:ミス防止対策 連載目次】

 
 R&D設計品質を確保するのに重要な過去トラブルの有効利用について解説します。
 

1. 過去のトラブル、フィードバックの問題点

 
 どの会社でも過去トラブルのデータを収集して有効利用しようと考えています。しかしながら、次の3点の管理上の問題が見られます。
 
 ・「過去トラ」を登録・管理するための仕組みが不明確
 ・「過去トラ」の件数は増加し続ける
 ・「過去トラ」の登録内容がメンテナンスされていない
 
 また、それを利用する設計者側の問題としては、次の5点です。
 
 ・「過去トラ」の利用方法が開発現場任せになっている
 ・ 利用される「過去トラ」は身近なものに限られている
 ・「過去トラ」が利用されないこともある
 ・「過去トラ」の利用効果を確認していない
 ・「過去トラ」の利用効果がフィードバックされるのはその部署のみ
 
 但し、これらは設計者個人の問題と言うよりも開発設計部門の仕組みとして、それぞれの企業の事情に応じた過去トラ利用システムを次の点を考慮して構築する必要があります。
 
 ・「過去トラ」の情報共有の場を構築する
 ・蓄積した「過去トラ」を適切に分類し、体系化する
 ・効果を客観的に判断するため、活用状況や品質を定量化し計測する
 ・増え続ける「過去トラ」の改廃や再発したときの既存情報へのフィード
 
 皆様の開発部門ではどのように過去トラを活用しているでしょうか、各設計者の頭の中にあるので、それを聞き出して設計しているという会社も多いのではないでしょうか。
 

2. 過去トラの宝庫、大部屋設計フロアー

 
 昔は、設計室というか、仕切りもない設計フロアーには何百人という設計者が、製品設計を行っていました。ベテランから新人まで、機構設計、電子回路設計、ファームウエア設計などあらゆる設計を行っており、何か分からない事があると、「あの人なら以前このような製品でこのような機能を実現しているので、効くと言いよ」と教えられ、聞きに行った...

【製品設計:ミス防止対策 連載目次】

 
 R&D設計品質を確保するのに重要な過去トラブルの有効利用について解説します。
 

1. 過去のトラブル、フィードバックの問題点

 
 どの会社でも過去トラブルのデータを収集して有効利用しようと考えています。しかしながら、次の3点の管理上の問題が見られます。
 
 ・「過去トラ」を登録・管理するための仕組みが不明確
 ・「過去トラ」の件数は増加し続ける
 ・「過去トラ」の登録内容がメンテナンスされていない
 
 また、それを利用する設計者側の問題としては、次の5点です。
 
 ・「過去トラ」の利用方法が開発現場任せになっている
 ・ 利用される「過去トラ」は身近なものに限られている
 ・「過去トラ」が利用されないこともある
 ・「過去トラ」の利用効果を確認していない
 ・「過去トラ」の利用効果がフィードバックされるのはその部署のみ
 
 但し、これらは設計者個人の問題と言うよりも開発設計部門の仕組みとして、それぞれの企業の事情に応じた過去トラ利用システムを次の点を考慮して構築する必要があります。
 
 ・「過去トラ」の情報共有の場を構築する
 ・蓄積した「過去トラ」を適切に分類し、体系化する
 ・効果を客観的に判断するため、活用状況や品質を定量化し計測する
 ・増え続ける「過去トラ」の改廃や再発したときの既存情報へのフィード
 
 皆様の開発部門ではどのように過去トラを活用しているでしょうか、各設計者の頭の中にあるので、それを聞き出して設計しているという会社も多いのではないでしょうか。
 

2. 過去トラの宝庫、大部屋設計フロアー

 
 昔は、設計室というか、仕切りもない設計フロアーには何百人という設計者が、製品設計を行っていました。ベテランから新人まで、機構設計、電子回路設計、ファームウエア設計などあらゆる設計を行っており、何か分からない事があると、「あの人なら以前このような製品でこのような機能を実現しているので、効くと言いよ」と教えられ、聞きに行ったものです。そして、聞かれた人も自分の記憶にある過去トラなどから聞かれた以上のことをいろいろ教えてくれたものです。過去トラのデータベースがなくとも、互いに教え合う風土があったのです。今は、上記1のように過去トラ利用システムを構築することが設計品質を確保するために重要です。
 
 次回は、設計の「標準化」と「共通化」について解説します。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

濱田 金男

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に...


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
位置関係-2 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その105)

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。前回からは、KETICモデルの中の空間的な「位置(関係...

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。前回からは、KETICモデルの中の空間的な「位置(関係...


新規事業部を作れば済むと思っていないか~技術企業の高収益化:実践的な技術戦略の立て方(その18)

   【目次】 今回は、経営者的なリソース配分の解説です。面白い商品・事業を生み出すのに、優秀な経営者はどのように...

   【目次】 今回は、経営者的なリソース配分の解説です。面白い商品・事業を生み出すのに、優秀な経営者はどのように...


ターゲット設定とは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その87)

  ◆ 新規事業のターゲット設定、かたよりは禁物  新規事業を目的としたターゲットを設定する時、どのような方法を採用していますか。ここで...

  ◆ 新規事業のターゲット設定、かたよりは禁物  新規事業を目的としたターゲットを設定する時、どのような方法を採用していますか。ここで...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
高齢化社会の「アンメットニーズ」ー米国3M社の事例

 技術から事業価値への転換こそが、成長戦略成功の鍵と言われて久しい。しかし今年に入っても設備投資に踏み切る企業が多いとは言えないのは、稼げる事業テーマや新...

 技術から事業価値への転換こそが、成長戦略成功の鍵と言われて久しい。しかし今年に入っても設備投資に踏み切る企業が多いとは言えないのは、稼げる事業テーマや新...


‐産学交流からの開発テ-マと市場の観察‐  製品・技術開発力強化策の事例(その7)

 前回の事例その6に続いて解説します。産学交流による開発テ-マの探索や共同開発に関心が寄せられています。 大学には基礎研究の面で優れた開発テ-マの候補にな...

 前回の事例その6に続いて解説します。産学交流による開発テ-マの探索や共同開発に関心が寄せられています。 大学には基礎研究の面で優れた開発テ-マの候補にな...


設計改善研究会の成果 伸びる金型メーカーの秘訣 (その39)

        今回、紹介する機械装置メーカーは、株式会社 K製作所です。同社は、自動車メーカーや工作機械メ...

        今回、紹介する機械装置メーカーは、株式会社 K製作所です。同社は、自動車メーカーや工作機械メ...