顧客要求への柔軟な対応や、現場の業務改善。良かれと思って進めた前向きな取り組みが、実は開発業務を停滞させる原因になっているかもしれません。連載第6回となる今回は、PDM/PLM導入の成否を握る「管理台帳の乱立問題」に迫ります。 製品ラインナップの拡大や組織変更に伴い、ExcelやAccessで作成された独自の派生台帳が次々と増殖。結果としてデータの二重入力や不整合を生み、手作業による業務の滞留や深刻な手戻りを引き起こすメカニズムを、あるメーカーの具体例を交えて解説します。自社の開発現場が「見えないデータの迷宮」に陥っていないか、現状を振り返るヒントをお届けします。
この連載では、PDM/PLM(以下、PDM:製品データ管理)の導入・運用をシステムベンダー主導ではなく、自社の設計・製造をデータで「リンク」することにより設計、製造、保守といった開発の全体最適を実現する仕組みを設計し、PDM を使って実装するためのポイントを解説しています。
前回の第5回に続き今回は、顧客要求への柔軟な対応や効率化のための作業改善が、結果的に開発業務の滞留を引き起こしてしまうことについて解説します。顧客要求や作業改善に個別に対応することで、業務に必要な管理台帳やマスターデータの種類が増えていくことが原因です。この問題を事前に仕組みとして解決しておかなければ PDM/PLM の導入は成功しません。
1.台帳が増え続けるで業務効率が低下
前回までに見てきたように、製品開発現場には部品や部品表、図面などに関係する様々なデータが存在していますが、多くの開発現場でそれらはマイクロソフトの Excel や Access、または紙で管理され「台帳」や「マスター」という単語を含む名前になっているはずです。
ここで自分の組織で IT 化要員を持たない場合、「台帳」や「マスター」の変化によって開発業務がどのように変わるのか、あるメーカーでの例を紹介したいと思います。
このメーカーは、これまでに使った部品すべての型式や購入価格などを Excel で作成した部品台帳に、また設計図面やその作...