論より知恵、知恵は図面へ メカトロ設計(その2)

更新日

投稿日

生産工学

【連載目次】

 知恵は「知って恵まれる」と書きます。見たり、聞いたり、試したりと汗をかきながら「こうなんだ~」とか「こうすればいいんだ~」など、『諭(さと)る』ことで獲得できるわけです。

 ただし、これにはカラクリがあり、どう見るか、聞くか、試すかが極めて重要で、意識せずにいると気づくことにも気づけず「ふ~ん」で終わってしまい、知恵はインプットされないのです。つまり、このあたりが設計者としての資質が問われます。知恵を収穫しつつ、一つひとつ積み重ねていくことで習熟度が上がり、知識が自然と増え経験値も高まります。その穂先には、発想や工夫の実がなり、やがて花も咲きます。

 また、知恵は困難を乗り越える力へと変貌を遂げます。これを全部まとめて「実力」といいます。設計者というのは、モノづくりにおける困難な壁を越えるため、実力を駆使して最適な解決策を提案します。

 その実力の成果を効率よく、的確に周知できる唯一の方法が「図面」です。

 したがって、大変良いアイデアを持っていても図面に落とすことができなければ、残念な設計となってしまいます。また図面に落とすという事は、実現可能な図面を簡潔に描くことで、もしそれが自己満足となってしまえば設計者(作り手)としては失格です。

 もっといえば、アイデアだけを吹っ掛けて、自分で汗をかかないようなベテラン風の設計者になってしまったらお仕舞いです。設計者は、曖昧なものを形にする事が主たる仕事ですが、設計と表裏一体の図面とは謙虚に向き合い、よく描き、見て、聞いて、徹底的に熟知しなければならないのです。図面を描けぬ者、機械工学を語るべからずです。

【付録】メカトロ設計のなにそれ用語:ロータリーエンコーダ

 ロータリーエンコーダとは、主にモータの回転軸に取り付けて、その動きを...

生産工学

【連載目次】

 知恵は「知って恵まれる」と書きます。見たり、聞いたり、試したりと汗をかきながら「こうなんだ~」とか「こうすればいいんだ~」など、『諭(さと)る』ことで獲得できるわけです。

 ただし、これにはカラクリがあり、どう見るか、聞くか、試すかが極めて重要で、意識せずにいると気づくことにも気づけず「ふ~ん」で終わってしまい、知恵はインプットされないのです。つまり、このあたりが設計者としての資質が問われます。知恵を収穫しつつ、一つひとつ積み重ねていくことで習熟度が上がり、知識が自然と増え経験値も高まります。その穂先には、発想や工夫の実がなり、やがて花も咲きます。

 また、知恵は困難を乗り越える力へと変貌を遂げます。これを全部まとめて「実力」といいます。設計者というのは、モノづくりにおける困難な壁を越えるため、実力を駆使して最適な解決策を提案します。

 その実力の成果を効率よく、的確に周知できる唯一の方法が「図面」です。

 したがって、大変良いアイデアを持っていても図面に落とすことができなければ、残念な設計となってしまいます。また図面に落とすという事は、実現可能な図面を簡潔に描くことで、もしそれが自己満足となってしまえば設計者(作り手)としては失格です。

 もっといえば、アイデアだけを吹っ掛けて、自分で汗をかかないようなベテラン風の設計者になってしまったらお仕舞いです。設計者は、曖昧なものを形にする事が主たる仕事ですが、設計と表裏一体の図面とは謙虚に向き合い、よく描き、見て、聞いて、徹底的に熟知しなければならないのです。図面を描けぬ者、機械工学を語るべからずです。

【付録】メカトロ設計のなにそれ用語:ロータリーエンコーダ

 ロータリーエンコーダとは、主にモータの回転軸に取り付けて、その動きを検出するセンサのことです。私が初めてこのセンサに触れたのは学生時代です。柔らかい透明なゴムのレンズの焦点をパカパカと可変させながら自動調整するという、一風変わった装置の開発をテーマに掲げ挑んだ時、収差の補正に苦しんで、このセンサを自作することにしました。やがて発表の時期が訪れ、教官の顔写真をターゲットに焦点を合わせる製品化されているものを買った方が早いことを学習したのです。 

 次回、メカトロ設計(その3) はじめに「本質」、次に「基礎」へに続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

西田 麻実

ロボット、AI(人工知能)、自動化システムを支えるメカトロニクス (機械+電気+情報)技術の向上とものづくりへの興味関心を育む人財育成をサポートいたします。

ロボット、AI(人工知能)、自動化システムを支えるメカトロニクス (機械+電気+情報)技術の向上とものづくりへの興味関心を育む人財育成をサポートいたします。


「生産工学」の他のキーワード解説記事

もっと見る
高付加価値創出のための最適金型技術とは

  1. 各種金型の費用・生産数の関係  国内市場が縮小する中、海外市場へ成長の活路を求めて企業の海外進出が加速しています。とりわけ、 モノ...

  1. 各種金型の費用・生産数の関係  国内市場が縮小する中、海外市場へ成長の活路を求めて企業の海外進出が加速しています。とりわけ、 モノ...


静電気の誤った常識 静電気の見える化とは (その1)

 静電気が問題になっている現場は日本中に多数ありますが、自分の工場で必要な『静電気除去レベル』が分からずに、除電が不十分だったり、逆に要求以上に高価な除電...

 静電気が問題になっている現場は日本中に多数ありますが、自分の工場で必要な『静電気除去レベル』が分からずに、除電が不十分だったり、逆に要求以上に高価な除電...


工場内のレイアウト(設備配置)とその手順

  【目次】   1. 設備レイアウトの重要性    工場内には多くの設備が設置されていま...

  【目次】   1. 設備レイアウトの重要性    工場内には多くの設備が設置されていま...


「生産工学」の活用事例

もっと見る
IEとOTRS

進化を続けるIEと活用をサポートするOTRS 1.IEの定義 IE(industrial engineering:産業工学)は多くの産業現場で生産...

進化を続けるIEと活用をサポートするOTRS 1.IEの定義 IE(industrial engineering:産業工学)は多くの産業現場で生産...


国際プラスチックフェアー(IPF JAPAN 2017)展示会レポート(その7)

 前回のその6に続いて解説します。   7.ヒート&クール成形  松井製作所のブースでは、ピアノブラックとヘアラインを含む成形品を蒸気加熱方式の...

 前回のその6に続いて解説します。   7.ヒート&クール成形  松井製作所のブースでは、ピアノブラックとヘアラインを含む成形品を蒸気加熱方式の...


ムダを見つけるアプローチ:タイムスタディの鉄鋼運搬効率化事例

 今回は、ムダを見つけるアプローチのひとつである「タイムスタディ」について説明します。  タイムスタディ(Time and Motion Study...

 今回は、ムダを見つけるアプローチのひとつである「タイムスタディ」について説明します。  タイムスタディ(Time and Motion Study...