国際生産成功のための基本的要点(その9)

 前回その8の回答例です。

1.( 楽観 )的な人

2.(まじめ )で(いい加減 )な人

 今回もまた、なんだ!とお思いの方も、やっぱりそうかな!とお思いの方もおられるでしょう。

1.については、出来る限りの情報を集めて準備万端で出かけるべきは当然ですが、それでも海外では想定外のことが良く起ります。そんな時にも「何とかなるさ」と開き直ってしまうと女神が微笑みかけてくれるもので、このように「楽観」的な人が海外には向いています。

2.については、先ず誠心誠意「まじめ」に取組まないと相手の信頼は勝ち取れません。かといって、まじめ一方では肉体的にも精神的にも参ってしまいます。あるところで、これでいいや!と「いい加減」にして成り行きを見守っていると、そのうちに事態がいい方向に変ったり、事態を打開するいいアイデアが出てきたりします。まじめでいい加減な人が海外に強い人です。

(本論に入ります)

6.管理技術

 まだまだ書きたいことは山ほどあるが、この辺で私の専門分野である管理技術についても少しは触れておかねばならないだろう。QCサークルにはじまり、IE,TQC,JIT,そして最近のTPMなど、アメリカから導入し日本で改良され、あるいは日本で開発されたものなど、日本の管理技術には素晴らしいものがある。例えば日本で使っているIEは、作業研究や時間研究など手法そのものはアメリカで使っているのと同じであるが、アメリカではこれらを能率給設定のための標準時間設定という後ろ向きに使っている場合が多いのに対して、日本では改善の道具としてIErのみならず現場の人達にも広く使われている。この使い方の違いが、日米の生産性の差に大きく影響しているといっても過言ではなかろう。 しかし残念ながら、このような日本の管理技術の特徴、アメリカ等との違いについて理解していない人が極めて多く、また比較した文献も見当たらない。私はシンガポールに赴任して以来、日本の管理技術の特徴は?という問題に直面し、これを纏めたものを国際IEコンファレンスなどに発表しているので、いずれご紹介できればと思うが、ここで結論だけ述べておくと、文化・社会構造の違うところでは、そのままでは適用できないということである。 では、日本流は全くダメかというとそうではない。その国の文化・社会構造に合うようにアレンジすればその良さを十分に発揮できるのである。

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7.欧米企業との違い

 シンガポールにおける違いをみてみると、日系企業は多くの日本人スタッフを送り込んで日本の本社を向いて仕事をしている。一方欧米系企業は、まず優秀な現地管理者をリクルートすることから始める。そして本社から派遣された社長と現地管理者がコンビを組んで会社を作りあげ、数年後には社長以下全部現地に任せるという会社が多い。日本の会社でも、Sさんのジュロン・シップヤードのように、日本人スタッフを最小限にしてうまくやっている会社もあるので、やろうと思えば出来ないことではない。 カギは日本の本社が、現地会社を付属工場ではなく独立した会社にするという大方針をたて、何事にもへこたれないという意味での優秀な人材を送り込むこと、それから日本との取引関係、生産技術のコミュニケーションを分りやすいものに編成し直すことである。日本人にしか分らないニュアンスを持ったままの仕組みでは到底、国際生産の成功はおぼつかない。

 

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8.おわりに

 紙面が限られており、尻切れトンボのようになってしまったが、最近は国際協力事業団、日本生産性本部、JETRO、産能大などの本や定期刊行物に多くの人が経験談などを書いておられるので事前にそれらをよく研究されることが大事だと思う。それから日本生産性本部では「海外赴任者向けセミナー」をやっており(注)、これは非常に役立つと思う。

(注)2005年前後に数年間実施、ものづくりの部は2日間で鈴木が担当。資料は和英対訳である。

 

 締め括りに当って、シンガポール体験譚の引用をこころよく了解して下さった敬愛する(当時)日本生産性本部顧問の桜井清彦氏(文中「Sさん」と表現させていただいた)に心からの感謝の意を表したい。 (完)

 

 9回にわたりお読み頂いてありがとうございます。最後にまた、クエスチョンです。 海外で活躍できる人材をどのように育てていますか? (  )内に2~8字入れ下さい。

1.ものづくりの(     )を理解し、実施できるよう訓練する

2.海外では(     )が起こるということを前提に、これに対応できるように訓練する

3.(     )の基本を実行できるように訓練する

4.(     )を実践的に使えるように訓練する

--回答例は追補版にて紹介します--


この記事の著者

鈴木 甫

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