困難にしなやかに対応する能力「レジリエンス」。全6回の連載でその高め方を紐解く本シリーズ、第3回のテーマは「セルフコントロール(自己調整)」です。目標や価値観のために目の前の誘惑を断ち切るこの力は、人生の成果や年収にも直結する重要な要素。しかし、どれほど「意志が強い人」であっても、特定の領域では誘惑に負けてしまうという厄介な側面を持っています。今回は、誰もが持つその“弱さ”を自覚しつつ、セルフコントロール力を劇的に高める実践テクニック「心理的距離のコントロール(セルフ・ディスタンシング)」を解説します。感情に流されず、常に最適な選択ができる自分を目指してみませんか?
レジリエンスを高める技術を、分割して解説しています。
前回のその2に続いて解説します。今回が、第3回で、セルフコントロール(Self-regulation)についてです。
1.やらない力
レジリエンスを高める6つの力の2つ目は「セルフコントロール(Self-regulation)」です。「セルフコントロール」と同義の言葉として、自律心、自己調整、自己鍛錬などがあります。また、「意志力 (Willpower)」といわれているものとも同じと考えていいでしょう。
これら同じ意味の言葉からセルフコントロールの内容は想像がつくと思いますが、その意味することを端的にあらわすとしたら、「やらない力」ということです。自分がやりたいと思っている目の前の具体的欲求(これを「一次的欲求」といいます)よりも、自分の大局的な目標や価値観(これを「二次的欲求」といいます)にしたがって行動することです。ありたい自分やなりたい自分のために、目の前の誘惑に打ち勝つ力ということです。
いくつかの研究によれば、中期的な成績に関係するのは知能よりもセルフコントロールであることや、年収との正相関があるということもわかっています。セルフコントロールは、レジリエンスという観点からだけでなく、何かを達成するための重要な力であるともいえます。
2.セルフコントロールの厄介な面
このように、人にとって重要なセルフコントロールですが、インターネット上にいくつかの診断テストがありますから、自分のセルフコントロール力を知りたい方はやってみるとよいでしょう。参考のため、心理学者ハンス・アイゼンクの簡易版診断テスト(図1)を紹介しておきます。「はい」の回答が多いほどセルフコントロール力が低いという評価になります。
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