最終回 新QC七つ道具: 系統図法の使い方(その9)

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  系統図
 
 

第7章  系統図法の使い方

 

7.4 系統図法の「抽出項目欠落防止機能」について

 

7.4.2 事例に見る系統図法の「要実施事項抽出における欠落防止機能」

 
 前回のその8に続いて解説します。
 

(5) 保証方法明示のためマトリックス図と結合

 
 本事例のベースとなった系統図は、最終的に、末端要因と9つの保証方法とのマトリックス図に結合させ、その交点に〇(●は全数保証)印を付けて、生産準備における品質保証の考え方を明示したところ、好評でした。参考のため、9つの保証方法を下記に示します。
 
  • ① 部品メーカー保証
  • ② 受け入れ検査保証
  • ③ 工程内検査保証
  • ④ 検査設備保証(ラインに設置された検査機による保証)
  • ⑤ 製造設備保証(専用機による加工位置など設備で決まる項目)
  • ⑥ 製造設備管理保証(研磨面粗度など設備の管理による保証)
  • ⑦ 出荷時機能検査保証
  • ⑧ 出荷時欠品検査保証
  • ⑨ 納入先検査保証 [注7-1]
 
 [注7-1] 当然、社内で保証するが、万一不具合品が納入されても、客先工程内で必ず発見される保証項目。客先のひんしゅくを買うかと心配しましたが、逆に、顧客と一体となって最終ユーザーに対する品質保証を達成しようとする姿勢を評価されました。
 

(6) 系統図法活用による効果

 
 この事例では、系統図法の活用により次のような効果があり、N7の“余法をもって代え難い”効用を実感しました。
 
 ① 生産準備方針が、製品機能とリンクしており分かりやすいと顧客に好評であった(膨大な資料の作成は免除された)。
 ② 顧客の関係者から展開漏れ項目の補足を受けた(資料が分かりやすいので周知を得やすいのがN7の利点である)。
 ③ 図面上の寸法公差や要求事項を製品機能の延長線上で把握でき、的確な生産準備につながった。
 

7.5 2種類の挑戦計画

 
 本章では、挑戦管理の第2ステップである“挑戦計画に盛り込む要実施事項の抽出”を、漏れなく実施するための手段としての「系統図法」の使い方を説明してきました。ところで、挑戦計画には、戦略に関するものと、戦術に関するものと2種類あり、それぞれ抽出を期待される要実施事項の内容が違う分、抽出方法も、おのずと違ってきます。事例説明1は前者を、事例説明2は後者を意識して準備したので、実務に活用される際は、その点を念...
 
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第7章  系統図法の使い方

 

7.4 系統図法の「抽出項目欠落防止機能」について

 

7.4.2 事例に見る系統図法の「要実施事項抽出における欠落防止機能」

 
 前回のその8に続いて解説します。
 

(5) 保証方法明示のためマトリックス図と結合

 
 本事例のベースとなった系統図は、最終的に、末端要因と9つの保証方法とのマトリックス図に結合させ、その交点に〇(●は全数保証)印を付けて、生産準備における品質保証の考え方を明示したところ、好評でした。参考のため、9つの保証方法を下記に示します。
 
  • ① 部品メーカー保証
  • ② 受け入れ検査保証
  • ③ 工程内検査保証
  • ④ 検査設備保証(ラインに設置された検査機による保証)
  • ⑤ 製造設備保証(専用機による加工位置など設備で決まる項目)
  • ⑥ 製造設備管理保証(研磨面粗度など設備の管理による保証)
  • ⑦ 出荷時機能検査保証
  • ⑧ 出荷時欠品検査保証
  • ⑨ 納入先検査保証 [注7-1]
 
 [注7-1] 当然、社内で保証するが、万一不具合品が納入されても、客先工程内で必ず発見される保証項目。客先のひんしゅくを買うかと心配しましたが、逆に、顧客と一体となって最終ユーザーに対する品質保証を達成しようとする姿勢を評価されました。
 

(6) 系統図法活用による効果

 
 この事例では、系統図法の活用により次のような効果があり、N7の“余法をもって代え難い”効用を実感しました。
 
 ① 生産準備方針が、製品機能とリンクしており分かりやすいと顧客に好評であった(膨大な資料の作成は免除された)。
 ② 顧客の関係者から展開漏れ項目の補足を受けた(資料が分かりやすいので周知を得やすいのがN7の利点である)。
 ③ 図面上の寸法公差や要求事項を製品機能の延長線上で把握でき、的確な生産準備につながった。
 

7.5 2種類の挑戦計画

 
 本章では、挑戦管理の第2ステップである“挑戦計画に盛り込む要実施事項の抽出”を、漏れなく実施するための手段としての「系統図法」の使い方を説明してきました。ところで、挑戦計画には、戦略に関するものと、戦術に関するものと2種類あり、それぞれ抽出を期待される要実施事項の内容が違う分、抽出方法も、おのずと違ってきます。事例説明1は前者を、事例説明2は後者を意識して準備したので、実務に活用される際は、その点を念頭に取捨選択願えれば、より的確な活用が期待できるものと思われます。
 
 次回は、第8章、アロー・ダイヤグラム法の使い方です。
 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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