ニーズとシーズ 設計機能(その4)

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【設計機能 連載目次】

 前回のその3に続いて解説します。
 
 本来の目的を追求した機能、使いやすさおよび美しさのバランスのとれた3拍子揃ったものが魅力的な商品となります。流行に左右されないような客観的判断をするため、少し前の型の商品で説明します。三菱電機のサイクロン掃除機「ラクルリ」などが3拍子揃った商品だったと思います。なぜなら、デザイン性は見ればすぐわかります。機能面と使いやすさについては、自動掃除機能も付いて、本体が円筒状の形状で、家具に引っかかりにくいので、入り組んだ場所もすり抜けてスムーズに動ける設計となっているからです。では、魅力的商品を開発するためのニーズとシーズについて考えてみましょう。
 
機能分類
図1.  機能美と潜在ニーズを追求した掃除機の事例
 

1. ニーズとは

 
 ニーズとは、「お客様の求めている必要性」のことです。つまり、お客様が「こんなものを欲しい」と思うのがニーズです。図2のようにニーズには、大きく分けて、顕在ニーズと潜在ニーズがあります。ここでは、お客様の心の奥底にあって、まだ気づいていない欲求、または、気づいているが満たされない欲求を潜在ニーズと定義します。また別の切り口で、幸福な人生を送りたいというような「人生ニーズ」、旅行がしたいというような「生活ニーズ」、そして、デジカメが欲しいというような「商品ニーズ」もあります。主に、「人生ニーズ」と「生活ニーズ」が潜在ニーズと呼ばれるものを多く含んでいるようです。「商品ニーズ」は、ほぼ顕在ニーズに近いと思います。
 
 潜在ニーズを顕在ニーズ化するにはどうしたらよいのでしょうか。ある仮説の潜在ニーズに基づいて、プロトタイプ商品をお客様に提供して、お客様の顕在ニーズを探ることになります。現代では、インターネット上で、バーチャルな商品を発表して顕在ニーズを探ることも可能です。ソフトウェアの世界では、シミュレーションという手法が有効であることも、いろいろな分野で実証されています。最近、ニーズがますます高度化、多様化してきました。シーズとの違いが鮮明に区別できにくくなって、お客様の要求に応えきれないということが多くなっています。高度成長期には、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が必要とされ、その時のお客様要求は、見る、冷やす、洗うという「基本機能」への要求でした。最近では、より薄く、より長持ち、より省エネなどといった高度な要求に変わってきました。前述した三菱電機の電気掃除機「クルネリ」は、家具などに引っ掛かりにくくできないかという潜在ニーズを、的確にとらえた商品となっていると思います。
 
機能分類
図2.  ニーズとは
 

2. シーズとは

 
 シーズとは企業が持っている特別な新しい技術・材料・サービスなどのことです。 まだ世の中に出ていないビジネスの種になります。「シーズとは、問題解決のための人工的な手段としての知識や行為である。」とも定義できます。分かり易く言えば、企業が持っている技術でこんなものを提供したいと思うのがシーズになります。
 

3. ニーズとシーズのマッチング

 
 最終的には、ニーズとシーズのマッチングが判断ポイントとなります。例えば、いくら「プラズマディスプレイを提供したい」と企業が考えても、お客様が「液晶が欲しい」と思っては期待に応えることはできませんでした。結果として、いかに優れた技術であっても、企業のシーズだけでは売れないことになります。ベータマックスとVHSのビデオテープ規格競争も、ニーズとシーズの典型的な教材といえます。高画質で小型化という基本機能ニーズだけでなく、スポーツなどを長時間録画したいという「生活ニーズ」...

【設計機能 連載目次】

 前回のその3に続いて解説します。
 
 本来の目的を追求した機能、使いやすさおよび美しさのバランスのとれた3拍子揃ったものが魅力的な商品となります。流行に左右されないような客観的判断をするため、少し前の型の商品で説明します。三菱電機のサイクロン掃除機「ラクルリ」などが3拍子揃った商品だったと思います。なぜなら、デザイン性は見ればすぐわかります。機能面と使いやすさについては、自動掃除機能も付いて、本体が円筒状の形状で、家具に引っかかりにくいので、入り組んだ場所もすり抜けてスムーズに動ける設計となっているからです。では、魅力的商品を開発するためのニーズとシーズについて考えてみましょう。
 
機能分類
図1.  機能美と潜在ニーズを追求した掃除機の事例
 

1. ニーズとは

 
 ニーズとは、「お客様の求めている必要性」のことです。つまり、お客様が「こんなものを欲しい」と思うのがニーズです。図2のようにニーズには、大きく分けて、顕在ニーズと潜在ニーズがあります。ここでは、お客様の心の奥底にあって、まだ気づいていない欲求、または、気づいているが満たされない欲求を潜在ニーズと定義します。また別の切り口で、幸福な人生を送りたいというような「人生ニーズ」、旅行がしたいというような「生活ニーズ」、そして、デジカメが欲しいというような「商品ニーズ」もあります。主に、「人生ニーズ」と「生活ニーズ」が潜在ニーズと呼ばれるものを多く含んでいるようです。「商品ニーズ」は、ほぼ顕在ニーズに近いと思います。
 
 潜在ニーズを顕在ニーズ化するにはどうしたらよいのでしょうか。ある仮説の潜在ニーズに基づいて、プロトタイプ商品をお客様に提供して、お客様の顕在ニーズを探ることになります。現代では、インターネット上で、バーチャルな商品を発表して顕在ニーズを探ることも可能です。ソフトウェアの世界では、シミュレーションという手法が有効であることも、いろいろな分野で実証されています。最近、ニーズがますます高度化、多様化してきました。シーズとの違いが鮮明に区別できにくくなって、お客様の要求に応えきれないということが多くなっています。高度成長期には、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が必要とされ、その時のお客様要求は、見る、冷やす、洗うという「基本機能」への要求でした。最近では、より薄く、より長持ち、より省エネなどといった高度な要求に変わってきました。前述した三菱電機の電気掃除機「クルネリ」は、家具などに引っ掛かりにくくできないかという潜在ニーズを、的確にとらえた商品となっていると思います。
 
機能分類
図2.  ニーズとは
 

2. シーズとは

 
 シーズとは企業が持っている特別な新しい技術・材料・サービスなどのことです。 まだ世の中に出ていないビジネスの種になります。「シーズとは、問題解決のための人工的な手段としての知識や行為である。」とも定義できます。分かり易く言えば、企業が持っている技術でこんなものを提供したいと思うのがシーズになります。
 

3. ニーズとシーズのマッチング

 
 最終的には、ニーズとシーズのマッチングが判断ポイントとなります。例えば、いくら「プラズマディスプレイを提供したい」と企業が考えても、お客様が「液晶が欲しい」と思っては期待に応えることはできませんでした。結果として、いかに優れた技術であっても、企業のシーズだけでは売れないことになります。ベータマックスとVHSのビデオテープ規格競争も、ニーズとシーズの典型的な教材といえます。高画質で小型化という基本機能ニーズだけでなく、スポーツなどを長時間録画したいという「生活ニーズ」の潜在ニーズが、結果として勝利してしまったのです。
 
 ニーズを満たしながら、シーズも寄与できる形で商品を提供し利益を出していくことが、企業に求められているわけです。企業の商品企画会議に参画すると、コストと環境問題のトレードオフ(あちらを立てればこちらが立たず)が、たびたび問題となります。そこで、それをいかにブレークスルーするかが試されます。商品コンセプト創出の「ものさし」として次の3つをチェックしてみてください。
 
(1)「お客様が感動する商品創りができているか」
(2)「潜在ニーズを探りあてたか」
(3)「シーズとニーズがマッチングできているか」
 
  

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この記事の著者

粕谷 茂

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