機能とは 設計機能(その1)

更新日

投稿日

【設計機能 連載目次】

1.機能の定義

 
 TRIZでアイデアを出したり、VEでコストダウンをしたりする場合に、「機能」は、非常に重要な概念となります。これを正しく理解できれば、設計開発支援ツールの活用効果は大きくなります。大辞林によれば、機能は、「ある物が本来備えている働き。全体を構成する個々の部分が果たしている固有の役割。」とされています。
 
 また、VEでは、「最低の総コストで、必要な機能を確実に達成するため、組織的に、製品または、サービスの機能の研究を行う方法」と定義しています。そして、「V(価値)=F(機能)/C(費用)」の式を基に、モノやサービスの機能とコストのバランスを改善することによって価値の向上を図ります。そのためには、そのモノが果たしている働きを、機能として定義する必要があります。
 

2.機能の具体例

 
 機能は、そのものが持っている目的や、働きです。例えば、電線は“電流を伝える”ものであり、ネジは“部品を固定する”というように、名詞と動詞の2語で表現します。一般的に、働きを説明するときは、“100Aの電流を伝える”とか、“振動に耐えて固定する”のように、名詞や動詞の他に、形容詞や、副詞などの修飾語も用いられます。これらは、その働きの程度を表わすもので、VEでは、制約条件として、機能とは区別されています。
 
 機能表現に使用する名詞は、できる限り、測定可能な用語を使用します。力、熱、電力、光、音などのエネルギーや、時間、重量などの測定可能な名詞が用いられます。また、動詞は、アイデアが出やすいように、普遍的な用語を選びます。あまり論理的な表現をせず、平易に表現し、特に、否定的な表現は避けます。また、機能と性能は混同されないように、きちんと使い分けるべき重要な概念となります。「機能」は、性質や役割であって、直接数値化できないものです。また、「性能」は、具体的な指標として数値化できるものなのです。
 

3.開発・設計段階での機能の設定と表現方法

 
 開発・設計段階では、ただ単に機能を定義すればよいわけではありません。具体的に深掘りしなければ、差別化できる製品とはなりません。顧客の顕在ニーズだけを深堀りして性能を向上させても、最終的には、価格競争になってしまいます。次のような方法で機能をブレークダウンします。まず、製品の本来の目的を「~を~する。」のように名詞+動詞の形に定義します。
 
 例えば、図1のように、扇風機の目的は、「涼を提供する。」となります。つまり、これが顧客の要求する働きとしての最上位機能になります。次に、設計仕様を形成するための基本機能を「風を作る。」と定義します。そして、基本機能に付帯する補助機能を、「~を可能にする。」、「~を美しくする。」と設定します。
 
...

【設計機能 連載目次】

1.機能の定義

 
 TRIZでアイデアを出したり、VEでコストダウンをしたりする場合に、「機能」は、非常に重要な概念となります。これを正しく理解できれば、設計開発支援ツールの活用効果は大きくなります。大辞林によれば、機能は、「ある物が本来備えている働き。全体を構成する個々の部分が果たしている固有の役割。」とされています。
 
 また、VEでは、「最低の総コストで、必要な機能を確実に達成するため、組織的に、製品または、サービスの機能の研究を行う方法」と定義しています。そして、「V(価値)=F(機能)/C(費用)」の式を基に、モノやサービスの機能とコストのバランスを改善することによって価値の向上を図ります。そのためには、そのモノが果たしている働きを、機能として定義する必要があります。
 

2.機能の具体例

 
 機能は、そのものが持っている目的や、働きです。例えば、電線は“電流を伝える”ものであり、ネジは“部品を固定する”というように、名詞と動詞の2語で表現します。一般的に、働きを説明するときは、“100Aの電流を伝える”とか、“振動に耐えて固定する”のように、名詞や動詞の他に、形容詞や、副詞などの修飾語も用いられます。これらは、その働きの程度を表わすもので、VEでは、制約条件として、機能とは区別されています。
 
 機能表現に使用する名詞は、できる限り、測定可能な用語を使用します。力、熱、電力、光、音などのエネルギーや、時間、重量などの測定可能な名詞が用いられます。また、動詞は、アイデアが出やすいように、普遍的な用語を選びます。あまり論理的な表現をせず、平易に表現し、特に、否定的な表現は避けます。また、機能と性能は混同されないように、きちんと使い分けるべき重要な概念となります。「機能」は、性質や役割であって、直接数値化できないものです。また、「性能」は、具体的な指標として数値化できるものなのです。
 

3.開発・設計段階での機能の設定と表現方法

 
 開発・設計段階では、ただ単に機能を定義すればよいわけではありません。具体的に深掘りしなければ、差別化できる製品とはなりません。顧客の顕在ニーズだけを深堀りして性能を向上させても、最終的には、価格競争になってしまいます。次のような方法で機能をブレークダウンします。まず、製品の本来の目的を「~を~する。」のように名詞+動詞の形に定義します。
 
 例えば、図1のように、扇風機の目的は、「涼を提供する。」となります。つまり、これが顧客の要求する働きとしての最上位機能になります。次に、設計仕様を形成するための基本機能を「風を作る。」と定義します。そして、基本機能に付帯する補助機能を、「~を可能にする。」、「~を美しくする。」と設定します。
 

<機能のブレークダウン法>

 
  ① 顧客が要求する働きとしての最上位機能:涼を提供する。(扇風機の目的)
  ② それを達成する基本機能:風を作る。
  ③ 基本機能を構成する補助機能(二次的機能):風の向きを変えられる。風量を増やす。外観を美
    しくする。
 
            機能
図1.扇風機の機能とは
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを...


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
未来志向でコア技術を設定する 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その28)

 そろそろ自社の技術ではなく、社外の技術の収集の議論に移りたいのですが、私のところで起こったある出来事で、『未来志向でコア技術を設定する』ことを強調してお...

 そろそろ自社の技術ではなく、社外の技術の収集の議論に移りたいのですが、私のところで起こったある出来事で、『未来志向でコア技術を設定する』ことを強調してお...


イノベーションの創出 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その127)

  【この連載の前回へのリンク】 「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にもとづき、日々...

  【この連載の前回へのリンク】 「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にもとづき、日々...


思い付くには何が必要か 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その60)

   前回は思考の構成要素として、「その1:思い付く」と「その2:思い付いたことの発展」があるという話をしました。今回からは「その1:思い...

   前回は思考の構成要素として、「その1:思い付く」と「その2:思い付いたことの発展」があるという話をしました。今回からは「その1:思い...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
開発部門の管理職が学ぶべきこととは

  今回は、新任の開発課長が学ぶべきこと、課長就任前に3週間で準備をすべきこと、さらには課長就任後に取り組むべきことについて解説します。 &...

  今回は、新任の開発課長が学ぶべきこと、課長就任前に3週間で準備をすべきこと、さらには課長就任後に取り組むべきことについて解説します。 &...


人的資源マネジメント:インダストリー4.0 を追いかけるその前に(その2)

 前回のその1に続いて解説します。   4. 開発・製造リンクによる製造性評価    少し具体的な例を紹介したいと思います。図...

 前回のその1に続いて解説します。   4. 開発・製造リンクによる製造性評価    少し具体的な例を紹介したいと思います。図...


金型メーカー設計部門の業務診断事例

 今回は、金型メーカーの設計部門を業務診断した事例を箇条書きで紹介しますので、診断項目とそのポイントを参考にご覧下さい。 1. 複数設計者で強度や品...

 今回は、金型メーカーの設計部門を業務診断した事例を箇条書きで紹介しますので、診断項目とそのポイントを参考にご覧下さい。 1. 複数設計者で強度や品...