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不良原因解析2段階なぜなぜ分析法(その6)

 

◆是正処置の意味(クレーム対策書とは)

 不具合対策書・不具合報告書、クレーム対策書など、呼び方は様々ですが、その内容、書き方手順について詳しく説明します。作成するには、是正処置の意味について、良く理解しておく必要があります。
 

1.クレーム対策書の位置づけ

 ISO9000の要求事項である「是正処置」では「文書化された手順」が求められています。その手順は次のようで、不適合が発生したら、同じ不適合が二度と起こらないように、不適合の発生原因を取り除く処置のことと規定しています。
 
 •不適合(顧客の苦情を含む)の内容確認
 •不適合の原因の特定
 •不適合の再発防止を確実にするための処置の必要性の評価
 •必要な処置の決定および実施
 •とった処置の結果の記録
 •是正処置において実施した活動のレビュー
 
 クレーム対策書は、「とった処置の結果の記録」と位置付けられます。顧客から要求があろうとなかろうと、ISO9000では、結果を記録して、それを残しなさいと規定しているのです。
 

2.是正処置の目的

 次になぜ、是正処置を行うのかを考えてみます。単なる「処置」だけの場合「モグラたたき」で終わってしまい、その時だけ(或いはその物だけ)の処理で終わってしまうので、暫くするとまた不適合が再発してしまいます。是正処置とは再発防止のために、不適合の原因を除去する処置であり、モグラを全滅させる作戦のことです。しかし、実際に行われる是正処置は、不適合を取り除くだけ、つまり処置で終わりにしている場合が多いのではないでしょうか。この事は、製品や製造工程、あるいはシステムなどのトラブル対応には必須なことで、その原因の根を探し、根絶させなければ顧客に対する信頼が失われ企業にとっても大きな損失です。
 

3.何処までが是正処置か

 是正処置とは再発防止のために、不適合の原因を除去する処置であり、モグラを全滅させることが必要です。つまり複数のもぐらをすべて叩いてしまい、もう二度と現れないようにすることです。例えば、モノを間違って梱包してしまった顧客クレームは、たまたま処理していたその作業者にすべての原因があるでしょうか、人が起こすエラーを単純ミス(ポカミス)には、次のような背景があります。
 
 ・作業不慣れ
 ・一度に記憶できる量の限界
 ・中断作業からの復帰(昼休み、電話応対、来客など)
 ・わかりにくい表示・名称・類似サイズなど
 ・集団圧力(間違っていると思いつつ集団の行動に従うこと)
 
 モノ違いがその作業に不慣れな新人で、教育不足にあったとすると、不適合発生には、次のような多くの管理的な要因が絡んでいると考えられます。
 
 ・何故、教育不足が起きたのだろうか?
 ・教育・訓練担当は誰だったのだろうか?
 ・教育・訓練計画と実績管理は誰がやっているのだろうか? 
 
 直接の原因は、梱包した作業者に対する教育訓練不足であっても、繰り返されるヒューマンエラーには、そこに潜む特徴的な経緯、連鎖があります。作業不慣れの原因を取り除くためにその作業者の教育の実施は当然の処置ですが、これではその作業者による発生原因を取り除いただけなので、またいつか、誰かが同様の不適合を発生させるでしょう。
 
 『誰の責任で、何を、いつまでに、どのように行うのか?』という管理の基本を明確に既定しておく必要があるのです。不適合発生に至った管理のしくみの不備や欠陥を突き止め対策することが正しい「是正処置」なのです。ちなみに「予防処置」は、あらかじめ物事を行う前に、不適合を予測してそれが発生しないように対策を講じておくことを言い、行動開始後に発生した不適合に対する「是正処置」とは区別されます。
 

4.クレーム対策書の書き方

 以上のことを理解した上で対策書を作成します。顧客から求められて作成する場合もありますが、社内に於いても再発防止の目的で、関係者と情報共有を行い、周知徹底を図ること、また対策の経緯を文書で残す事によって、ノウハウの蓄積と共有化につながり、固有技術力と管理技術力の向上にも寄与します。では、具体的な作成手順と注意点を順を追って説明します。対策書は「なぜ起こったのか」そのメカニズムと、「なぜ防げなかったのか」管理の不備を指摘し、その対策内容を記入します。
  

(1)なぜ起こったのか

 モノの不適合に対しては固有技術の問題を論理的にトラブル・シューティングします。主な注意点としては以下の通りです。
 
 ・原因は頭で考えるのではなく、三現主義(事実)を基に因果関係を調べる
 ・時系列で変化点は何か(何が前と違っているか)をしらべる
 ・プロの目で確認して状況を把握する(初心者では原因解析は困難)
 ・信頼性を高めるため、拡大写真、数値データなどを用いる
 ・現物観察によって証拠を掴み、そこから4M要因の洗い出しと絞り込みを行い、原因を特定する。
 (因果関係を証明する)
 
 ここでは、なぜなぜ分析やQCストーリーは使いません。なぜなら、思い付きのつじつま合わせの解析になってしまうからです。次の点を理解していなければ、原因の解析はできません。
 
 ・ポカミスや、機械の故障はなぜ起こるのか
 ・人や機械やなどの要因のばらつきは、加工部品の寸法値(品質特性)にどのように影響するのか
 

(2)なぜ防げなかったのか

 なぜ起こったかは追究しても、『なぜ防げなかったのか』を追及しなければ、もぐらたたきから永久に抜け出せないのです。上記のポカミスの事例では、次の3点を考える必要がありますが、製造現場では、そもそも「日常管理のしくみ」の考えが希薄になりがちなのです。
 
 ・何故、教育不足が起きたのだろうか
 ・教育・訓練担当は誰だったのだろうか
 ・教育・訓練計画と実績管理は誰がやっているのだろうか
 
 なぜ防げなかったのかは日常管理の仕組みが不備だからです。日常管理の仕組みとは、例えば以下のようなものです。
 
( 工程設計のしくみ ) 
   ①QC工程表作成のしくみ 
( 日常の未然防止のしくみ )
   ②重点特性・要因監視のしくみ
   ③4M変化点管理のしくみ
   ④異常監視・処理のしくみ
   ⑤日常改善活動のしくみ
   ⑥教育・訓練のしくみ
( ルールを守るしくみ )
   ⑦基本ルール順守のしくみ
 
 工場で発生する不適合は、①~⑦のどこかに不備・欠陥があるからです。ここを指摘し、直さなければ、また不良は再発するのです。
 
 クレーム対策書を作成するためには、書き方(文書作成のテクニック)の問題ではなく、品質管理の基本を良く理解する必要があるのです。
 

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(はまだ かねお) / 専門家B / 高崎ものづくり技術研究所

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