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何を作ったら良いか分らない状態での新商品開発法とは(その3)

 

3.新商品開発を進めるための方法(S2D)

(2)10年後の未来素案の作成

 ブラッシュアップしたシステムを、10年後に展開することを想定して商品・システムの姿を考えます。できるだけ理想的な状況をイメージし、個々のメンバーでシナリオ案(未来素案)を作成します。現状からの連続思考で未来を考えるのでは現在の延長線上から抜け出すことができないことが多いものの、10年という近未来を考えることで理想に近い状況を強制的に想定することになり、変革に踏み出せるようになります。
 

(3)10年後の未来案(統合案)の作成

 各人の作成した未来素案を持ち寄り評価した上で、その中で最も良いと思われる案を選び、それを基本にその他の案の中の良い点を書き加えて図4のように「10年後の未来案(統合案)」を完成させます。
 
                            
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                      図4.10年後の未来案の作成
 

(4)製品化シナリオの作成

 この次のステップとして、3年後~10年後の社会変化を想定して商品が近い将来に受け入れられる形に仕立てます。社会変化として考える項目としては、図5の右側部分ですが、詳細な数字は厚生労働省や国連機関から公表されていますので、それらを利用します。
 
                      
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                 図5.社会変化の視点と製品化シナリオの作成
 
  対象システムを「後方映像表示システム」とした場合、たとえば高齢者にも見やすい後方の映像や、女性に受け入れられるデザインを取り入れるなどの要素を組み込んだ上で、3年後を見据えたシステムに仕立てます。
 

4.新商品開発法(S2D)は、技術者に限らず事務職・営業職などにも使える方法

  上記で説明した新商品開発法(S2D)は、画期的な商品を企画するための方法です。ここで手にした企画を商品の形に仕上げるには、新しく開発すべき技術がいくつか含まれているのが通常で、技術開発のための次のステージに移すことが必要です。この技術開発に対しては、TRIZや、その実践方法であるUSITという強力な方法が別途用意されていますので、これを用いて解決することができます。さらにタグチメソッドを用いてロバストネスを付与した商品に仕上げて、市場に提供するという一連の流れで画期的な新商品を作り上げ ることが可能になります。図6のように新商品や新システム開発の流れのスタートとなるのが新商品開発法 (S2D)で、良い企画がなければ良い商品は生まれません。
 
           
アイデア発想法
                       図6.商品開発、技術開発を推進するためのステップ
 
 新商品や新システムを開発するために、ひたすら精神論でガンバっても時間と労力の無駄遣いに終わってしまいます。特に、対象とする商品がはっきり定まっておらず状況があいまいな中で、どこから手をつけたものかどうやったらよいか分らず困っているような場合では、なおさら正しいやり方が必要になります。この新商品開発法(S2D)は、ものづくりの企業だけでなく、新しいビジネスモデルの模索をしている方にもご利用いただける方法で、また、新しい商品を開発したいという意欲のある方であれば、技術者に限らず事務職、営業職などどなたにも使える方法です。
 
(参考文献)
1)澤口「VEとTRIZ」同友館、 2002年
2)赤尾「品質展開入門」日科技連出版、 1990年
3)三菱総研 知識創造研究部「革新的技術開発の技法 図解TRIZ」日本実業出版、 1999年
4)D. Mann著、 知識創造研究グループ訳「TRIZ実 践と効用体系的技術革新」 創造開発イニシアチ
  ブ、 2004 年
5)三原「新商品開発法S2D-新商品の企画を確実に 短時間で行う方法-」:研究開発リーダー
  2013年5月号、 P.62
6)三原「わかりやすい課題解決実践法-第1回 企業 /社会の要求と技術者がやるべきこと」:研究開
  発リー ダー 2012年2月号、 P.42
7)三原「わかりやすい課題解決実践法-第2回 課題 解決実践法-USIT」:研究開発リーダー
  2012年3月 号、 P.36
 


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