KPIと管理項目、KPIと管理項目の本質的な違いとは

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KPIと管理項目、KPIと管理項目の本質的な違いとは

 

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KPI(Key Performance Indicator)と管理項目はどちらも経営課題のような最終的な目標を達成する過程での中間的なプロセス指標という意味では共通ですが、その狙いが大きく異なっていると感じています.KPIは評価をすることに主眼が置かれている一方で、品質管理分野での本来の管理項目は良い行動を促すことに主眼が置かれていると思います.

 

例えば設計段階での手戻り件数を大幅に削減するという部門目標が設定された場合、それを達成するために様々な施策を実施する必要があります.その中の一つにDR(Design Review)での品質確保というテーマが設定されたとします.DRの良し悪しとどういう物差しで測るかを考えることになりますが、ここで評価の視点と良い行動を促す視点では指標が大きく異なり、結果として設計段階での手戻り件数の...

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KPI(Key Performance Indicator)と管理項目はどちらも経営課題のような最終的な目標を達成する過程での中間的なプロセス指標という意味では共通ですが、その狙いが大きく異なっていると感じています.KPIは評価をすることに主眼が置かれている一方で、品質管理分野での本来の管理項目は良い行動を促すことに主眼が置かれていると思います.

 

例えば設計段階での手戻り件数を大幅に削減するという部門目標が設定された場合、それを達成するために様々な施策を実施する必要があります.その中の一つにDR(Design Review)での品質確保というテーマが設定されたとします.DRの良し悪しとどういう物差しで測るかを考えることになりますが、ここで評価の視点と良い行動を促す視点では指標が大きく異なり、結果として設計段階での手戻り件数の達成レベルにも大きな影響を与えることになります.

 

多くの企業では半年単位の目標管理の仕組みが導入されていることもあり、短期で計測可能な指標であるKPIが設定されています.DRのKPIとしては、例えば指摘件数などが一般的でしょう.あるいは、設計段階での品質作りこみであれば、パラメータ設計の実施件数などもKPIとして使われるケースが多いと思います.ここで、よく考えなければいけないことは、DRの指摘件数は多ければ多いほど良い望大特性なのか?ということです.見当はずれな指摘に対応したとするとそれは無題な時間を費やしてしまったことになります.パラメータ設計も同様で、過去の知見のある制御因子を取り上げて最適化してもさらなる改善は期待できません.時間の無駄になってしまいます.

 

では良い行動を促す管理項目な何かですが、例えばDR指摘漏れ数などです.指摘すべきことが漏れなく指摘する意識を持つことでDRの質が向上し、設計段階での手戻り低減が期待できます.ところが、指摘漏れ数はリアルタイムでの計測は困難です.設計完了後の市場投入段階で、指摘が漏れていたとわかるのが普通です.つまり、実施と結果にタイムラグがあるのです.このタイムラグが目標管理制度と管理項目の相性を悪くさせています.

 

上流で性能とロバスト性を両立確保するロバストパラメータ設計も同様に実施と効果検証にタイムラグがあります.ロバストパラメータ設計の回数は制御因子の数などのKPIはリアルタイム計測が可能なので目標管理制度と相性が良いですが、事業化成功などの最終目標の達成可能性が高まる指標とは言えません.例えば、製品設計段階で必要となるであろうロバスト性と性能の両立範囲などを管理項目することで最終ゴールに向けて質の高い活動が可能となりますが、その両立範囲を設定し、定量的な指標にすることは簡単ではありません.工夫も必要なるでしょう.

 

このようにKPIと管理項目は似ていますが本質的な違いがあります.

 

【出典】QECompass HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

◆[エキスパート会員インタビュー記事] 品質工学の魅力とその創造性への影響(細川 哲夫 氏

 

◆関連解説記事:パラメータ設計とは 【連載記事紹介

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

 

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この記事の著者

細川 哲夫

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