資格の生かし方

投稿日

1.資格取得の背景

 資格といえば、弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、技術士、一級建築士、情報処理技術、中小企業診断士など国家資格をイメージすると思います。これらの多くは、独占資格といって、法律で活用することが義務づけられています。これに対して、最近では、いろいろな企業が社内資格を定めているようです。お客様満足度の向上を図ったり、売り上げアップを狙ったり、社員のスキルをレベルアップしたり、若手社員のモチベーションのアップを図ったりすることなどが狙いです。
 

2.社内資格の事例

 例えば、サカイ引越センターでは、営業講師、営業マイスターの資格により、引越しプラン作成能力を認定しています。サントリーでは、ウィスキーアンバサダーの資格により、ウィスキーの魅力を伝える講師を認定しています。オタフクソースでは、お好み焼の専門知識と調理技術を教えるお好み焼士を認定しています。もちろん、技能系では、マイスターと呼ばれる技能士を排出しているキャノンやセイコーエプソンなどが有名です。技術系では、富士通、NTTデータ、IBMなどが、システムエンジニア向けに情報技術者試験以上にステータスの高い社内資格を定めて認定しております。 図1は、 IT企業のSEの社内資格のフレームワーク事例を示しています。
 
          se33  
                   図1. IT企業のSEの社内資格のフレームワーク事例
 

3.人事担当者の本音

 これらの社内資格は、どのような本質的な目的で出来たのでしょうか。いくつかの企業の人事担当者に、本音の想いをヒアリングしてみました。すると、次のような答えが返ってきました。「優秀な技術者、技能者全員を管理職として処遇できないため、その代替案が必要となった。」「成果主義を導入しているが、優秀な若手を高給優遇することは難しいため、目標となるステーテスが必要であった。」「若手技術者のキャリアパスとして機能できるかどうか試行したい。」 つまり、従業員のキャリアパス以外に、企業ごとの違った目的が存在するようです。
 

4.取得資格の生かし方

 そもそも、資格を取得する目的は、何なのでしょうか。本質的意味を深堀すれば、取得後の資格の生かし方が見えてきます。筆者は、資格取得の本来の目的を次のように考えています。
 
   (1)資格取得過程での自己学習と取得後の継続教育を通じて、
                 ...

1.資格取得の背景

 資格といえば、弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、技術士、一級建築士、情報処理技術、中小企業診断士など国家資格をイメージすると思います。これらの多くは、独占資格といって、法律で活用することが義務づけられています。これに対して、最近では、いろいろな企業が社内資格を定めているようです。お客様満足度の向上を図ったり、売り上げアップを狙ったり、社員のスキルをレベルアップしたり、若手社員のモチベーションのアップを図ったりすることなどが狙いです。
 

2.社内資格の事例

 例えば、サカイ引越センターでは、営業講師、営業マイスターの資格により、引越しプラン作成能力を認定しています。サントリーでは、ウィスキーアンバサダーの資格により、ウィスキーの魅力を伝える講師を認定しています。オタフクソースでは、お好み焼の専門知識と調理技術を教えるお好み焼士を認定しています。もちろん、技能系では、マイスターと呼ばれる技能士を排出しているキャノンやセイコーエプソンなどが有名です。技術系では、富士通、NTTデータ、IBMなどが、システムエンジニア向けに情報技術者試験以上にステータスの高い社内資格を定めて認定しております。 図1は、 IT企業のSEの社内資格のフレームワーク事例を示しています。
 
          se33  
                   図1. IT企業のSEの社内資格のフレームワーク事例
 

3.人事担当者の本音

 これらの社内資格は、どのような本質的な目的で出来たのでしょうか。いくつかの企業の人事担当者に、本音の想いをヒアリングしてみました。すると、次のような答えが返ってきました。「優秀な技術者、技能者全員を管理職として処遇できないため、その代替案が必要となった。」「成果主義を導入しているが、優秀な若手を高給優遇することは難しいため、目標となるステーテスが必要であった。」「若手技術者のキャリアパスとして機能できるかどうか試行したい。」 つまり、従業員のキャリアパス以外に、企業ごとの違った目的が存在するようです。
 

4.取得資格の生かし方

 そもそも、資格を取得する目的は、何なのでしょうか。本質的意味を深堀すれば、取得後の資格の生かし方が見えてきます。筆者は、資格取得の本来の目的を次のように考えています。
 
   (1)資格取得過程での自己学習と取得後の継続教育を通じて、
                                        高いコンピテンシー(思考・行動特性)を獲得すること。
 
   (2)資格取得後、多様なネットワーク化を図り、技術や人脈を幅広く構築すること。
 
 社内資格を導入しても、制度を作りっぱなしにする企業も多いようです。技術革新の激しい時代においては、知識やスキルは数年で陳腐化してしまいます。3年に1回程度、更新しないと意味なくなってしまうかもしれません。社内資格だけに身をおかずに、社外の基準に絶えず照らし合わせて研鑽することが、資格取得のリスクマネジメントになります。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを...


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
社会人基礎力とは、職業的発達にかかわる諸能力「4領域8能力」 

【目次】 前回の社会人基礎力とは、社会人基礎力の意味に続けて解説します。2002年から経済産業省が「起業家教育」を学校教育へ導入を始...

【目次】 前回の社会人基礎力とは、社会人基礎力の意味に続けて解説します。2002年から経済産業省が「起業家教育」を学校教育へ導入を始...


“教材”の読み方を考える(技術士第二次試験対策を例に)

1. 教材の読み方とは 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポイントについての記事を...

1. 教材の読み方とは 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポイントについての記事を...


人件費の適正水準とは

 人件費は、どんな企業でも「常に悩ませる課題」の一つです。人件費の適正水準とはなんでしょうか。今回は、人件費の適正水準を判断する指標として、なにがあるのか...

 人件費は、どんな企業でも「常に悩ませる課題」の一つです。人件費の適正水準とはなんでしょうか。今回は、人件費の適正水準を判断する指標として、なにがあるのか...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
人的資源マネジメント:実行力の鍛え方 (その4)

  6. やった後は習慣化    どうですか? 何だか取りかかれそうな気がしてきませんか?明日からやろうではダメですよ。今からは...

  6. やった後は習慣化    どうですか? 何だか取りかかれそうな気がしてきませんか?明日からやろうではダメですよ。今からは...


人的資源マネジメント:目的(その3)

【内発的動機づけの要素である「目的」連載目次】 1. 内発的動機づけの要素である「目的」と「目標」の違いを考える 2. 本源的な質問に答えてわかる...

【内発的動機づけの要素である「目的」連載目次】 1. 内発的動機づけの要素である「目的」と「目標」の違いを考える 2. 本源的な質問に答えてわかる...


自力で稼ぐことの再認識

 2016年4月14、16日は熊本を震源に大きな地震が来ました。突然の緊急地震速報アラームに驚きました。スマホで緊急速報を受けたのは初めてでしたが、正直大...

 2016年4月14、16日は熊本を震源に大きな地震が来ました。突然の緊急地震速報アラームに驚きました。スマホで緊急速報を受けたのは初めてでしたが、正直大...