【ものづくりの現場から】デジタル活用で継続した現場改善活動を実現(半谷製作所)

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半谷製作所衣浦工場の現場に常時開設されている「品質塾」

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ものづくりを現場視点で理解する「シリーズ『ものづくりの現場から』」では、現場の課題や課題解消に向けた現場の取り組みについて取材し、ものづくり発展に役立つ情報をお届けします。今回は大手自動車メーカーのサプライヤーである株式会社半谷製作所を紹介します。

◉この記事で分かる事

・お客様のニーズに対応する「活スペース」づくりについて

【企業紹介】

株式会社半谷製作所はフレーム・ボディ部品やエアコン部品など自動車向け金属パーツの製造を行っている。 金属プレスでは難成形品とよばれる、ハイテン材や極薄アルミ材のプレス加工を自社で対応できるよう社内での技術開発に取り組み、顧客へ技術提案、加工法の提案を通じて信頼関係を構築している提案型ものづくり企業です。

 

多くの工程で自動機、ロボットが活躍している

 

 人と機械の協調、導線や機器配置の工夫は、動作分析によるカイゼンから導かれたもの

 

1,公的アワード受賞で加速した組織改革、製造革新


同社は自社で行っているカイゼン活動において経済産業省が行っている中小企業IT経営力大賞というアワードにて大賞を受賞した。受賞理由「大手自動車メーカー向けのアルミ材やハイテン材の部品製造事業において、コストダウンや短納期などの高い管理水準に対応していくため、設備稼働データの徹底解析によるラインの集約化、動作データ分析システムを活用した製造工程の作業分析による工数削減、生産管理システムによる在庫の見える化を実現することにより、これまでの外注加工の内製化、 製造工程における省人化等に成功した点が評価された」

 ・IoTに活用による設備稼働データの解析

・動作データ分析システム活用による作業分析

・外注加工の内製化

 

2,改善活動が救った「経営危機」 

改善活動により生み出したスペース(活スペース)を活用し、設備、人員を配置する事によって外注業務の停滞を回避。

同社は創業以来ものづくり一筋で主に自動車メーカーおよび関連企業と取引を行っている。元請け先のサポートも活用しながら現場改善に継続して取り組んでおり、リーマンショック時などはそれ以前に行っていたカイゼン活動による無駄のない現場づくりに成功していたことから、活スペースを使った従来外注出会った作業の内製化に成功した。このことはお客様である自動車メーカー、自動車関連企業からの信頼を厚くすると共に、自社で開発設計から組み立てまで一貫生産で対応できる体制づくりにつながった。 この事は社内での改善意識を高める事となり事業活動に大きな影響を与えた。

 

構内には、カイゼン活動を通じて生まれた「活スペース」が随所に見られ、現場の対応力の源泉にもなっている

 

同社が取り組んだカイゼンは「事前に工場内に空きスペース(受注可能な人員・設備領域)」 を受注の柔軟性を作ることにあり、それを実現するために製造工程それぞれで動作分析に取り組んでいることにある。動作分析にはデジタルを活用し、カイゼン活動自体をカイゼンしている点もユニークな取り組みで、現場でのカイゼン活動継続を実現するポイントとなっている。

 

まとめ

・外部アワードへのチャレンジで全社的なカイゼン活動を促進

・オーダーへの柔軟性を持つことによる受注優位性を確保

・活スペース作成によるカイゼン結果の可視化

・カイゼン活動自体の改善が継続した活動を可能にする

 

 

【インタビューにご協力いただいた方】

 株式会社半谷製作所 製造部 隅田部長 

 

【会社概要】

・社名 株式会社半谷製作所 ・住所 愛知県大府市 ・創業 1936年3月 ・従業員数 171名 

・HP http://www.hanya-net.co.jp/

 

 

(所属、役職などは取材当時のものとなります)