地方小規模音響機器メーカーの挑戦(ミューシグナル)

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ものづくりを現場視点で理解する「シリーズ『ものづくりの現場から』」では、現場の課題や課題解消に向けた現場の取り組みについて取材し、ものづくり発展に役立つ情報をお届けします。今回は世界初のフルデジタルポータブルスピーカーを開発した株式会社ミューシグナル、宮崎社長に取材しました。

◉この記事で分かる事

・小規模メーカーの市場創造について
・特色ある製品作りに役立つ技術知識について

【企業紹介】

今回取材した宮崎社長が経営する株式会社ミューシグナルは、宮城県仙台市に所在する音響機器製造メーカーです。宮崎社長は半導体エンジニアを経て東北仙台で仲間4人で起業。20年以上培ってきた半導体、電子回路技術を使って世界初の小型DJ機器を開発。プロミュージシャンやDJ、音楽愛好家から多くの支援を同製品にて開始したクラウドファンディングは当時日本最大の支援額を記録しました。その後同社を立ち上げ、特徴的な意匠をもつフルデジタルのパネルスピーカーや医療機関向け面会システムなど高品質な「音」にこだわった製品を生み出しているものづくり企業です。

小規模メーカーの強みを活かした「ものづくり」

1.製造品の特長

同社のプロダクトの一つであるボードスピーカー。<br />同社製のハイレゾ対応デジタルスピーカーを内蔵している。

写真説明】同社のプロダクトの一つであるボードスピーカー。
同社製のハイレゾ対応デジタルスピーカーを内蔵している。

従来、店舗に設置されるスピーカーは音楽(あるいはラジオ番組など)をBGMとして流す、顧客向け、スタッフ向けのアナウンスを流すことを目的としています。店舗用スピーカー製品は高価格の世界的大手メーカー製品から低価格の海外製品まで溢れる競争の激しい市場ですが、同社はその競争の激しい市場へ新製品を投入し顧客を獲得しています。

競争の激しい市場で自社製品の存在価値を示すために同社が取り組んでいるのが製品があることによる価値創造。

お客様の声を聞いてニーズを知ることに加え、お客様の店舗を利用される最終消費者の立場に立って顕在化していないニーズを掘り起こす事が製品の存在価値を生むといえます。その際に有効なのが技術視点です。

同社では開発エンジニアが直接カスタマーと対応する事で顧客ニーズや、顕在化していないニーズを満たすために必要な技術要件、コストなどをきわめて短い時間でシミュレーションする事ができ、製品価値に繋がっています。

回路設計、ソフトウェア開発も自社で行っている。

写真説明】回路設計、ソフトウェア開発も自社で行っている。 

開発エンジニアが直接営業現場で活躍できる環境を小規模メーカーの強みとして、同社のコア技術である音響を活かした価値創造を次々行っています。

 

2.社会課題やトレンドにタイムリーに対応できる体制づくり

自社が保有する技術知識を管理し、強みを伸ばし、弱い所を強化する取り組みは多くの会社で行われていますが、小規模メーカーの強みであるコア技術を強化する上でも重要な取り組みです。

社内の技術知識が使える状態になることで、社会課題に対し製品で貢献できる事や時流即座に対応した製品開発が可能になります

 

参考:自社の技術知識を強化・拡大するための『TCAS』モデルとは https://www.monodukuri.com/gihou/article/350

 

同社の技術知識の一部を表すと、デジタル音響、通信プロトコル、ハイレゾ技術、ネットワークなどです。これらの技術知識と昨今の社会課題「医療現場のDX推進」を組み合わせる事で新たな製品開発が行われました。

医療機関向けリモート面会システム

写真説明】医療機関向けリモート面会システム

新型コロナウイルス禍で面会が制限されている医療機関や高齢者施設のニーズを捉え製品化したもので、同社が保有する技術知識を活かしインターネットを必要としない、高音質の双方向通信を実現し実際の医療機関での実証実験を開始している。この取り組みは地元新聞社の河北新報でも報じられ、反響を得ています。

製品が活用されるシーンは患者や利用者との面会にとどまらず、病院での集中治療室(ICU)患者と医師とのコミュニケーションや、高齢者施設での離れた場所にいる利用者のオンライン診察で呼吸音や心音を正確に把握するなどに利用されている。まさに高セキュリティや高音質という同社の技術知識を活かすことができているケースであるといえます。

 

インタビューにご協力いただいた方

 株式会社ミューシグナル 代表取締役 宮崎晃一郎 氏 


会社概要

・社名 株式会社ミューシグナル ・住所 宮城県仙台市 ・創業 令和元年(2019年)9月 ・従業員数 14名

  HP https://www.musignal.co.jp/


この記事の著者

大岡 明

改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。

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