リーダーに必要な素養:マネジメント能力とは

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人財育成

 【目次】

◆ マネジメントと問い合わせ対応は異なります

 1. 問い合わせの事例

 2. オペレーションの一部になっているのはマネジメントではない

 3. マネジメント能力とは

 

◆ マネジメントと問い合わせ対応は異なります

 今回は、私が訪問先の企業に滞在している時に耳に入ってくる、そこで働く社員さんのやりとりについて疑問に思っていることを題材に、管理職の方に必要な素養をまとめてみました。

 

 その疑問に思う事とは「マネジメントと問い合わせは異なる」ということです。

 これは何かといいますと、私がクライアント企業さんに滞在している時によくあるシチュエーションとして、私が社長さんと話している最中などで、少し離れた場所にいる管理職の方に、部下の人が次々と話し掛けてきて、質問攻めにあっている状況があります。

 その状況を見た社長さんが「うちの課長は頼りにされてるなぁ、さすがだ!」と太鼓判を押しているような状況です。

 それはそれで管理職としての評価を決めるのは社長さんですし、頼りにされることは「頼りがい」があるという点では良いことなのですが、私が疑問に思うことはその質問攻めになっているその「質問」の中身についてです。

 

1. 問い合わせの事例

 そのやりとりを聞いていると、主に次のような問い合わせでつかまっていることがあります。なおこの事例では、管理職の人はプレーイングマネージャーとしてCAMオペレーターもやっています。

  • 自分が出力したNCデータで部下がマシニング加工をしたが、寸法精度が出きらなかったので、寸法補正したNCデータを再度出し直してほしい。
  • 加工途中のワークを、一時どこかに仮置きしたいが、その置き場所を教えてほしい。
  • 3次元CADが使えない組み立てや保全の担当者から、部品の組み立て状態をCADで見せてほしい。
  • 前加工のあった部品のマシニング加工を行うにあたり、クランプ方法や掴み代、ワークの向きなどを機械オペレーターから質問される。
  • すり合わせ調整のある部品について、後工程の仕上げ担当者から、どこにどれだけのすり合わせ代を付けたか問い合わせを受ける。

 

2. オペレーションの一部になっているのはマネジメントではない

 これらの問い合わせ内容をみると、必ずしも管理職が受けなければならない報連相ではないことが分かります。これらはあくまでオペレーションの一部であって、管理職が行うべき仕事の中で最も重要な「ジャッジ」ではありません。そう、このジャッジこそが、管理職の人に最も要求される業務になります。

 一般的に、上に立つ人ほど、先を考えて仕事をするといいます。

 例えば、次のような内容です。

  • 経営者:半年先~翌年以降、5年先、10年先など
  • 部長:翌月以降~期末まで、来年以降など
  • 課長:今週・翌週・翌月、半年先など
  • 現場作業者:当日・今週・翌週など

 翌期以降のことを考えて仕事をする経営者や部長さんたちは、今現在だけでなく今後の仕事の受注状況、人の異動・移り変わりなども考慮して、設備投資のジャッジをします。また、ただジャッジをするだけでなく、ジャッジしたことが思惑通り進むよう、PDCAを回してコントロールします。

 これをきちんと遂行できる人が管理職であり、このジャッジすることと、行き当たりばったりではなくきちんと結果をコントロールするためのPDCAを回すこと、これらがマネジメントです。

 ただひたすら問い合わせの嵐を受ける人が、優れたマネージャーというわけではありません。

 

3. マネジメント能力とは

 前述したように、より先のことをジャッジするほど、会社に与える影響度は大きくなり、その判断とうまく着地させるためのPDCAは難易度が高まります。した...

人財育成

 【目次】

◆ マネジメントと問い合わせ対応は異なります

 1. 問い合わせの事例

 2. オペレーションの一部になっているのはマネジメントではない

 3. マネジメント能力とは

 

◆ マネジメントと問い合わせ対応は異なります

 今回は、私が訪問先の企業に滞在している時に耳に入ってくる、そこで働く社員さんのやりとりについて疑問に思っていることを題材に、管理職の方に必要な素養をまとめてみました。

 

 その疑問に思う事とは「マネジメントと問い合わせは異なる」ということです。

 これは何かといいますと、私がクライアント企業さんに滞在している時によくあるシチュエーションとして、私が社長さんと話している最中などで、少し離れた場所にいる管理職の方に、部下の人が次々と話し掛けてきて、質問攻めにあっている状況があります。

 その状況を見た社長さんが「うちの課長は頼りにされてるなぁ、さすがだ!」と太鼓判を押しているような状況です。

 それはそれで管理職としての評価を決めるのは社長さんですし、頼りにされることは「頼りがい」があるという点では良いことなのですが、私が疑問に思うことはその質問攻めになっているその「質問」の中身についてです。

 

1. 問い合わせの事例

 そのやりとりを聞いていると、主に次のような問い合わせでつかまっていることがあります。なおこの事例では、管理職の人はプレーイングマネージャーとしてCAMオペレーターもやっています。

  • 自分が出力したNCデータで部下がマシニング加工をしたが、寸法精度が出きらなかったので、寸法補正したNCデータを再度出し直してほしい。
  • 加工途中のワークを、一時どこかに仮置きしたいが、その置き場所を教えてほしい。
  • 3次元CADが使えない組み立てや保全の担当者から、部品の組み立て状態をCADで見せてほしい。
  • 前加工のあった部品のマシニング加工を行うにあたり、クランプ方法や掴み代、ワークの向きなどを機械オペレーターから質問される。
  • すり合わせ調整のある部品について、後工程の仕上げ担当者から、どこにどれだけのすり合わせ代を付けたか問い合わせを受ける。

 

2. オペレーションの一部になっているのはマネジメントではない

 これらの問い合わせ内容をみると、必ずしも管理職が受けなければならない報連相ではないことが分かります。これらはあくまでオペレーションの一部であって、管理職が行うべき仕事の中で最も重要な「ジャッジ」ではありません。そう、このジャッジこそが、管理職の人に最も要求される業務になります。

 一般的に、上に立つ人ほど、先を考えて仕事をするといいます。

 例えば、次のような内容です。

  • 経営者:半年先~翌年以降、5年先、10年先など
  • 部長:翌月以降~期末まで、来年以降など
  • 課長:今週・翌週・翌月、半年先など
  • 現場作業者:当日・今週・翌週など

 翌期以降のことを考えて仕事をする経営者や部長さんたちは、今現在だけでなく今後の仕事の受注状況、人の異動・移り変わりなども考慮して、設備投資のジャッジをします。また、ただジャッジをするだけでなく、ジャッジしたことが思惑通り進むよう、PDCAを回してコントロールします。

 これをきちんと遂行できる人が管理職であり、このジャッジすることと、行き当たりばったりではなくきちんと結果をコントロールするためのPDCAを回すこと、これらがマネジメントです。

 ただひたすら問い合わせの嵐を受ける人が、優れたマネージャーというわけではありません。

 

3. マネジメント能力とは

 前述したように、より先のことをジャッジするほど、会社に与える影響度は大きくなり、その判断とうまく着地させるためのPDCAは難易度が高まります。したがって、それだけ管理者としての資質・能力が必要となるわけです。

 資質という面では、かなり先のことや大きな規模のジャッジをする案件ほど、それに関わる人の数が増えるわけで、その人たちの調整役を行ったり、指導する役であったりと、まさにマネージャーとしての力量が問われるわけです。

 

 オペレーションの問い合わせにまみれて身動きが取れない状態になっているのは、頼りがいがあるのかもしれませんが、マネジメント能力という面とは直結しません。単に、オペレーションや業務プロセスの中におけるハブ的なところで仕事をしているに過ぎないからです。

 優れたマネジメント能力を持っている人であれば、自分がそうならないよう、権限移譲したり、プロセスを誰にでも分かるように仕組み化したり、見える化しておくものです。

 もしこれを読んでいるのが当事者の方でしたら、ぜひ自分の業務を見直すきっかけにしていただきたいですし、読んでいるのが該当する管理者の上司や経営者の方でしたら、その旨を伝え、その該当者の業務方法の見直しと、マネジメントとは何かを教育してあげるべきかと思います。

 

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この記事の著者

村上 英樹

金型・部品加工業専門コンサルティングです!販路開拓・生産改善・外注費削減の3つを支援するトライアングル支援パッケージ、技術を起点とする新しい経営コンサルタント

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