QFD-TRIZ-TMの連携適用による高速2ポートバルブの開発 (その3)

[ユニークな解決策を生み出す]

 前回の②に続いて解説します。次にQFD(品質表)で確認した技術課題をTRIZで解決するフェーズに入ります。 ここでは敢えて高い目標を設定して、他社の追従や既存技術の折衷案ではなく、ユニークな解決策を創出することを第一義として取組みました。 


 図10.にTRIZで解決すべき技術課題を示します。 電磁弁の機能を分かりやすく説明するために、左側に車の場合と対比させながら記述し、右側に従来の構造を断面図で示しています。

 そして解決すべき技術課題としては、大流量で高速応答という高い目標を定めながら、さらにそれを低消費電力で稼働し、しかも長寿命であるという極めて高度で広範囲なものにしています。 さらに、それらの特性を最大限に引き出す主弁構造の開発を目指しました。 

最初に、現状の電磁弁を構成しているさまざまな要素について、それらの作用を連関図的に矢印で結ぶ機能-属性分析を行いました。 図11.は分析をパソコンのソフト上で実施したもので、設計対象であるシステムの構成要素と、設計対象とならない要素、および有用な作用、有害な作用などを区別して表しています。 これにより、現状のシステムの状態を把握し、課題の根本原因を特定する作業を的確に行うことができます。

 次に技術的課題に対して、それを引き起こしている根本の原因を探るために原因-結果分析を行いました。図12.はMS-Excel上で検討したもので、想定されるさまざまな要因の因果関係を確認してそれを樹形図に表したものです。 原因-結果分析と機能-属性分析とのつき合

わせにより根本原因を特定して、その根本原因を中心に工学的矛盾を定式化、TRIZの発明原理やシステム進化パターン、分離の原則など

の適用により幅広く、数百件にも及ぶアイデアを創出しました。

 また、画期的な解決策を得たとしても価格を抑えなければ市場で受け入れてもらえませんから、すでに検討した機能-属性分析を利用して、トリミングによるコスト低減の検討も行っています。 図13.にトリミングを実施したイメージを示しました。

 トリミングは以下の基本方針に沿って行いました。

 ①構成要素が提供している有用作用は無くせないか?

 ②システム内の他の構成要素がその有用作用を果たせないか?

 ③構成要素を低コストのもので置き換えられないか?

 ④複数の構成要素を結合できないか?

  先に行った創出アイデアにトリミングによる改善アイデアを加え、課題を達成する新しい電磁弁のコンセプトをまとめました。 図14.の左上に従来の構造を、右に主な変更内容と新方式電磁弁の構造を示してあります。


この記事の著者

笠井 肇

QFD、TRIZ、QEを駆使した絶対的強みの確立

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